すれ違い
※本作には性的描写があります。R15指定です。苦手な方はご注意ください。
(弓月視点)
初めて肌を重ねてから榊原の様子がおかしくなった。
目が合わない。
向こうから触れない。
泊まる事もなくなった。
やっぱり男同士では無理があったという事だろう。
お互い本来ゲイじゃないんだから、おんなじモン付いてる身体に興奮も出来ないだろうし。
(いや、俺は相手が榊原なだけでドキドキしてたけどさ。)
俺はこんなに好きなのに、フられるんだろうか。嫌だ。怖い。
冷たい目で見られたら、と考えたら呼び出すのも怖くて無理だ。
(ああ、なんて弱くなっちまったんだ。)
(榊原視点)
エッチを許され、初々しい姿に興奮して荒ぶってしまったら弓月に涙目で「いじわる」と言われてしまった。
めちゃくちゃ可愛いかったぁー!
もう、めちゃくちゃ泣かしたくなってすげぇ困り果てた。
(次、抑えられる気がしねぇ!)
理性すっとんで、むしゃぶりつく気しかしねぇ。
きっとやめてと泣かれても止まらない。
本気で嫌がられても、無理かもしれない。
アレ以来、欲望に負けそうで、目すらまともに合わせられない。
触れたら、暴走しそう。
今日は呼び出されない事に感謝してる自分がいた。
(このままじゃ、だめだよなぁ、どうすっかなぁ)
(弓月視点)
1人で慰めてみたけど、榊原に触れらるのとは違い過ぎて良くない。
たった一回でこんなに俺を変えてしまったくせに。
別れ話、出しやがったらどうしてくれようか。
「♪~♪~」
着信は、榊原!?
「…何?」
「あー、いや、その、さあ。」
歯切れが悪い。まさか、別れ話?
「時間あるなら、ウチにくれば?まどろっこしい。」
「えっ、あ、いや、でも」
「…来ないなら話聞かネー。」
(榊原視点)
「まじ…かぁ…。」
顔見たら、しかも家で2人きりとか、我慢出来る気がしねぇよ!
だけど
「なんか怒ってそうだったし、行かねぇとキレられるよな?」
ため息を吐いてバイクに跨る。
家に着いて、中に入ったがリビングには姿がない。
鍵を閉めてから寝室を開ける。
弓月はベッドで背を向けて横になってた。
「調子、悪いのか?」
「別に…。」
「えっと、なんか、怒ってる?」
「…んな事より、話あんだろ?さっさとしろ。」
「えっ、あ、いや、話っうか、その、さぁ」
ゆっくり近づいてベッドの側にしゃがむ。
「弓月?こっち、向いて?」
「…」
ゆっくり寝返りをうった弓月の目が涙目で固まる。
「ちょ、な、何?どっかイテェの?」
「お前が悪い」
「俺?」
「あの日から、目も合わせネーし、避けるし。なんなんだよ、お前!」
「あっ、いや、それはっ。」
「嫌なら嫌って言えばいーだろ。野朗同士はやっぱり無理だったんなら。」
「あ?ちょっと待て!全然違ぇ!」
「え?」
「お前が、可愛すぎて。めちゃくちゃ善がらせて泣かしたくなるから、嫌われたくなくて悩んでただけで、いやだとかそーゆーんじゃねぇ!」
俺の告白に弓月の顔が真っ赤になる。
「えっ?それは、好きって事?」
「おう。」
「じゃあ、して?」
「…あの、弓月さん?話、聴いてた?俺暴走するぞ?」
「ン。でも…」
上目遣いでもじもじと太腿を擦り合わせる仕草に理解して赤面する。
(え?1人ですらした事ないって言ってたよな?俺としたから、ムラムラするようになったのか?)
「…ヤ?」
自然と上目遣いになった目は、恥ずかしさからか少し潤んでて…。
「ああ、クソ!煽ったお前が悪いんだからな、泣いても止めてやれねぇからな!」
鳴きに泣かした。
(弓月視点)
身体が怠い…鳴きすぎて喉が痛い…あそこも痛い。
でも見上げた先に、自分を抱きしめて眠る愛しい人がいる。
それだけで満たされる。
(ああ、ほんとうに【愛してる】んだ。)
と今更納得する。
いつまで、こうして居られるんだろう。
一年?二年?
きっとこいつは30くらいまでには政治の駒として親からの縁談がくるだろう。
いや、案外早くにコイツが俺に愛想が尽きるかもしれない。
昨日までの不安が現実になる日が来るかも知れない。
(なら、後悔しないように愛そう。愛し尽くしたと言えるくらい。最後まで。)
抱きつき直してまた眠りにつく。
いつかくる独寝の夜に怯えながら。




