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地下5階の罠

 案外スムーズに地下5階までたどり着いてしまった。

 あっけない感じ。

 ここまでの戦闘は、レアナかマルクがほぼ一撃でしとめている。

 私は楽してるみたいで申し訳ないけど、まあ、ニコラくんとオーグストも今のところ出番はない。


「さて、後はボス部屋だな。さっさと片付けようぜ」

「索敵かけるので、待ってください」


 ニコラくんは、真面目だ。

 各階でかならず敵の反応を調べて、伝えてくれる。


「あれ? この階にはなんか魔力反応があります。なんだろ」

「魔獣?」

「いえ、動いてる様子はないですね。罠かな」

「どのあたり?」

「たぶん、ボス部屋の入り口のへんです」

「ちょっと注意して進むか」


 罠かもしれないと言うので、足元に注意しながら進む。


「あれじゃない? ボス部屋」

「そんな感じだな」


 ダンジョンが行き止まりになっていて、広めの部屋のような場所がある。

 下に行く階段がないから、ここがボス部屋だ。

 少し離れたところから様子をみると、シルバーウルフがウロウロしているのが見えた。


「いたな。離れずに固まっていくぞ」


 ニコラくんは魔力反応があった場所を気にして、あちこちを見回していたが、あわてて皆の後を追う。

 マルクが先頭で、ボス部屋に足を踏み入れようとした、その時。


「うわあっ! なんだっ!」

「罠っ?」


 突然閃光に包まれて、私たち5人はまとめてどこかへふっ飛ばされた。

 

「なんだここは…」


 あたりを見回すと、明らかにさっきの階層とは雰囲気が違う。

 変な瘴気が漂っているような、重い空気。

 

「今のは…転移魔法陣です。やっぱり罠だった」


 ニコラくんは見抜けなかったことに、ショックを受けている。


「そんなの聞いてないよね? 目の前にシルバーウルフがいたのに。あそこが目的地でしょ?」

「迂回させられてるのかな?」

「違うな。どうやら違う階層に飛ばされてる。あれ見ろよ」

「あれは…アンデッドじゃないですか!」


 鎧を来た骸骨のようなモンスターが、列をなして歩いている。

 幸い、まだこちらには気付いていない。

 

「アンデッド…」


 ここまでおとなしかったオーグストが、急に剣に手をかける。

 神官系の人にとっては、天敵だよね。アンデッド。


「このダンジョンでアンデッドが出てくるのは、地下10階です! 最下層ですよ!」


 ニコラくんは地下5階より下の階層のことも勉強していたようだ。


「どうする? 上に上がる階段を探すか? それともボス討伐するか」

 地下5階と地下10階は、ボスを倒せば壁に転移魔法陣が現れて、地上へ戻れる。

 アンデッドがうようよしている階層で階段を探し回るよりは、ボスをやっつける方が早いといえば早い。

 

「ニコラ、10階層のボス、覚えてるか?」

「骸骨騎士です。物理攻撃はあまりきかないです。骸骨なので。弱点は聖魔法か、火魔法ですね」

「物理は効かねえとなると、火魔法か」

「オーグストくんは、聖魔法使えるんだよね?」

「使えるが、俺が使えるのは結界魔法だ。攻撃じゃない。アンタが聖騎士だろうが」

「そうだけど。私は聖騎士のスキルを持ってない…」

「努力してないからだろ」


 オーグストに非難されて、言い返す言葉がない。

 前に図書室で調べたときに、もっと詳しく勉強しておくんだった。

 こんなところでアンデッドに遭遇するなんて想像してなかった。



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