──*──*──*── 夕方
──*──*──*── フィールド
昨日と同様に神官長の合図で実戦訓練は終了した。
神官長は魔法師達と共に《 フィールド 》を去って行く。
救世主達も騎士団に促されて、誘導されながら《 フィールド 》を去って行く。
アタシは≪ 王都 ≫に向かって歩く救世主達から出来るだけ離れたいけど、《 フィールド 》は見晴らしの良い平原が広がっているから、身を隠す場所が無いんだよね……。
なんて考えていると霧が出て来た!
朝霧みたいな霧が、徐々に濃くなっていくのが分かる。
セフィ
〔 主人様、精霊が調達した馬車が此方に── 〕
梳屶惠美
「 馬車を用意してくれたの?
凄いね! 」
調達………………拝借の間違いじゃないのぉ?
でも、そんな野暮な事をアタシは言わないよ!
アタシの為に用意してくれた馬車な訳だし。
セフィに手を引かれて馬車が停まってる場所まで移動する。
──*──*──*── 馬車
馬車の中に入はいると着き替がえ一式が置かれている。
これも精霊さんが何ど処こからかパクって用意してくれてのかな?
セフィ
〔 主人あるじ様、此方こちらに着き替がえてください。
着き替がえ終わり次第、主人あるじ様の死体を用意します 〕
梳屶惠美
「 うん…… 」
アタシが馬車に乗ったからか、馬車が動き出だした。
魔法マジックの鞄バッグを外はずしたら、ローブを脱いでジャージも脱ぐ。
靴下と愛用していた運動靴ぐつも脱ぐ。
梳屶惠美
「 …………下着も脱がないと駄目なんだよね? 」
セフィ
〔 そうですね。
下着も用意してますので安心してください 〕
梳屶惠美
「 …………身に付けてるのも外はずさないといけないんだよね? 」
セフィ
〔 そうですね。
死体を残す事を提案されたのは主人あるじ様です 〕
梳屶惠美
「 其そ処こまで考えて無かったよ…… 」
アタシは身に付けてるミサンガや髪飾りも外はずした。
クレイスさんが魔法マジックを附与してくれたミサンガ…………さよなら!
クレイスさんがくれた高そうな髪飾り…………さよならぁ!!
梳屶惠美
「 魔法マジックの鞄バッグは?
これともサヨナラしないといけないの? 」
セフィ
〔 普通の鞄バッグを使いますので大丈夫です。
誰も主人あるじ様が魔法マジックの鞄バッグを持っている事を知る者は居いませんから 〕
梳屶惠美
「 そっか。
良よかったぁ~~~~♥️ 」
アタシが着き替がえ終えると、脱いだ衣服類,ミサンガ,髪飾り,靴下,運動靴ぐつはセフィ白狼神フェンリルに回収された。
梳屶惠美
「 そう言えば、クレイスさんは?
クレイスさんは何ど処こに居いるの? 」
セフィ
〔 クレイスなら馭ぎょ者しゃをしてくれています。
クレイスの着き替がえも済んでいます。
正体がバレないよう、髪,瞳,肌の色いろを変えました。
主人あるじ様の髪,瞳,肌の色いろも変えますね。
兄妹きょうだいに見えるよう、お揃いの色いろにします 〕
セフィ白狼神フェンリルが鏡を見せてくれる。
アタシの髪と瞳の色いろは紫むらさきに変わっている。
肌は小麦色いろより若じゃっ干かん薄いかな。
梳屶惠美
「 うわぁ…………まるで別べつ人じんだね!
色いろが違うだけで印象ってこ・ん・な・に・も変わるんだね~~。
これならクラスメイトと鉢合わせしても気き付づかれないかも! 」
セフィ
〔 目め指ざしている≪ 村落 ≫には《 冒険者ギルド 》が在ります。
其そ処こで冒険者登録を済ませましょう。
冒険者登録を済ませたら≪ 町ちょう ≫を目め指ざします 〕
梳屶惠美
「 冒険者登録!
人生初の《 冒険者ギルド 》かぁ~~。
楽しみぃ~~♥️
ところで、今って≪ 王都ケンレイクバ ≫は、どうなってるの? 」
セフィ
〔 転移させた魔獣ジエンダの群れに襲われています。
濃のう霧むの中で戦闘になりますから、苦戦している事でしょう 〕
梳屶惠美
「 そっか……。
皆みんな、無事だと良いいんだけど…… 」
セフィ
〔 《 ダンジョン 》の最深部に巣す食くっている魔獣ジエンダですから無事では済みませんよ。
夜明けには撤退させます。
それ迄は確しっかりと時間稼ぎをしてもらいます 〕
梳屶惠美
「 …………………… 」
アタシが馬車に乗って窓から夜の景色を楽しんでる一いっ方ぽうで、≪ 王都ケンレイクバ ≫は大変な危機に見舞われている訳だ。
一寸ちょっとだけ罪悪感……。
関係の無い都と民みんが本来なら遭わなくても良いい筈の被害に遭ってる──。
責任、感じちゃうなぁ~~。
とは言え、セフィ白狼神フェンリルも精霊さんもアタシの為にしてくれてる訳だから、文句なんて言える訳がないし、責めるなんて持っての他ほかだ。
アタシはセフィ白狼神フェンリルと精霊さんに対して、感謝しなくちゃいけない立場なんだ……。
セフィ白狼神フェンリルと精霊さんって、人人間族の事、どう思ってるんだろう……。
夜よるの《 フィールド 》は真まっ暗くらで何なにも見えない。
こんな暗闇の中をクレイスさんは馬車を運転してくれてるんだよね。
クレイスさんにも御礼を言わないとだね。
だって、本来なら≪ 王都ケンレイクバ ≫に残って、騎士団と一緒に魔獣ジエンダを退治しないといけない立場なのに、アタシの旅に同行する為に死んだ事にしてくれる訳だからね。
何なにをしたら、クレイスさんに対しての御礼になるんだろう。
未いまだに吹っ切れてない亡くなった妹さんの代わりに、クレイスさんの妹を演じたら良いいのかな?
クレイスさんを「 お兄ちゃん♥️ 」って呼んであげるとかでも良いいの??
兄妹きょうだいを演じる事になるなら、自然に「 お兄ちゃん 」呼びにはなるだろうけど。
う~~ん…………分からん……。
男じゃないから、大人の男の人が喜びそうな御褒美がサッパリだよぉ~~。
こういう時ときこそ(?)、セフィ白狼神フェンリルだよね!
セフィ白狼神フェンリルって、声も見た目も男っぽいし!
これで性別がアタシと同じ女だったら、ショックを受けて残念な気持ちになっちゃうかも知れない……。
梳屶惠美
「 ねぇ、セフィは男の子なの?
アタシと同じ女の子なの? 」
セフィ
〔 我われに性別は有りません 〕
梳屶惠美
「 性別……無いの??
両性って事?? 」
セフィ
〔 両性でも有りません。
性別という概念が無いのです。
性別が有りませんから、態わざ々わざ子こ作づくりをして子孫を残す必要も無いのです 〕
梳屶惠美
「 ????
えぇとぉ…………セフィは獣じゅう神しんの末裔なんだよね??
末裔って事は獣じゅう神しんには子供が居いて、孫も居いた事になるんじゃないの??
獣じゅう神しんの子孫の末裔がセフィなんだよね?? 」
セフィ
〔 我われは “ 先祖返がえり ” という特殊で稀き少しょうな忌いみ子ごなのです 〕←─ 大嘘
梳屶惠美
「 先祖返がえり………… 」
セフィ
〔 “ 先祖返がえり ” が産うまれる事は、とても珍しい事です。
我われは獣じゅう神しん白狼神フェンリル皇こうに最もっとも近い白狼神フェンリルなのです。
よって性別は無く、男だん女じょどちらの姿にもなれるのです 〕
梳屶惠美
「 そうなんだ?
それって凄いね!
セフィの事が少し知れて嬉しい♪ 」
セフィ
〔 主人あるじ様に喜んで頂けて我われも嬉しいです♪ 〕
梳屶惠美
「 あのね、セフィ………… 」
セフィ
〔 どうされましたか、主人あるじ様? 〕
梳屶惠美
「 ……………… “ 主人あるじ様 ” って……他た人にん行ぎょう儀ぎっぽくて……一寸ちょっとね、苦手なんだよね……。
セフィはアタシの専属ワンコなんだから、もっと親しみを感じる呼び方かたをしてほしいの 」
セフィ
〔 親しみを感じる呼び方かたですか? 〕
セフィ白狼神フェンリルは困ったように顔を曇らせて首を傾かしげている。
梳屶惠美
「 アタシの特別なセフィにはね、“ エイミ ” って呼んでほしいの。
本ほん名みょうの名前だよ。
セフィの声こえはアタシにしか聞こえないんだから、別に構わないでしょ?
“ 主人あるじ様 ” は止やめて、“ エイミ ” って呼んで! 」
セフィ
〔 それは………………。
我われは主人あるじ様と従魔契約をした白狼神フェンリルです。
従魔如ごときが尊とうとき主人あるじ様の名前を呼ぶ事は出来ません…… 〕
梳屶惠美
「 何なんで駄目なの?
セフィはアタシの専属ワンコだよ!
特別なんだよ!
じゃあ、命令するから呼んでよ!! 」
セフィ
〔 主人あるじ様…………。
例え命めいじられても無理なのです 〕
梳屶惠美
「 ………………少しくらい融ゆう通づう利きかせてくれても良いいでしょ? 」
セフィ
〔 主人あるじ様の気持ちは、この上うえなく嬉しいです(////)
ですが、主人あるじ様を名前で呼ぶ事は…… 〕
梳屶惠美
「 それでもアタシはセフィに “ エイミ ” って呼んでほしいの!
何なにか方法は無いの?
抜け道みち的な方法が有る筈でしょ? 」
セフィ
〔 それは………… 〕
梳屶惠美
「 有るんだね!
教えてよ、セフィ。
黙だんまりは許さないよ! 」
セフィ
〔 ………………有るには有りますが……我われは気が進みません……。
苦く肉にくの策さくなので…… 〕
梳屶惠美
「 苦く肉にくの策さくぅ??
良よく分からないけど、教えてよ 」
セフィ
〔 ………………主人あるじ様が我われと番つがい契約をする事です。
番つがい契約とは、主人あるじ様が従魔契約を交わした我われと伴侶になる契約です 〕
梳屶惠美
「 つがい??
はんりょ??
………………夫婦になるって事かな? 」
セフィ
〔 いいえ、夫婦になる契約では有りません。
あくまで伴侶です 〕
梳屶惠美
「 小こ難むずかしい事は分からないけど──、セフィとアタシが “ つがい契約 ” ってのをしたら、セフィはアタシの事を “ エイミ ” って呼んでくれるの? 」
セフィ
〔 可能になります。
伴侶になりますので…… 〕
梳屶惠美
「 じゃあ、しよう!
セフィと “ つがい契約 ” するよ。
どうやって契約するの? 」
セフィ
〔 主人あるじ様、本気ですか!?
“ 名前で呼ばれたい ” という理由だけで交わしても良よい契約では無いのですが── 〕
梳屶惠美
「 だって、つがい契約しないと名前で呼んでくれないんでしょ!
つがい契約しなくても “ エイミ ” って呼んでくれるの?
どうなの、セフィ!
それともセフィの方ほうが主人あるじのアタシと “ つがい契約 ” するのが嫌いやなの? 」
セフィ
〔 嫌いやでは有りません!
嫌いやな訳が有りません…………嬉しいです(////)
ですが…1度、番つがい契約を交わしてしまえば、解除する事は出来ません……。
主人あるじ様が今世このよで寿命を迎えて亡くなられたとしても、我われが生存している限り、主人あるじ様は我われの番つがいとなります。
主人あるじ様が来世あのよへ転生し、違う人間として産うまれても、我われが主人あるじ様の番つがいなのです。
番つがい契約は魂たましいに刻きざまれ、繰り越される契約なのです。
安あん易いに交わしても良よい契約では無いのです…… 〕
梳屶惠美
「 そんなの全然良いいよ。
だってアタシじゃない違う誰かに生まれ変わっても、またセフィと会えるんでしょ?
セフィと暮らせるんでしょ?
セフィは “ つがい ” になったアタシを見付け出だしてくれるんでしょ? 」
セフィ
〔 勿論です。
主人あるじ様が来世あのよへ転生しても、我われには探し出だす事が出来ます。
ですが……転生した主人あるじ様には記憶が有りません。
前世の記憶は魂たましいの奥底で眠る事になりますので…… 〕
梳屶惠美
「 前世の記憶が削除されたりしないの? 」
セフィ
〔 記憶を削除される事は有りません。
極ごく稀まれに夢で見る事は有るかも知れません。
ですが目を覚ませば記憶には残らず忘れてしまいます 〕
梳屶惠美
「 セフィが嫌いやじゃないなら、つがい契約して!
アタシはセフィと “ つがい契約 ” したいんだからね! 」
セフィ
〔 ………………主人あるじ様……(////)
分かりました。
主人あるじ様の想いを汲くみましょう。
我われは主人あるじ様の希望を叶えます 〕
セフィ白狼神フェンリルは少し考えてから、決けっ心しんしてくれたみたい。
セフィ白狼神フェンリルは何なに語ごか分からない呪文を唱え始めた。
両目を瞑つむって呪文を唱えるセフィが男おとこ前まえのハンサムイケメンさんに見える。
アタシは素直に “ カッコイイ ” って思ったし、“ 好このみなんだ ” って自覚した。
来世あのよに生まれ変わったアタシの好このみは分からないけど──、セフィと再会が出来たなら、不幸な人生を歩むような事にはならないんじゃないかと思う。
セフィとの “ つがい契約 ” は来世あのよに生まれ変わった別人のアタシへの投資って事にしよう★