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裏切りと創造。~ツナギ~  作者: 三原 咲夜
序章
6/15

東の洞窟

「暗い……」


森の東側。たしか、村の大人の人たちがいにしえの魔獣が住むから近づくなって言ってた。

こんなことでもなかったら、来ることはなかったなぁ。


「どっかで体を休ませたいけど……あっ!」


今夜の寝床になりそうな場所を探しながら暗い森を進んでいくと、小さな洞窟が見えた。

一瞬、いにしえの魔獣の話を思い出したが、疲労感が体を襲い洞窟の中へ足を進めた。


「中はわりと広いんだね」


洞窟の中は大人が五、六人なら悠々と寝ることが出来そうな空間が広がっていた。壁際には誰かが使ったであろう枯れ草の束が敷いてあり、なんとか寝れそうな場所になっていた。


『グゥルルル……』


魔物、それもウルフの威嚇。どこから聞こえるのかと思い辺りを見回すと、洞窟の奥の方に幼いウルフがいるのが見えた。反射的に構えてしまったが、ウルフの様子がどこかおかしい。


「け、が?君、もしかしてケガしてるの?!」


目を凝らすとウルフの後ろ足から血が垂れているのが分かった。なぜか、返事をするわけがないウルフに話しかけてしまう僕。警戒をとかないウルフに駆け寄り、傷を見てみる。


『ガゥ!ガゥ!』


「うん。ごめんね、すぐに終わらすから少し、我慢してて……」


傷はそこまで深くはないが、血管が傷ついたのか血は流れ続けている。

こんな状態で一人でここにいたんだよね。それを思うと悲しくて、切なくて。知らず知らずにあまり使ったことがない治癒術を使っていた。


「白のテルン。光は癒し、彼の者に安らぎを。【クリーレン】」


呪文を唱えると、ウルフの傷は白い光に覆われた。消えたかと思うと血は止まっていて、傷も塞がっていた。


「よし!もう、これで大丈夫だよ?僕はもう出ていくから、ゆっくり休んでいて」


僕は立ち上がり入ってきた方向へ戻る。ところが、入り口を四、五匹のウルフが立ち塞いでいた。


『グゥルルル……』


「あ、ウソでしょ……?」


そうだよ。ここに幼いウルフがいた時点で、親のウルフが帰ってくることをなんで考えなかったんだろう。


『グゥルルル……』


威嚇をしながらジワリジワリと距離を詰めてくるウルフたち。もうダメだ、と諦めかけたとき幼いウルフが間に割って入ってきた。


「君!動いちゃ……!」


幼いウルフがなにやら大人ウルフに吠えている。吠えているというか訴えかけている?

どちらも気持ちが昂っていて、今にも仲間割れが始まりそうな雰囲気だ。

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