12/94
立ち去る吹雪
黒猫先生が、大きく欠伸をし、すとん、と教壇を跳び降りると、チャイムが鳴った。
安彦はまたクラスメートに囲まれた。
「窪田君、質問って何?」
白尾春奈ちゃんが食いついてきた。
だが、さすがに吹雪ちゃんのことを勝手に言うわけにはいかない。
安彦は必死に考え、答えた。
「あ…、ああ。質問か。あれは、そう…。
前のクラスの高橋って奴の兄貴が心霊マニアでさ、そういうスポットに行ったら、そう、たまたま霊体験をしちゃってね。それのことさ」
なるほど…、と唸るのはメガネの牧名正だ。
「そういったものも神だったのか…」
全てのものが、自分を含めて神なのだから、きっと霊だって神で良いに違いない。
仮に間違えだったとして、魔と神の違いなど、そもそも安彦には分からないのだから、勘違いで通るはずだ。
だが、背後でガタンと音がして、静かに吹雪ちゃんは教室を出ていった。
あ、吹雪ちゃんは、たぶん分かっている…。
安彦は気が付いた。
だが、安彦はクラスメートに囲まれていた。




