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第11話仲間の喪失と覚醒

 レメゲトンの停止から、わずか二十四時間後だった。


 


 黒域0351で異常振動が観測され、チーム・バレットに出動要請がかかる。


 だが――リタは、片腕を欠いていた。


 


「……レメゲトンなしで出るの、無謀じゃない?」


 


 クロエが心配そうに言う。


 


「私は行く。レメゲトンは今も、私の中にいる。

 撃つのは、“私”だって、もう決めたから」


 


 リタの言葉に、レオがわずかに頷いた。


「なら、俺はお前を守る。今度は、撃つ側じゃなくて“隣”でな」


 


 出動直後、現場はすでに――燃えていた。


 黒の記憶が暴走し、構造物が捻じれ、地形が歪む。

 人々の“痛み”が渦を巻いていた。


 


「リタ、左に3体! 全員ノワール!」


「了解! ユリシーズ、行ける?」


「応答に問題はない。制御は完全だ、撃て」


 


 リタは、片手の銃で暴走体に立ち向かった。


 けれど、それは限界のある戦いだった。


 


 圧力に飲まれかけた瞬間――


 


「はああぁあっ!!」


 


 クロエが叫びながら飛び込んだ。


 火炎砲“エクリプス”を自らの身体ごと抱え込み、ノワールの中心に突っ込む。


 


「ダメだ、そんなの――っ!」


 


「いいから……今は、お前が引く番だ、隊長……!」


 


 爆光が、視界を白く染めた。


 


 リタはクロエの名を叫びながら駆け寄る。


 だが、そこにはすでに、焼け焦げた“砲”だけが転がっていた。


 


「クロエ……クロエえええっ!!」


 


 ノワールの残滓が、リタの足元に滴る。


 混濁した“記憶”が語る。


 


《……守れた? ……これで、よかった……?》


 


 リタの心に、音が響く。


 


 ――キン。


 


 ユリシーズが震えた。


 


「リタ・ブレイズ、照準修正。今の君は、臨界を超えている。

 撃て。撃て、今なら――お前の“記憶”で、世界を変えられる!」


 


 ユリシーズがリタの“記憶モード”を強制展開する。


 


 父を失った記憶。

 仲間を失った記憶。

 笑った夜、泣いた日、出会いと、選び損ねた選択。


 


 それらが、銃に“力”として宿っていく。


 


「――もう、失わない!!」


 


 リタは飛んだ。泣きながら、怒りながら、撃った。


 片方の銃で、すべての“悲しみ”を撃ち抜いた。


 


(第11話・了)

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