表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/81

第40話 風を越えた約束2

剣はただ振るえばいいというものではない――

その事実を、蒼真は毎日身体で思い知らされていた。


ガライの稽古は徹底して「基礎」を叩き込むものだった。

一日千回の素振り、同じ足捌きの繰り返し、間合いと反応の練習。剣を抜かせてもらえるのは、日も沈む頃になってからだった。


「……今日は、構えの崩しと“影の型”だ」


夕暮れの谷間に、二人の足音が響く。

老剣士ガライは一本の木剣を握り、静かに構えた。


「影の型……それって?」


「“影”とは己自身だ。相手の動き、過去の記憶、恐怖、迷い――それらに囚われることなく、自分自身の“影”に打ち勝つ型だ」


そう言ってガライが踏み出した一歩は、地を割るような勢いだった。


その一撃を受け止めた蒼真は、衝撃に足を取られ、吹き飛ばされそうになる。


「ぐっ……!」


「まだ甘い! 記憶に囚われている限り、身体は“過去”の動きしかしない。

“今”を切り裂くには、“今”を感じろ! 頭で考えるな、魂で剣を振れ!」


その夜――


蒼真は、焚き火の前で剣を構えていた。目を閉じ、自分の呼吸と鼓動に意識を集中させる。


クロエの最後の叫び。

凛花の小さな手の温もり。

自分が守りたいと思ったすべてのもの。


(あのときの俺じゃ、届かなかった……でも、今なら……)


剣を振る。


その軌道に、静かに風が流れた。


「……見えたのか?」


背後から、ガライの声がした。


「少しだけ、です。でも……わかった気がします。“影”を断ち切る剣。これが、俺の剣です」


 


 


その翌日――


蒼真は初めて、実戦形式の修行に挑むことになった。


ガライは森の奥深くに導き、古の封印が施された遺跡の前に立った。


「ここには、“剣の記憶”が封じられている。

挑む者の記憶と向き合い、それを乗り越えなければ先へは進めん。お前の“影”を試すには、ちょうどいいだろう」


扉が開かれると、ひんやりとした空気が流れ出した。

その中には、蒼真の知らぬはずの剣士たちの気配が漂っていた。


――記憶を映す剣の幻影。


それらはガライのかつての師、戦場で死んでいった剣士、名も無き英雄たちの記憶から形づくられていた。


「さあ、進め。これは修行ではない。“覚悟”の試練だ」


蒼真はゆっくりと剣を抜いた。


その刃先には、かすかに“風”のような魔力が纏い始めていた。


(いくぞ……俺は、過去を断ち切る)


足を踏み出す。


炎の剣士、影を纏う騎士、そして最後には“かつての自分”が幻影として立ちはだかることになる。


だが、それを超える先にこそ――蒼真だけの剣が待っている。

読んで頂きありがとうございます。

『星の守り人 〜妹と歩む異世界の旅〜』は別の小説投稿サイトにて初めて投稿したものです。

ぜひ感想や応援などもらえるととてもうれしいです!

これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ