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箱庭物語  作者: カモミール
第1章 始まるサバイバル
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第3話 ~拠点の決定と怪しい果実~

毎週月曜日の20時投稿を続けたいと思います。



 璃緒が自分のカンを信じて風の向くまま、森を歩くこと2時間。さっきまで木々によって薄暗く少し不気味な風景が、今では日の光が程よく差し込み森林浴をするには持って来いの場所になっていた。しかしこれだけ歩いても、これといった食べられそうな植物は見当たらない。野鳥なら見かけたが道具も無しに取れるはずもない。慣れない森の中を歩いているせいで少し疲れも感じる。


「適当に歩いているだけだからなぁ。周りが明るくなったのは幸いか。こういう時はっと。」


 璃緒は近くに上りやすそうな木を探す。テレビで森の中では地上より木の上の方が安全と言っていたのを思い出したからだ。といっても周りの木々はどれも太く、丈夫そうなツタが絡みついている。これならば登りやすそうだった。


「これにするか。」


 一番高く聳え《そび》立っていた木に登る。小さい頃以来久しぶりだったがスイスイ登ることに成功する。


「テレポ起動っと。」


 電源を押すとスタート時には付かなかったテレポの画面がつく。そして画面は購入と通信の二つしか選択肢がなかった。これはDr.Seedの言っていた通りだ。そして画面右上に500TPと表示されていた。


「これが今持っている俺のTPってことか。500TPって多いのか少ないのか分からないな。」


 そうは言っても最初の設定なのだからそれほど多くないだろう。次に購入画面をタップし、ライブラリを開く。

 ライブラリには食料、衣類、生活用品から書籍なども選択でき、タップすることでより細かい物を選択できるみたいだ。


「どれだけ種類があるんだよ。水が500mlで50TPか。そして一食セット?...のり弁に水付きで125TPか。そこそこするな。」


 璃緒はそれぞれの項目を確認しながら画面をスクロールしていく。まるで通販サイトを眺めているような感覚を覚えながらも、必要な項目をしっかりと見ていった。料理するかは分からないが、やはり出来物よりも食材のみの方が長期的にみると安くようだ。食器、キッチン用具とそろえなければいけない物があるので直ぐには出来ないのだが。

 衣類も重要である。身体を清潔にしておかなければ病気になってしまう。サバイバルで病気にかかるなど洒落にならない。一応薬のTPも見ておく。風邪薬で300TPだった。

そうしてどんどん項目を眺めていると驚く項目があった。



ーーー 武器 ---



「ん?おいおいこれは物騒だな・・」


下から二番目の項目にそれはあった。


「確かに武器は護身用としてあった方がいいだろうが。・・刀に拳銃まで。」


 その項目にあるのはどれも安いもので5000TPと高かったが、もし誰かがこれを手にしたらどうなるのか。このサバイバルゲームが荒れそうだ。幸い弾は初回以外別売りで拳銃だと一箱1500TPだった。そう易々と手に入れられるものじゃあないだろう。気を取り直して最後の項目に目を向ける。


「機能拡張?」


 その欄にはカメラ、動画撮影、ナビゲーション機能など、どうやらテレポの機能を増やすことが出来るみたいだ。


「どれも高いけどな。」


 残念なことに便利そうな機能はいくつもあったが、そのどれもが1000TP~3000TPと今すぐには手が出せないのだ。


「仕方ないか。さてこれで全部確認したし、行動開始するか。」


 璃緒は木から下りて、歩き出そうとした、その時・・


(・・・パシャ・・・)


「ん?今の音は、水?ってことはまさか・・!!」


 確かに聞こえた水の跳ねる音。璃緒は(はや)る気持ちを抑え音の聞こえた方向に走る。そして目に飛び込んできた光景は、差し込む日の光に反射して淡く綺麗に輝く池だった。


「これは、すごい・・」


 その池は透明度が高く光の加減で美しい青のグラデーションを見せている。魚も泳いでおり、先ほどの音は、魚が跳ねた音だったようだ。流れ込む川が見当たらないので、湧き水によって生み出されているのかもしれない。まさに秘境と呼べるこの神秘的な光景に璃緒は暫く見入ってしまったのだった。



   ーーーーーーーーーーーーーー



「これはもう決定だな。」


 ようやく感激から覚めた璃緒は、ここ周辺に一度拠点を置くことに決めた。生きるために必要な水と安全な場所。後者は完全とはいかないものの、とにかくこの場所が気に入ったのだ。


「とすると次に必要なのは寝床と食料だな。」


 そう考えた璃緒はまず池の周囲を探索することにした。食料探しは勿論、他の動物の糞などの痕跡を確認するためだ。もし木に爪痕なんてものがあったらすぐに立ち去らなければならない。確実に縄張りなのだから、下手に刺激するの避けたかった。

 ぐるりと池の周りを一周。それらしき痕跡は見つからなかった。ホッと安心した璃緒は、お腹が空いていることに気づく。時間はテレポにまだ表示されていないので(機能拡張する必要がある)、日の傾きで大体の予想を付けなければならない。池の(ほとり)に腰を下ろし、テレポを操作する。


「今はのり弁にするか。」


 目の前に魚が泳いでいるが取る気になれず、大人しく食料ー弁当にあるのり弁を選択。消費TPは100TPだ。タップすると本当に購入するか確認画面になる。勿論はいをタップ。すると目の前にパッとのり弁が現れた。


「っと危ない。これ気を付けないと落とすな。」


 はいをタップするとほぼ同時に目の前に送られてくるので、受け損なうと悲惨なことになりそうだ。そんな事を考えつつ蓋を開ける。中身はちゃんと温められている。シンプルに白身フライ、ちくわの磯部揚、きんぴらごぼうに漬物、海苔とご飯だった。無理やりこの場所に連れて来られてなければ、もっと楽しめたという思いと、誘拐されなければ見ることが出来なかったという思いで複雑であった。

 弁当を食べ終わると周辺散策を範囲を広げて行う。寝床に関しては、先ほど周囲を散策したときに目ぼしい場所は見つけてあった。水場が近くにある為かここらの木は太く逞しいものが多い。その中でもひと際大きい木を拠点とするつもりだ。これで水と寝床は解決した。


「迷わないように気を付けないとな。」


 きちんと帰って来れるように木に矢印を付けていく。これで帰りは逆向きに進めばいいだろう。今回は池から下流へ流れていく方向を南としたとき北に向かうことにした。



  ーーーーーーーーーーーーーーー


「これは・・食えるのか?」


 北に向かうこと数時間。森の奥に進んでいるようで辺りは最初と同じで薄暗い。そろそろ引き返そうかと思い始めたとき、地面に果物が落ちていた・・青色の。色は変色しており美味しそうではない。上を見ると確かに木に生っている。少し高いところにあるが数は豊富にある。


「こんな果実外国にあるのか?取りあえず取ってみるか。」


 璃緒は思いつく方法で取ろうと試みる。木を蹴る。少し揺れるだけで落ちてこない。石を投げてみる。辺りに手ごろな石がない。祈る。神はいなかった。

 仕方がないので覚悟を決め木に登る。枝が下の方に少なく、ツタも巻き付いていない。慎重に足がかりを探して数度落ちたりしながらも何とか登ることに成功する。できるだけ大ぶりな果実を数個とり、下に飛び降りる。無事着地し、拠点へと引き返した。


主人公の知識=作者の知識です。インターネットで正しい情報は調べていません。


――――――――――――――


璃緒

所持TP 400

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