✒ 初めまして、弟よ!
──*──*──*── 廊下
隣の[ 宿泊室 ]のドアをノックすると、ドアが開いた。
ドアを開けてくれたのはお兄ちゃんだ。
ディリアディアズ
「 兄さん,レンダ──、入ってくれ。
ハインツが目を覚ましたんだ 」
レミィンダティナ
「 そうなの?
良かったぁ~~(////)」
レンディムダンテル
「 そうか。
記憶は有るのか? 」
ディリアディアズ
「{ その話は後で──。
レンダには聞かせられない内容だ }」
レンディムダンテル
「{ 分かった── }」
[ 宿泊室 ]に入ると、お父さんが手招きをしてくれる。
お父さんの近くに移動するとハインツがベッドの上で上半身を起こしていた。
レミィンダティナ
「 意識が戻って良かったね!
アタシはレミィンダティナ・ベラチヲだよ。
12歳!
君は本当の名前を覚えてる? 」
ハイベルツィウンツ
「 ……………… 」
ハインツは両目を瞑とる首を左右に振る。
アイベルファイラ
「 眷属になった事で、ノクタルルド語は聞き取れるようです。
唯、 声が出ないみたいですよ。
喉は潰されていませんから、精神的な症状だと思います 」
レミィンダティナ
「 精神的……。
筆談は出来るのかな? 」
アイベルファイラ
「 出来ますよ。
書けるのは帝国語と大陸語ですね。
ワタシとディアスは大陸語を使い筆談していました 」
レミィンダティナ
「 大陸語ならアタシも分かるよ! 」
アタシはお父さんが用意してくれた紙とペンを使って、ハインツと筆談をしてみた。
ハインツ曰く、今は未だ自分の本名を思い出せないらしい。
758年も生きてるお父さんは既に、ハインツに≪ 帝国 ≫について知っている事を教えたみたい。
ハインツの首の後ろに入れられている入れ墨は、≪ 帝国 ≫を統治する皇帝の実子であり、王位継承権が有る証みたい。
入れ墨には数字も刻まれていて、それが “ 王位継承権第◯位 ” なのかを示すらしい。
ハインツの王位継承権は第11位らしい。
第11位なんて、王位継承権を授かれる期待なんて皆無で遠い順位の気がするけど、それでもハインツは、勝手に奴隷にされて高値で売りつけられようとしていた。
≪ 帝国 ≫の王位継承権ってヤバくない?
もしかしたら、ハインツ以外にも同じような目に会わされている皇子や皇女が居たのかも知れないし、これからも現れるのかも知れない──。
≪ 帝国 ≫を統治する皇帝の血を継ぐ皇女が他国の変態性癖貴族に奴隷という立場で売買された後──、性奴隷という玩具にされて、変態性癖貴族の子供を無理矢理に産まされたりする事だって有り得るよね……。
産まれた子供達は成長する迄は育てられるだろうけど、変態性癖貴族なら、息子や娘なんて思いもしないで性奴隷として遊んだ後、娼館にブチ込んで金稼ぎに利用するかも知れない。
≪ 帝国 ≫を統治する皇帝の血を継ぐ皇女が産んだ子供達の体内には間違いなく≪ 帝国 ≫を統治する皇帝の血が流れている。
父親が誰だろうと、“ ≪ 帝国 ≫を統治する皇帝の血が流れている ” って事実は最高の肩書きになる訳で──、欲望を吐き出してスッキリしたい御客達にしてみれば、極上の玩具となるだろう。
目の前で不安そうな面持ちをしているハインツは……そんな起こりうる地獄のような絶望色に染まった未来から離脱出来た訳だけど……。
レミィンダティナ
「 ハインツ、一緒に強くなろうね!
LVを上げて、ソロになっても生き抜けるくらい強い男になろう!!
ハインツに酷い事をした奴等を余裕で成敗出して “ ギャフン ” と言わせられるくらい強くなろうね!
見返してやろう、帝国人達を!
ハインツのお父さんを!!
泣き寝入りしてメソメソしてる暇なんて無いよ★ 」
ハイベルツィウンツ
「 …………………… 」
アイベルファイラ
「 レンダ…… 」
ディリアディアズ
「 なら、先ずは腹拵えからだな。
美味い料理を食べて空腹を満たすんだ 」
レンディムダンテル
「 その前に身仕度を整えるのが先だろう。
その格好で外出は出来ないからな 」
ディリアディアズ
「 確かにそうだ。
父さん、丁度良さそうな服は持ってないのか? 」
アイベルファイラ
「 大人用の衣服しか持ってませんよ。
買い物に行きますし、一時的に着るには問題は無いでしょう 」
レンディムダンテル
「 テイナの服を着させる訳にもいかないからな…… 」
ディリアディアズ
「 テイナ?
レンダの事か? 」
レミィンダティナ
「 うん。
ニィニはアタシの事を “ テイナ ” って呼んでくれるみたい(////)」
ディリアディアズ
「 ティナ……ではなく “ テイナ ” と呼ぶのか?
…………ならオレは “ ティナ ” と呼ばせてもらおう 」
アイベルファイラ
「 ワタシは今まで通り “ レンダ ” と呼びますね 」
レミィンダティナ
「 うん 」
アイベルファイラ
「 ハインツ、立てますか? 」
ハイベルツィウンツ
「 ……………… 」
ハインツはコクリと頷くと、ベッドから出て、腰を上げて立ち上がる。
アイベルファイラ
「 ふらつきは見られませんね。
歩けますか? 」
ハイベルツィウンツ
「 ……………… 」
ハインツはコクリと頷くと足をゆっくりと動かして歩いてみせる。
ディリアディアズ
「 歩行に問題は無いみたいだな 」
レンディムダンテル
「 靴が必要だな 」
レミィンダティナ
「 着替えるならアタシは部屋から出た方が良いよね? 」
なんて言うと、ハインツがアタシに抱き付いて来た。
必死に首を左右に振っている。
レンディムダンテル
「 此処に居てほしいみたいだな 」
ディリアディアズ
「 懐いてもらえたみたいだな 」
ニィニもお兄ちゃんも微笑ましそうに笑っている。
レミィンダティナ
「 着替えを見られたら恥ずかしいでしょ?
嫌じゃないの? 」
アイベルファイラ
「 ハインツは嫌じゃないみたいですよ 」
そんな訳で外出する為にハインツの服を臨時で用意する事になった。
必要な物に気付いたら、ペンで紙にメモする事になった。
メモするのはアタシの役目!
お父さん,ニィニ,お兄ちゃんは、ハインツを取り囲んで、「 あ~でもない 」「 こ~でもない 」と良いながら、服を選んでいる。
これをアタシも “ 体験するのか ” と思ったら、ゾッとして来たのは内緒だよ★
アイベルファイラ
「 まぁ、良いでしょう。
髪は編み込んだので短くなりましたね。
中々の色男です。
成長が楽しみですねぇ 」
レンディムダンテル
「 《 武器屋 》で装備品も買わないとな 」
ディリアディアズ
「 子供用の剣が売られていた筈だ 」
アイベルファイラ
「 装備品は明日にしましょう。
今日はレンダとハインツの服を買います 」
レンディムダンテル
「 そうだな。
明日はじっくり装備品を買おう 」
ディリアディアズ
「 異義無し 」
セフィ
〔 皆、ハインツが実弟のように可愛いみたいですね 〕
レミィンダティナ
「( そうだね。
幾つくらいかな?
10歳くらいかな? )」
セフィ
〔 エイミよりは幼いですね 〕
アイベルファイラ
「 《 服屋 》は《 靴屋 》の後で向かいましょう 」
お父さんは裸足のハインツを抱っこする。
[ 宿泊室 ]を出たら、エスカレーターに乗って1階まで下りた。
──*──*──*── 1階
広いロビーを歩いて[ フロント ]へ移動すると、お父さんが移動用の馬車を頼んでくれた。
《 宿泊施設 》を出ると馬車が停車している。
1人目の馭者が馬車の扉を開けてくれる。
アタシ達が馬車に乗車すると、馭者が馬車の扉を閉めてくれる。
馬車が動き出す。
馬車は《 施設街 》を出ると《 商店街 》へ向かって走る。
レミィンダティナ
「 《 商店街 》って以外と遠いんだね 」
ディリアディアズ
「 徒歩だと40分は掛かる距離だからな。
馬車なら10分も掛からず着ける 」
レンディムダンテル
「 馬車には待っててもらうのか 」
アイベルファイラ
「 勿論です。
帰りは荷物が増えますからね。
馬車には待機してもらいます 」
レミィンダティナ
「 《 宿泊施設 》で頼む馬車には馭者が2人も付くんだね 」
アイベルファイラ
「 馭者が3名の馬車も有りますよ。
この馬車より大型な馬車になりますし、値段も高いです 」
レミィンダティナ
「 馬車の大きさで馭者の人数が変わるんだ…… 」
──*──*──*── 商店街
馬車は《 商店街 》に入ると《 靴屋 》の前で停車する。
馭者が馬車の扉を開けてくれる。
アタシ達は馬車から降りて、《 靴屋 》に入店した。
《 靴屋 》ではハインツの履く靴を選んで購入した。
アタシの靴も買う流れになったから、丁重に断った。
服を買う際に一式を買う場合、帽子,靴,鞄,日傘とか諸々が付いて来るらしいからね!
これは漫画の知識だから、絶対って訳じゃないけど──、一生懸命に熱弁したら思い止まってもらえた。
《 靴屋 》を出たら《 服屋 》へ向かう。
馬車は到着した《 服屋 》の前で待機してくれる。
──*──*──*── 服屋
先ずはハインツの私服を優先的に選ぶように誘導した。
ハインツはお父さん,ニィニ,お兄ちゃんの着せ替え人形と化している。
ハインツが終わったら、次はアタシの番かぁ…………憂鬱ぅ~~。
お父さん,ニィニ,お兄ちゃんはセンスが良いのか、変な衣服を選ばない。
何れもハインツに似合うような衣服を選んでいるから一寸安心した。
ディリアディアズ
「 こんなものか? 」
レンディムダンテル
「 少ない気がするが── 」
レミィンダティナ
「 十分だと思うけど?
下着は多めに買った方が良いかもね。
寝間着はバスローブでも良いと思うけど── 」
アイベルファイラ
「 取り敢えず、今回は6着にしときましょう 」
そんな訳で、会計が済んだ衣服はお兄ちゃんが馬車に運んでくれた。
次はアタシがお父さん,ニィニ,お兄ちゃんの着せ替え人形と化す番がやって来てしまった。
ハインツの私服を選ぶ時よりも気合が入っている気がする。
何故かアタシの着る私服の方が多いよぉ……。
レミィンダティナ
「 ねぇ……11着は流石に多いし、要らないと思うの。
もう少し減らせないかな? 」
アイベルファイラ
「 減らすなんて有り得ません!
寧ろ増やしたいくらいです 」
レミィンダティナ
「 増やさなくて良いよぉ!(////)」
アタシはお父さんの手を引っ張って、支払いを強要する。
レンディムダンテル
「 テイナは遠慮深いんだ 」
ディリアディアズ
「 オシャレに興味が無いのか? 」
お兄ちゃんは少し残念そうな表情をする。
お兄ちゃんは、もしかしてオシャレが好きな女の子が好みなのかな?
レミィンダティナ
「 冒険者にオシャレなんて必要かな?
生きるか死ぬかの生活をしてるのに、オシャレにうつつを抜かす冒険者って…どうなのかな? 」
あぁ……喧嘩腰に言っちゃった。
レンディムダンテル
「 テイナ…… 」
アイベルファイラ
「 オシャレを好む女性冒険者は多いですよ。
BRが上がると実力も付きますし、報酬額も上がります。
貯金する余裕も出てきますからね、女性冒険者はオシャレに走るんです。
何も珍しい事はありません。
色気は女の武器ですからね、使わない方が損だと考える女性冒険者は多いですよ 」
レミィンダティナ
「 そうなんだ…… 」
アイベルファイラ
「 オシャレは許しますけど、無駄に露出度の高い格好をする事は許しませんよ!
両肩が丸見えとか、胸の谷間が見えるとか、生足を出すとか、太股が見えるとか、刺激的な格好は禁止です! 」
レンディムダンテル
「 テイナに関しては、そんなはしたない格好はしないと思うがな 」
レミィンダティナ
「 当たり前だよ!(////)
スタイルに自信が無いのに際どい格好なんてしないよ!
恥ずかしくて外を歩けないよ(////)」
ディリアディアズ
「 そうだな。
破廉恥な格好はティナには似合わない 」
アイベルファイラ
「 支払いを済ませてきますね。
ディアスとレムダンは荷物を馬車まで運んでください 」
レミィンダティナ
「 ハインツ、お姉ちゃんと一緒に馬車に戻ろうね 」
アタシはハインツの右手を掴んで握る。
ハインツは顔を赤らめて、アタシを上目遣いに見詰めて来る。
可愛いな、ちくしょう!!(////)
幼い男の子って、何でこんなに可愛いの!?
アタシが護身術で合気道を習っていたら、ハインツに合気道を教える事が出来たのにな──。
お姉ちゃんだもんね、弟は守らなくちゃ!!
会計が終わるとニィニとお兄ちゃんが荷物を馬車に運んでくれる。
《 服屋 》を出て、馬車に乗車する。
馬車は《 商店街 》を出ると《 施設街 》を目指して走っている。
《 宿泊施設 》に戻ったら、[ 食堂室 ]で夕食を食べる予定。
《 宿泊施設 》には[ 浴場 ]も在るらしいから、入浴してみようかな~~って思う。
──*──*──*── 施設街
──*──*──*── 宿泊施設
馬車は《 宿泊施設 》の前に停車する。
馭者が馬車の扉を開けてくれる。
馬車を運転してくれていた馭者も馬車から荷物を下ろすのを手伝ってくれる。
お父さん,ニィニ,お兄ちゃんが荷物を持って歩く。
アタシはハインツと手を繋いで歩く。
馬車は去って行く。
《 宿泊施設 》に入ると従業員総出で出迎えられた。
荷物が有るからエレベーターに乗って4階へ上がった。
──*──*──*── 4階
[ 宿泊室 ]に荷物を置いたら、[ 食堂室 ]に向かう事になった。
ハインツは買ってもらった私服に着替えてから[ 食堂室 ]へ来るみたい。
アタシは買ってもらった私服には着替えないよ!




