特Aクラス
「それと、今日あなたたちを呼び出したのは、別の用件です。今後しばらくの間、あなたたち5名は、特別Aクラスとして実技訓練を受けてもらいます。指導にはワルデック先生と、メルギス先生と私があたります」
「特別Aクラス?」
思わず全員が声をあげてしまった。
「先日のあなたたちの戦闘を見ていて、私たちの指導が追いついていないことに気付いたのですよ。デイモントさんには、聖騎士としての指導をしていなかったことを、申し訳なく思っています。デルビーは、今後戦闘に参加する意志があるなら、Bクラスの授業ではやっていけません。それと、オルゴットさん」
「ひえっ、はいっ!」
「あなた、火魔法を使えるそうですね。冒険者の人たちから報告があがっています」
バレている…。
この間、9階層で先生たちを待っているときに、スケルトン相手にボム使ってたもんなあ。
冒険者の人に告げ口されてしまった。
「はいっ…あのう、ちょっとだけですけど」
「謙遜しなくても結構です。とてもめずらしいですが、あなたぐらいの年齢になってから、魔法の才能が急に伸びるケースもあります。あなたとデイモントさんは、騎士科の授業だけでは、能力を生かしきれないでしょう。それと、ローラン」
「はいっ」とマルクが背筋を伸ばす。
「あなたは騎士科Bクラスですが、ワルデック先生が直々に鍛えるそうです。ただし、悪いところは見習わないようにしてくださいね」
マルクは、ワルデック先生にもらったトゲトゲ棍棒を大事にしている。
なんとなく戦い方が似てるから、ワルデック先生に指導してもらうのはいいかも。
悪いところってなんだろ。
子どもっぽいところかな。
「プルマンは、聖魔法については問題ありません。当面、ローランと一緒に剣の指導を受けてください」
「剣、ですか?」
「得意なのでしょう? 聖魔法で戦える敵ばかりではありませんからね。スキルがなくても、剣の腕を磨いておけば役に立つはずです」
「わかりました!」
もともと聖騎士を目指していただけあって、オーグストはうれしそうだ。
聖女様に混ざって回復担当ばかりさせられると、いつも愚痴を言ってたもんなあ。
なんだか強化訓練のような形になってしまった。
でも、今まで聞きたくても誰にも聞けないことがいっぱいあった。
この機会に、教えてもらえることは、教えてもらっておこう。
「本当は2年生になってから、スキルについてはゆっくり教える予定でしたが…そうも言っていられない状況です。頑張ってくださいね」