世界の始まり
私は何故生まれたのだろう
この何も存在しない世界
生物、植物、地面、空……
何もない『無』の世界
この世界に光がほしい
ほしいなら作ろう
私が持つ全ての力をもって
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原初神 アイテル
彼もしくは彼女かもしれない。
アイテルはこの無の世界に世界を創った。
世界の名は『ヴィンフト』
世界樹を中心に大地が広がる世界。
世界は300年の刻をかけて
生命を生み、育み、進化を繰り返し
やがて人間が生まれた。
人間達は文明を築いた。
やがて人間達は考えの違いから3つに別れた。
人間だけでなく獣人、エルフ、全ての人種との
共存を考える人々──ユニアラ派
力が全てと考え、力のないものはあるものに
従うべきと考える人々──エノミル派
神を崇め、神の写し身である神子の言うことに
全てを委ねる人々──ミルテル派
3つの派閥はいつしか小さな街を造り
小さな街は大きな国に発展していった。
そして3つの国は違う考えの人間を
受け入れることができず、争いが起こった。
争いは多くの死者をだし、自然を壊し、
そして……世界樹を弱らせていった。
アイテルは怒った。哀しくなった。寂しくなった。
悔しくなった。切なくなった。
アイテルは決意した。
『この世界を滅ぼそう。』
アイテルは草花を燃やし、街は破壊。人は殺した。
人間達はこれ以上の破壊を防ぐべくある決断を下す。
『神を封印しよう。』
人間はアイテルを世界樹に封印した。
封印が解かれないように、
祠を世界の5つの場所に建て守り人をつけた。
それから300年……
当時のことを知る者の数は減り、
今では原初神の存在を信じる者もほとんどいない。
『ワタシハニンゲンヲホロボス』
封印はだんだん弱く、脆くなっていった。
アイテルがいつ、目覚めてもおかしくはないだろう。