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第66話 剣の谷へ8

俺たちは、ヴァイスから渡された古びた地図を手に、谷の奥深くへと向かっていた。

朝露の光をまとった小道を、凛花が俺の後ろを小さな足でついてくる。


「お兄ちゃん、あの遺跡……こわくない?」


凛花の問いかけに、俺は小さく笑って返す。


「怖くないって言えば嘘になる。けど……俺たちなら、きっと乗り越えられる。な?」


「……うん。お兄ちゃんが一緒なら、わたし……どこでも行けるよ」


ぎゅっと俺の手を握るその小さな手が、少しだけ強くなっている気がした。

この旅の中で、凛花は確実に変わっている。そして、俺も――。


木々を抜けた先に、霧がかった断崖と、巨岩に守られるように口を開いた石造りの門が現れた。

それが、ヴァイスの言っていた“天秤の剣”の眠る遺跡だった。


「ここか……」


門の両脇には、剣を掲げる騎士像。そして中央には、天秤に剣が刺さった奇妙なレリーフ。

魔力の反応が微かに、しかし確かに漂っている。


「お兄ちゃん、この扉……魔法で閉じられてる。多分、魔力の波長を合わせないと開かないかも」


「つまり、鍵は……俺たち自身の魔力ってことか?」


「うん、たぶんね」


俺は凛花と目を合わせ、同時に手を扉に触れた。

次の瞬間、魔力のうねりが二人の間に共鳴を起こす。


――ヴォォン……


石の門が軋みを上げて開いていく。その向こうには、暗く長い回廊が続いていた。


「行こう、凛花。気を抜くなよ。罠もあるかもしれない」


「うん。お兄ちゃん、気をつけて」


俺たちは一歩、一歩と遺跡の奥へと進んでいく。


しばらく歩いた先、突然、天井から何本もの矢が飛び出した。


「凛花、伏せろ!」


俺は凛花を抱えて身を沈め、すれすれに矢が頭上を通り過ぎた。

壁の一部には、石板と奇妙な記号が浮かび上がっている。


「謎解きか……」


「お兄ちゃん、これ、順番通りに魔力を流せば、先に進めるかも。だけど、間違えたら……また罠が作動する」


「よし……ここは俺に任せろ。お前は後ろにいろ」


俺は記憶の中にある、魔術の基本式や紋章のパターンを呼び起こし、慎重に魔力を流す。

一つ、また一つと記号が輝いていき――


――カチンッ


低い音を立てて、石の壁が横に開いた。

次の空間へと続く道が姿を現す。


「やった……! お兄ちゃん、すごいよ!」


「ふっ……まあな。けど、ここからが本番だ」


その先には、澄んだ光を放つ水晶の間が広がっていた。中央には、剣が一本、天に突き立てられるように浮かんでいる。


だがその瞬間、俺の背筋に寒気が走った。


「凛花、下がれ……!」


霧のような気配の中から、黒い影が現れる。

それは人の姿をしていたが、明らかに“人ではない”。


「ようやく来たか。蒼真、凛花――“記憶の鍵”を持つ者よ」


その声は、低く、不気味で、どこか哀しみに満ちていた。


「……誰だ、お前」


「名乗る必要はない。ただ……試練を越える資格があるか、それだけを見極めに来た」


――気配が膨れ上がる。


記憶と魔力を駆使し、兄妹はその試練にどう挑むのか――

読んで頂きありがとうございます。

『星の守り人 〜妹と歩む異世界の旅〜』は別の小説投稿サイトにて初めて投稿したものです。

ぜひ感想や応援などもらえるととてもうれしいです!

これからもよろしくお願いします!

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