表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/192

勇者クリストフ?

 なんとなく本棚を眺めていると、一冊の本が目にとまった。


 「勇者クリストフの剣」


 なんだろう。

 これ、見ちゃいけないやつかもしれない。

 フラグ…かな? もしかすると。

 でも、気になる。

 心臓がドクン、と音を立てた。


 いやいや、でも図書室にあるぐらいだもん。

 誰でも読んでる本だよね。

 手にとってみると、表紙には大きなサファイアのような青い石のついた、剣の絵。

 

 パラパラとめくってみると、どうやら物語のようだ。

 ところどころに挿絵が入っている。

 ええい。気になるぐらいなら読んでみよう。

 本を手に、人の少なそうな場所に座る。


 数百年前のこと。この世界に魔神が現れ、世の中に魔物があふれるようになった。

 いくら魔物と戦っても、魔神が存在する限り、魔物は次から次へと生み出される。

 そこで、世界中から剣士や魔導士を集めて、魔神討伐をすることになった。

 その時に、リーダーに選ばれたのが剣聖と呼ばれていた聖騎士クリストフだった。


 クリストフは聖騎士だけが扱える、特別な剣を与えられた。

「聖の宝玉」と呼ばれる、強い魔力を秘めた石があしらわれた剣だ。

 普通の人は、持つことすらできないと言われている。


 魔神との戦いで、クリストフは力及ばず、魔神を倒すことができなかった。

 しかし、最後の力を振り絞って、魔神を剣に封印したのだ。聖の宝玉の力を使って。

 そして、その剣を抱いて、クリストフはこつぜんと消えた。

 自らを犠牲にして、異空間へ転移したのではないかと言われている。


 世界を救ったクリストフのことを、人々は後に「勇者」と呼んで称賛した。



 …だいたいそんなようなあらすじだ。

 本をパタン、と閉じて、情報を整理してみる。


 まず、魔神は死んでない。

 これ、フラグじゃない? 封印されたんだよね?

 それって誰かがわざわざ封印を解いて、蘇ったりするよね? RPG的には。


 それに、クリストフって勇者じゃなくて、聖騎士じゃん!

 死後に勇者と呼ばれるようになっただけで。

 いやいやいや、死んで勇者になるとか、勘弁してほしい。


 こつぜんと消えた、とか書いてあるけど、この世界には転移魔法がある。

 異空間魔法もあるよね? 荷物入れたり出したりできるっていう。

 異空間の中は時間が止まっているって、ニコラくんが言ってたっけ。


 これ、単なる物語だろうか。


 いや、ちょっと待って。

 この数百年、クリストフ以外に勇者っていなかったのかな?

 結局魔獣は今でも存在してるんだし、歴代勇者とかいたかも?


 あー私はこの世界の知識がなさすぎる。

 勇者が何者なのかわからないのに、勇者を目指すなんて無理だよ。

 ニコラくんに相談してみよう。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ