ダンジョン調査隊
しばらくオーグストのことは放っておこうかと思ったんだけど、翌日全員ワルデック先生に呼び出されてしまった。
先日の件で学園側からもダンジョンに調査に行くことになり、私たちの誰かが同行してくれないか、という話だ。
別に全員でなくてもいいんだけど、オーグストは聖魔法が使えるので、一緒に行ってほしいとのこと。
「俺と、スワンソン先生と、魔導士科B担任のメルギス先生が引率する。ギルドの方からも護衛を出してくれるということだから、戦力は心配しなくていいぞ」
先日のことは皆納得がいっていなかったので、全員で行くことにした。
「またあのガイコツ集団のいるダンジョンにもぐるのかあ…」
「まあ、メルギス先生が一緒なら、アンデッドは大丈夫だと思うぜ」
「そうなの? あのおばあちゃんの先生でしょう?」
「結界魔法にかけては、国内でも有数の使い手ですからね」
オーグストとニコラくんにとっては、担任の先生だが、いつも聖女様を引率しているという印象しかない。
そういえばニコラくんは、メルギス先生が一緒だと聞いたときに、ほっとしたような顔していた。
地下10階はほぼ全部アンデッドみたいだから、大丈夫なのかな。
私は調べたいことがあるからと、みんなと別れて図書室へ向かった。
アンデッドと遭遇する可能性があるなら、なるべく早く聖騎士のスキルを覚えておきたい。
それにしても、学園に聖騎士がいないから、先輩とか先生に教わることもできないというのがネックだよなあ。
5年前にはひとり聖騎士がいたみたいだけど。
その人は王国騎士団に就職したと聞いている。
「あった、あった。これだ。アンデッドの倒し方…聖十字剣?」
剣に聖魔法をまとわせて、十字を切るように斬りつける…か。
うーん。十字はともかく、聖魔法をまとわせる、というのが全然わからない。
雷撃剣のときにも、剣に魔力は流してるけど、あれとは別だよね?
仕方ない。オーグストに聞いてみるか。
私より聖騎士にはよっぽど詳しそうだし。
…と思っているところへ、ニコラくんがやってきた。
「帰ったんじゃなかったの?」
「ちょっと気になることがありまして」
ニコラくんは聖魔法が使えないので、錬金アイテムで役に立ちそうなものはないかと考えたようだ。
聖なるナントカっていうようなアクセサリーがあったらいいのになあ。
私の浅いRPG知識だけど。
…と思っていたら、オーグストもやってきた。
「あれ? 何やってんの?」
「オーグストも調べ物?」
「大神官を目指すんだから、今まで使ってなかった聖魔法を調べようと思ってね」
みんな、やる気まんまんだなあ。
レアナとマルクも訓練場に行ったらしい。
あ、ちょうどよかった。
オーグストに聖十字剣のこと聞いてみよう。