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つかの間の平和

 それからしばらくは、平和な日常が戻ってきた。

 ダンジョンは閉鎖され、調査は進んでいないらしい。

 

 ワルデック先生とスワンソン先生は、冒険者時代はSランクだったと聞いた。

 現役引退しているとはいえ、ギルドにそれ以上の実力を持った冒険者は少ないとのこと。

 これ以上は、王国の騎士団や魔導士団が動くかどうか、という話になっているようだ。


 短期間の間に2度も死にかけたので、平和が戻ってきても、なんだか落ち着かない。

 得体の知れないやつらはリリト王国に向かった。

 隣国では、今頃何が起きているんだろう。

 そう思っていたときに、スワンソン先生から私たちに招集がかかった。


 

「まず、先日の件ですが、あなたたちは話せる範囲のことを話しておきましょう。気になっているでしょうからね」


 あの時、地下10階には骸骨騎士のような強いモンスターがあふれ返っていたが、その後は元に戻った様子だということだ。

 恐らくモンスターを操っていたのが、謎の黒マントたちの仕業で、それが立ち去ったのでモンスターの増殖も止まったと考えられる。

 それと、敵は古代魔法の知識があり、邪教の組織の可能性があること。

 スワンソン先生は古代魔法の研究者として、王宮から呼び出しがかかっているらしい。

 まあ、スワンソン先生からの報告は、特に目新しい情報はなく、想像の範囲内だった。


「それで、念のため聞いておきたいのですが。あなたたちに、狙われるような覚えはありませんね? 何か思い当たることがあったら、小さなことでもいいので、教えておいてください」


 私が黙っていると、オーグストが口を開いた。


「試験の日のことなんですけど。あの黒い影は俺たちを見て、『勇者ではなさそうだ』というようなことを言ってたんです」

「勇者、ですか?」

「たぶん、聖騎士を探していたんじゃないかと思うんですけど」

「なるほど、聖騎士のことを勇者と呼ぶ、一部の人もいますね。邪教の者なら、聖騎士をさらって何かに利用しようと考える可能性もあるでしょう。その可能性は私も考えました。ただ、聖騎士はデイモントさんだけではないのです。王国騎士団にもいますからね」


 スワンソン先生は、すでに王国騎士団に連絡をとって、聖騎士の人の話を聞いてくれたようだ。

 騎士団はいろいろな場所で仕事をしているが、そのような不審な敵に出会ったことはないという。


「デイモントが狙いやすいからじゃないですか? まだ聖騎士の卵だし…それに女だし」

「心配する気持ちはわかりますよ。ただ、今のところ私の考えでは、わざわざデイモントさんを狙ったとは考えにくいのです。やつらがアンデッドを操っているので、聖魔法を使える者は邪魔だということかもしれません。そういう意味では、プルマンも注意が必要です」


 私をわざわざ狙ったわけではない、というスワンソン先生の言葉に、少しほっとする。

 やつらは勇者を探していたかもしれないけど、私はまだ勇者じゃない。

 王国騎士団に聖騎士がいるなら、その人が勇者になる可能性もあるのかもしれない。

 その方が私的には助かるけど…



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