1話 絶望かつ残酷
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最近妙な夢を見る…
僕の名前は海羅 雅
この日本に生まれ
普通に育ち
普通に小学生になり
普通に中学生になり
普通に高校生になり…
僕はいつも[普通]と言う言葉に囚われていた。
周りには個性がある奴ばかり
ない奴は集団で屯し存在感を示す
なのに僕には友達もいなければ個性もない。
[才能]もない。
1度僕を生んだ両親を恨んだ
だけど今の状況は確実に僕が蒔いた種だ。
僕に才能があれば、僕に個性があれば
僕に友達がいれば…
何回思ったのだろうか
だが、最近見る妙な夢のせいで気持ちが更に悪い
家族の惨殺、悲鳴、阿鼻叫喚、
数ヶ月毎日こればかりだ
父は建築業の社長
母は幸せな専業主婦
兄は天才的画家
妹はピアノのコンクールで金賞…
[雅]僕は…何もない…
小学生の頃手紙を添えて母親に粘土で作った人形をプレゼントした…だが目の前で捨てられた。
[母親]雅!お兄ちゃんはすごいもの描けるのになぜ貴方はこんなにも何もできないの!海羅家の恥!
そのセリフだけ覚えている。
[雅]はぁ…僕には何もできない将来が見えない…
みんなみたいに苦労してみたい努力してみたい
[雅]なぜこんなにも何もできないんだよ!くそっ!
壁を思いっきり殴った
[雅]痛い…なクッソ
…
[雅]ただいま。…相変わらず返事無しか
自分の部屋に閉じこもる…
[雅]あ…れ?眠たいな…
静かに眠りにつく雅
…
ぁ…あ…なぁ…
家族が…いや、自分が認められないこの世界が嫌いか?
[雅]だ、誰だ!?
[神]私は神…なぁ?嫌いなんだろう?邪魔なんだろう?なぁ?
[雅]いや…俺が邪魔なんだよ…この世界に…
暗い表情の雅
[神]いっそ死にたいか?
[雅]あぁ…でも痛いのは嫌だし死ぬのは怖い。
[神]君はねぇ私にとって特別なんだ…私が君の理想の世界を作ってあげよう…
[雅]…本当か…?
[神]ああ!楽しみにしていな…
不敵な笑みを浮かべる神様
[雅]まっ…眩しい!
光が雅を包み込む
バサッ!!
[雅]ゆ、夢なのか?よく分からないな…
キャァァァ!!!
[雅]!?
夢に出てきた悲鳴だ…
急いでリビングに行く
[雅]ああ…
雅の目の前には惨殺されている家族
父親には丸ノコで切られた跡が
母親には出刃庖丁で切られた跡
兄の眼球は抉られ代わりに筆が刺してあり
妹はピアノの弦で首を切られた跡があった
[雅]なんで…みんな……!?
慌てて外に出る雅
[雅]まさか…嘘だろ!?
町中には才能や個性で溢れていた人達が無感情に
その光景はあまりにも残酷だった…
[雅]神…お前はなんなんだよ…
[神]暇なんだよ…暇つぶし。意味わかる?
[雅]だからってこんな事しなくていいだろ!
[神]我が何をしようと歴史には神様として残るのが事実…残念だったね!さぁ!君の理想郷を存分に味わってくれ!
[雅]…
言葉を失う
[雅]殺す…殺す殺す殺す殺す殺す殺す…俺の大事な物を奪いやがって!!
[神]ほら!所詮は大事な[物]なんだろ?大事な人ではない。君の考えは分かりやすい…
[雅]くも…僕も殺してくれ!!
[神]承知。
光の矢が雅の心臓を貫く
[雅]くっそ…痛い…苦しい…死ぬってこんなに苦しくて怖いのかよ…しかもなんで意識があるんだよ…痛い苦しい痛い苦しい痛い苦しい…
目の前が真っ暗になる…
…
…
[死後の世界はきっと幸せなはずだよね…]
…
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続く