先生たちの戦い
時々ふらふらと現れるスケルトンを、ワルデック先生かスワンソン先生が倒して、メルギス先生が浄化しつつ進んでいく。
階段のある最奥部に近づくと、スケルトンが階下から次々と上がってくるのが見えた。
「下からあふれてきているようですね」
「ああ、この様子だと10階層は飽和状態だろうな」
「どうしましょう?」
「先に俺たちが降りて、掃除するか」
「あの子たちはどうするのです?」
「この階はだいたい片付けてきたから、護衛を残しておけばあいつらでなんとかするだろ」
私たちをここに残して、先生たちだけが先に10階層に降りるという。
大丈夫なんだろうか…と思うけど、ついていって足手まといになったらダメだよね。
先生たちを信じよう。
メルギス先生はオーグストに、「何かあったら結界を張るように」と言い残した。
5分、10分という時間が、とてつもなく長く感じる。
階下から魔法を放つ音や、剣が当たる音が漏れ聞こえてくる。
「やっぱり様子見にいかねぇか?」
「ダメですよ。我々はここに待機してあなた方を守る義務があります」
護衛の人たちに止められて、マルクはすごすごと引き下がる。
この人たちはAランク冒険者だ。
このダンジョンは何度も攻略していると聞いている。
私たちより、先生の助けになるんじゃないだろうか。
「お願いがあります! 先生たちの様子を見てきてください。私たちは絶対ここでおとなしくしていますから!」
「俺たちは自力で聖結界を張れるし、聖騎士もいるから大丈夫です!」
オーグストが同意してくれて、他の皆もうなずく。
冒険者の人も心配はしているようで、話し合って2人が階下の様子を見にいってくれることになった。
2人はここに残るようだ。
再び、20分ぐらい待っただろうか。
突然階下からスケルトンが姿を見せた。
マルクが飛び出して、ワルデック先生の棍棒で叩き潰す。
2体、3体と階下から上がってくる。
これ、状況まずいよね。
下で何が起きているのか心配だ。
「殲滅浄化!」
「ファイアーボム!」
「聖十字剣!」
頭がなくなったスケルトンに向かって、新しいスキルを使ってみる。
スケルトンは浄化されたときのように、一瞬青く光って消えた。
大丈夫だ。スケルトンぐらいなら消せる。
オーグストと顔を見合わせる。
「やっぱり助けに行こう! 下にはメルギス先生しか聖魔法を使える人がいない!」
私たちが一瞬でスケルトンを討伐したのを見て、冒険者の人たちも同意してくれた。
自分たちの仲間だって心配だよね。
ニコラくんがレアナに魔力回復ポーションを渡している。
「私たちが先に降ります。離れないでください」
冒険者の人たちの後ろから、地下10階に降りる。
少し先で先生たちと冒険者の人がスケルトンの群れと戦っているのが見えた。
よかった、5人とも無事だ!
あたりを見回すと、骸骨騎士のものと思われる鎧や兜が、あちらこちらに落ちている。
骸骨騎士ってボス部屋のボスじゃないの…?
「どういう状況ですか、これは…」