図書室に集合
「あれ、マルクとレア。どうしたの?」
「ルイとニコちゃんも調べ物?」
約束したわけでもないのに、ばったり4人集合してしまった。
しかも図書室で。
マルクが図書室なんて、めずらしい。
なんだか、バツが悪そうにレアナの後ろについてきてる感じ。
「マルクが、剣のスキル調べたいっていうから。ルイたちは何?」
「私も、ちょっと攻撃力がないのが気になって。ほら、私って回復とか補助ばっかりで」
「皆さん、攻撃力を気にしてるんですね。僕も実は今まで攻撃魔法を真面目にやってませんでした」
私は、ベアファングと戦ったときにニコラくんが魔法陣からアイスランスの大群を飛ばしたのが、すごいと思った。
私のスラッシュは、基本片手でひとつしか出せないから。
そのへんを強化する方法を今日は教えてもらうつもりだった。
でも、確かに剣のスキルっていうのも有効かも。
ひとつ強力な剣技を持ってたら、魔力要らないしね。
よし、調べてみよう。
レアナとマルクは、初級の剣技の本を見つけたようだ。
私は、聖騎士について書かれている本を持ってくる。
「なになに…剣のスキルは、その人が最も得意な技を極めたときに発動する…だって」
「だからよぅ、それがわかんねえから聞いてんのに」
「例えば、筋力に自信がある人で、両手剣を使用している場合」
「おっ!それだそれだ。俺、両手剣だ」
「斬撃剣スキル。助走で勢いをつけ、叩きつけるように渾身の一撃を放つ」
「おおっ!すごそうだな。斬撃か」
「兜割りスキル。斧で縦にまっぷたつに割るような剣技。防御力の高い敵に有効」
「なるほどな。斧ってことは薪割りするみてぇな感じか」
「初級はそのふたつみたいだよ。両手剣は。あっ短剣の技もあった!つばめ返し?」
「俺よぅ、ちょっと練習してくるわっ!」
「えっ? ちょ、ちょっとマルクっ! 行っちゃった…」
マルクはカバンを置きっぱなしで、剣だけつかんで訓練場に行ってしまった。
レアナが呆れたようにため息をついている。
あのふたり、うまくやってるのかな?
マルクって単細胞なところあるからなあ。
聖騎士の剣技を少し調べてみたけれど、なんとなく有効な技が少ない。
たとえば、聖属性の魔力を剣に流して、アンデッド系のモンスターに効果を発揮する、とか。
覚えておいてもいいかもしれないけど、アンデッド系のモンスターなんてこのあたりにはいなさそう。
そもそも勇者になってしまったら、聖属性のスキルって使えるんだろうか。
聖騎士の剣技を覚えるのって、なんだか気乗りしない。
レアナのところへ行って、普通の騎士が覚える剣技を調べることにしよう。
それなら、授業の訓練中にも練習できるしね。
「見て見て! つばめ返しっていうの、素早さに自信がある人向きだって! 素早く往復するように斬りつけるんだって」
「へー。レアナに向いてそう」
「得意な技を極めたときに発動するんだったら、もっと真剣に練習しないとだよね?」
「そういえば、剣の技を極めようなんて思ったことなかったな…私」
「私も。それじゃあ、スキル発動するはずないよね。私も練習しにいこうかな」
「行っておいでよ。ついでにマルクのカバン、届けてあげて」
「うん、わかった。行ってくる!」
レアナも訓練所に行ってしまった。
案外あのふたり、気が合うのかも。
ニコラくんは、なにやら難しそうな攻撃魔法の本を見つけてきて、読みふけっている。
邪魔したらダメだよね。
私は、聖騎士の本を返して、他の攻撃スキルの本を探してみることにしよう。