表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/192

お金と経験値

 帰りは王都のショッピング街で馬車を降ろしてもらって、レアナと約束していたカフェに。

 訓練で魔力と体力使ったから、甘いものが無性に恋しい。

 ふたりでケーキをふたつずつ食べてしまった。

 満足。


「経験値稼ぎかあ……最近討伐にも行けないもんね」

「なんかいい方法ないかなあ。このまま学園の中に引きこもっていたら、スキルの練習はできても、レベルは上がらないよね」

「あっそうだ! いいこと思い出した。マルクがねえ、モンスター闘技場っていうところで、この間お金儲けたんだって」


 レアナの話では、王都にはモンスターと戦うイベントがあって、毎週闘技大会が開催されているらしい。

 観客は掛け金を支払って入場するシステムになっていて、出場者は勝てば掛け金の一部を賞金としてもらえるそうだ。

 勝てば経験値も稼げて、お金ももらえるってことだよね。

 面白そうな話ではあるけど。


「マルク、そんなところで鍛えてたんだ」

「なんか、ワルデック先生から聞いたらしいよ。先生も昔そこで鍛えてたって」

「へえ、私たちでも勝てるのかな?」

「マルクが言うには、1回戦や2回戦のモンスターはそれほど強くないって。その代わり賞金もたいしたことないみたいだけど」

「賞金はともかく、経験値稼ぎにはいいかもね。一度こっそり偵察に行ってみようか?」

「うん、行ってみようよ! 私も自分がどれぐらい強くなったのか、試したいなあ」


 マルクがひとりで頑張っているみたいなので、私たちもポーション作りを再開しようという話になった。

 だけど、最近は薬草採取にも行けてない。

 材料を集めるのが先決だよね。

 月見草もできたらストックしておきたいなあ。

 なんせ、私たちのパーティーは、魔力頼みなところがある。


「ポルトの湖に行けたらいいんだけど、あのあたりって最近どうなんだろ?」

「この間ギルドで聞いたら、森の中に入らないといけない討伐はBランク以上のパーティーだって。やっぱりベアファングが増えてるらしいよ。あと、シルバーウルフも出るって」


 パーティー『時限』は一応Bランクパーティーだ。

 経験は少ないけど、ベアファングとシルバーウルフだけだったら大丈夫かなあ。

 最初に戦った頃よりは、みんな強くなってるし。

 ベアファングとシルバーウルフは高く売れそうだよね。


「学園はギルドの依頼を受けるのは推奨してるんだし、ポルト周辺の依頼を受けるのはいいかもね」

「そうだね! ギルドに行って、依頼を見てみようよ」


 帰りにギルドに寄ってみると、ポルト周辺の魔獣討伐の依頼は、複数出ていた。

 周辺の街の畑なんかに、かなり被害が出ているらしい。

 街の近くまで来ているということは、森の中だけでは魔獣の食料が足りないぐらい増えているんだろうか。

 そもそも、王都で魔獣が増えている原因って、なんなんだろう。


 これは、「クリストフの剣」の物語に書いてあった情報だけど、昔この世界に魔神が出てきたのは、悪魔と契約を結んだ人間が魔界から召喚したからだという。

 魔界からどんどん勝手に魔物がやってきた、という話ではないらしい。

 再び、邪教の人間が魔物を召喚しているのだとしたら、背筋がゾっとする話だ。

 皆、あまり触れないのが暗黙の了解みたいになってるけど、あの黒マントたちは魔人なんだろうか。


 ま、黒マントのことは置いといて、街にまで被害が出ているなら、討伐してあげたら喜ばれるよね。

 学園に帰ったら、討伐依頼を受ける申請を出してみよう。

 ……と思ったのだけど。



「ダメだ、ダメだ。お前らは今学園から出るのは禁止!」

「ええーっ、でも。街の人たちも困ってるみたいだし」


 ワルデック先生に大反対されてしまった。

 

「そんなの、他の冒険者パーティーにまかせおけばいいだろうが」

「私が狙われてるかも、っていうのはわかるんですけど、じゃあ、いつまで学園にこもっていたらいいんですか? このままじゃ強くなれません!」

「そうです! 私たち、訓練ばっかりしていて、実戦が足りないんです!」

「僕は研究のために、採取に行きたいです」

「俺はベアファング狩って、ステーキ食いたいぜ!」


 ワルデック先生は困ったように、ため息をついた。

 こういうお願いをするなら、スワンソン先生よりも、ワルデック先生の方が話が通じる。

 なんせ、ワルデック先生自身が、戦いは好きなのだ。

 マルクに色々悪知恵を授けてるぐらいだし。


「わかったよ。その代わり、俺が引率でついていく。それが絶対条件だ」

「いいんですかっ!」

「特別Aクラスの校外学習として認めてやる。まったく、スワンソン先生に怒られるの、俺だぞ?」

「ありがとうございます!」


 ワルデック先生がついてきてくれることになった。

 久しぶりにみんなでポルトの森に行けることになって、マルクもニコラくんも喜んでいる。

 満月の夜に行けば、月見草採取もできるし。

 そういえば、デビルフィッシュの塩焼き、食べたいなあ。


 オーグストは別にどっちでもいいと言ってたんだけど、校外学習ということになってしまったので、一緒に行くことになった。

 ポルトの森にはアンデッドはいないし、剣の腕を磨くにはいいかもね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ