表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶がない僕には恋人がいるらしい  作者: 鳥魔莉沙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/10

愛の形

バスを降り、家路へと向かう未白と楓。手を繋ぎながら歩く二人の間には、確かな信頼と絆があった。楓は自然に未白の前に立ち、彼を守るように歩く。


そのとき、リオンが立ち止まり、声を震わせた。

「離れて……離れてよ……」


涙が頬を伝い、リオンの表情は苦しみに満ちていた。未白は戸惑い、何も言えずに楓の手を握り返す。楓は小さく息を吐き、視線をリオンに向けた。

「もう……耐えられない……」


そう言うと、楓は未白の手を強く握り、二人はその場から走り出した。リオンは必死に追いかけたが、途中で足を滑らせ転ぶ。地面に手をつきながら、必死に声を振り絞った。

「待って……未白、置いてかないで!優しくする!今度は違うやり方で……だから……戻ってきて!」


しかし、楓と未白は止まらず、逃げ続けた。雨のように涙を流すリオンを振り返りながらも、二人は一歩ずつ前へ進む。未来を、自分たちの手で掴むために。


——そして、時間は大きく流れた。


八年後。

楓は26歳、未白は23歳になっていた。二人は隣同士に座り、指先を絡めると、その薬指にはそれぞれ輝く指輪があった。長い時間を経て、互いへの信頼と愛情は揺るぎないものとなっていた。


足元で小さな声が響く。

「ママー!」


楓が振り向くと、目の前にはまだ小さい女の子が駆け寄ってきて、両手を広げている。未白はその背後で微笑みながら、自然に女の子を抱き上げた。


「ほら、パパもいるよ」


女の子は満面の笑みを浮かべ、楓の胸に顔をうずめた。楓はその頭を優しく撫でながら、未白の顔を見上げる。

「私たち、ちゃんと家族になれたんだね」


未白は笑い、軽く頷いた。

「うん。僕たちの未来だ」


遠い過去にあった不安や迷い、涙や葛藤。すべてはこの瞬間のためにあったのだと、二人は静かに感じていた。


街の景色は変わっても、変わらないのは互いを想う心。そして新しい命の存在。

楓と未白は手を取り合い、互いを見つめながら、確かな未来を歩き始める。


小さな声、笑い声、そして二人の心が重なる瞬間。

それは、誰にも壊せない、二人だけの幸せな現実だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ