──*──*──*── 11ヵ月後
──*──*──*── 王城
異世界に召喚されてから約1年が経ったと思う。
異世界に召喚された日は、忘れもしない10月12日の第2週の水曜日。
《 自然の家 》で2泊3日の宿泊研修中の2日目だった。
2日目の夕食は割り当てられた班の子達とカレーを作って食べる予定だった。
カレー作りも、カレーを食べるのも楽しみにしていたのに、異世界に召喚された所為でオジャンになったんだよね。
もう1年も前の出来事なのに、思い出すと今でもムカつく。
許されるなら、ブダみたいに肥えてる脂ぎったデブタ国王にドラグ◯レイブを御見舞いしてやりたいぐらい、ムカつくぅ~~~~。
食べ物の恨みは何とやら──ってのは本当だった!
≪ ノクタルルド公国 ≫には “ カレー ” なんて料理は、存在していない事を精霊さんが突き止めてくれている。
シチューもどきな料理は存在しているのに、何故か “ カレー ” に似ている料理すらも存在していない。
≪ ノクターム大陸 ≫の何処かで “ カレー ” を食べる事は出来るのかな?
材料と香辛料を集めて自分で作る手も有るけど、お米が無いんだよねぇ……。
カレーの話は横に置いといて──、1年も経った訳だから、アタシは12歳になった。
セフィと契約しているから、実際には100年後ごに1歳さい年としを取って12歳になる訳だけど──。
救世主の1人なのにアタシは相変わらず隔かく離り扱いをされているし──、月日つきひ,火日かのひ,水日すいひ,木日もくひ,金日きんひの5日か間かんは1人で後方支援の授業を受けている。
土日どのひは外がい出しゅつしているし、日日にちひは《 王おお城じょう 》の中に在る[ 図書館 ]に保管されている書籍を無断で借りて知識を得ている。
救世主ランクEのアタシが[ 図書館 ]に入はいれる訳がないから、セフィ白狼神フェンリルが精霊さんに頼んでくれているの。
精霊さんが[ 図書館 ]に不法侵入をして、アタシが知るべき事が書かれている書籍を選んでチョイスして無断で拝借して来きてくれている。
読み終わったら精霊さんが[ 図書館 ]へ返しに行ってくれるから助かっている。
そうそう、外がい出しゅつしている土日どのひだけど──、偶然(?)にも≪ 南みなみのエリア ≫で出逢って、彼あち此こち案内をしてもらったのが切っ掛けで、何な故ぜか騎士団団員長のクレイスさんが態わざ々わざ休きゅう日じつを取って、アタシの外がい出しゅつに付き添そいをするようになった。
馬車を用意してくれて、アタシが行きたい所へ連れて行ってくれる。
食事代も出だして貰えるし、欲しいを見付けたら買ってもくれる。
何なんで騎士団団員長でも有るクレイスさんが、他た人にんのアタシに此こ処こまで親切にしてくれるのかと言うと──、どうやらアタシには妹さんと双子みたいに瓜うり二ふたつなんだとか。
クレイスさんが溺愛していた妹さんは、流行り病やまいで亡くなってしまったそうで、その時ときのクレイスさんの落ち込みようは周囲の人達が心配してしまう程ほどに酷ひどかったらしい。
そんな時ときに出逢って、献身的に支えてくれた女性がクレイスさんの彼女となって、婚約者候補だったんだけど──、11ヵ月前まえの≪ 南みなみのエリア ≫で、デートをする為に久し振ぶりに再会した彼女に振られてしまったんだとか。
振られた理由は「 妊娠をしたから別れてほしい 」だったんだけど、クレイスさんは彼女さんとは「 未まだ手も繋いでいないのに子供が出来るなんて──、どういう事!? 」とパニクったらしい。
何なんとか立ち直なおって元気になったクレイスさんは、騎士団団員から騎士団団員長に昇格して忙しくなった事で、彼女さんと会える時間を取るのが難むずかしくなったらしい。
会えない分ぶん、手紙を書いたり、細ささやかな贈り物をしたりしていたけど、彼氏と会えなくなった彼女さんは寂しさに耐えられなかったのか──、魔が差してしまったのか──、心こころ変がわりしてしまったのか──、理由は分からないけど浮気をして、間ま男おとこと不貞行為まで行おこなってしまったらしい。
頻繁に間ま男おとことデートを繰り返し、何なん度ども間ま男おとこと御互いの肉体を絡ませて、励んでいた矢先に彼女さんが懐妊──。
浮気相手の子供を妊娠してしまった彼女さんは、彼氏だったクレイスさんに別れを告げて去ってしまった。
まさか別れを告げられて振られるとは思っていなかったクレイスさんは、何なにが起きたのか頭が追い付かなくて暫しばらくの間あいだ、茫ぼう然ぜんとしていたらしい。
そんな矢先に《 屋台広場 》から出でて、1人で歩いていたアタシを見付けて声を掛けたみたいで──。
その日は奇くしくもクレイスさんの妹さんが亡くなった命めい日にちで──、クレイスさんは妹さんの墓参りをする為に休暇を取って《 実家 》へ帰省していたらしい。
で──、午後から彼女さんとデートの約束をしていたんだけど、振られてしまった…………。
妹さんの命めい日にちに、彼女さんから振られた後あと、妹さんと瓜うり二ふたつのアタシと出逢ったもんだから──、運命を感じちゃたらしい。
そんな訳で、アタシはクレイスさんから勝手に妹認定されてしまって、土日どのひになる度たびにクレイスさんから至いたれり尽つくせり状態になっている訳で──。
有あり難がたいんだけど、騎士団って国王の忠実な犬じゃん?
国王に忠誠を誓う忠ちゅう犬けんのクレイスさんを信用,信頼なんて出来る訳が無いんだよね。
アタシの行動を監視する為に付き添そってるかも知れないんだから!
背が高くて、無駄な筋肉が付いて無くて、身体からだは引き締まっていて、顔がん面めん偏差値も高くて、金髪碧眼で、声こわ色いろも良よくて、清潔感も有って、誠実で、紳士的で、過保護で優しい系のお兄さんで、気さくで女性に無害な男性って見た目なんだけど──、騎士団の鎧を装着して剣を抜くと、嘘みたいにガラッと性格が変わるらしい。
まるで車に乗ると性格が豹変するヤバい人みたい……。
騎士さん達はクレイスさんが騎士団団員長に昇格してから、ずっと朝から晩まで地獄の鬼強化訓練を受けていたらしい。
休きゅう日じつを返へん上じょうするくらいの働き魔だったらしく、偶たまの休暇と言えば、妹さんの命めい日にちに故郷へ帰る数日らしい。
騎士団副団員長候補とされている “ 鬼の団員長 ” のクレイスさんが、アタシの外がい出しゅつに付き添そう為に毎週土日どのひには必ず休みを取るようになった。
これは騎士団団員達にとっては “ 救い ” の一言。
そんな事も有ってか、アタシは騎士団団員達にと・っ・て・文字通どおりの “ 救世主 ” となってしまった訳で──。
騎士さん達とす・れ・違・う・度たびに頭を深ふか々ぶかと下さげられて挨拶をされるようになってしまった。
悪わるい気はしないけど──、事情を知らない人達からしたら「 何なに事ごとなの!? 」って思われて、アタシの方ほうが変な目で見られるようにもなった。
──*──*──*── 馬車の中
クレイスさんはニコニコ笑顔でアタシを見ている。
クレイスさんの妹さんが生いきていたら、17歳程ほどらしい。
クレイスさんは今年で25歳らしいから、妹さんとは8歳差みたい。
妹さんが流行り病やまいで亡くなった歳としは11歳の誕生日を迎えて2ヵ月後ごだったらしい。
クレイスさんが19歳の時ときか──。
亡くなる前まえの妹さんと瓜うり二ふたつの顔をしているアタシを見詰めるクレイスさんの目は優しい。
ニコニコ笑顔のクレイスさんの鬼の形ぎょう相そうなんて想像も付かない。
勝手に妹認定されてるけど、妹さんの髪色はクレイスさんと同じ金髪で、瞳も碧眼らしいから別人なんだけど…………、気にしないのかな??
馬車に乗り込んで座席に座すわった後あと、クレイスさんからミサンガみたいなのアクセサリーを貰った。
呼び名なは違うけど、手首や足首に結むすんで身に付けるのはミサンガに似にている。
もしかしたら、アタシ達より100年前まえに召喚された異世界人じんの誰かが、ミサンガの事を教えたのかも知れない。
クレイスさんと編あみ柄がらが御揃いのミサンガは左手首に結むすばれた。
このミサンガにはクレイスさんが得意とする魔法マジックが附与されているみたいで、アタシを危険から守ってくれるらしい。
梳屶惠美:テイナ
「 クレイスさんも魔法マジックが使えるんですね。
魔法マジックが使えるのに魔法師じゃないんですか? 」
騎士団団員長:クレイス
「 始めは魔法師でしたよ。
魔法師も体力が必要ですから。
ひ弱な身体からだで魔法マジックを使うと直すぐに倒れてしまうんですよ。
魔法まほうを使っても倒れないように、身体からだを鍛える為の運動を定期的にしていたんです。
魔法師は運動に関しては専門外がいですから、運動に詳しい騎士団に監督を頼んでいるんです。
其そ処こで騎士の素質が見られる魔法師は騎士団にスカウトされて、試験に合格すると魔法師から騎士団団員となるんです 」
梳屶惠美:テイナ
「 そうなんですね。
じゃあ、騎士さん達は魔法マジックを使える人が多いんですね 」
騎士団団員長:クレイス
「 そうですね。
魔法マジックが使える以上、魔法マジックをコントロールする為に魔法師を講師に迎え、魔法マジック専用の訓練も行おこないます 」
梳屶惠美:テイナ
「 へぇ~~。
騎士さんって多忙なんですね…… 」
騎士団団員長:クレイス
「 装飾具アクセサリーに魔法マジックを附与するのも訓練の一いっ環かんなんです 」
梳屶惠美:テイナ
「 そうなんだ…… 」
アタシは左手首に結むすばれたミサンガをマジマジと見る。
騎士団団員長:クレイス
「 私の魔法マジックは防御魔法の類たぐいでね、これから必要になると思うんです。
テイナの為に沢たく山さん用意しますから、切れたら着つけ直なおしてくださいね 」
梳屶惠美:テイナ
「 有あり難がとう御座います…………でも沢山って?
そんなに必要ですか? 」
騎士団団員長:クレイス
「 1年が経たちましたからね。
今年からは《 フィールド 》に出でて実戦訓練も始まります。
怪物モンスター,魔物マタムトを相手に戦闘をします。
弱いと言っても動物や猛獣を相手にするのとは訳が違います。
油断や慢心をすれば、死に直結するのが戦闘です。
私はテイナに怪我をしてほしくないんです。
無事に実戦訓練を終えて、帰って来きてほしいんです。
だから──外はずさずに身に付けていてください 」
梳屶惠美:テイナ
「 アタシは武器の扱い方かたなんて教わってないですよ。
アタシ以外の生徒達は、武器の扱い方かたを学んでいたんですか? 」
騎士団団員長:クレイス
「 そうですね。
救世主は怪物モンスター,魔物マタムトを倒せないと話はなしになりませんから。
武器の扱い方かたと戦い方かたの訓練は騎士団が教えていました。
実戦訓練にも騎士団が同行します。
戦闘には “ 絶対 ” は無いですけど、余よ程ほどの事でも起きない限り大丈夫です 」
梳屶惠美:テイナ
「 武器の扱い方かたも戦い方かたも知らないのに…………。
《 フィールド 》で実戦訓練しないといけないなんて── 」
騎士団団員長:クレイス
「 テイナの場合は戦わない後方支援ですから、実践訓練ですよ 」
梳屶惠美:テイナ
「 そう……ですね…… 」
今から気が滅め入いっちゃうなぁ~~。
何なにか良よくない事が起きても、セフィ白狼神フェンリルが居いるし、精霊さん達も居いてくれるから大丈夫だと思うけど──。