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プロローグ
春とは人生に二度訪れるものである。一度は若き日々を彩る青い春。二度は心の雪解けを飾る初恋の春。
誰しも人は少年少女の時代を経て、幾つもの経験を重ねて大人に近づく。
遊びに勉学にスポーツに。特に学生時代は時間的余裕のおかげで日常とは目まぐるしく、気づけば様々な思い出が自己を形成するほどに積もっている。
人生の殆どを液晶モニターの向こう側に思いを馳せることに使ってしまう。それもまた一つの青春だろう。人には人の生き方があり、誰もそれを侵害することは出来ない。人の数だけ人生があるように、人の数だけ反社会的個性があるのだ。
故に、俺は俺を活かす。この青春の時代を思うがままに生きたいと思うのだ。
たとえそれが将来だとか、人格に多少の不安を抱えようとも。
たった人生に二度の春。ならば突っ走らねば損だろう。
それが一度に、同時に来てしまったと言うなら尚更だ。
前向きで立ち止まらないこと。それが俺の唯一のアイデンティティーなのだから。