レアナとマルク組
(レアナ視点です)
「お前、あっぶねえなあ! 俺まで黒焦げにする気かあ!」
「ごめんごめん、ルイなら勝手によけてくれるんだもん」
「火魔法出すなら、出すって言えよっ!」
うっかりマルクの頭を燃やしてしまうところだった。
角ラビを追っかけていると、つい詠唱を忘れてしまうんだよー。
ルイは無詠唱推奨派だったから、「えいっ!」とか「やあっ!」とか、適当にやってたんだもん。
マルクとふたりになってから、まだコンビネーションがあまりうまくいかない。
だいたいマルクは一撃で狩るタイプだから、小物相手に力を合わせる必要ないんだよねえ。
「ねえ、角ラビまかせて、私、薬草採取してもいい?」
「おう、俺は薬草よくわからんから、そっちまかせるわ」
黙々と薬草採取に没頭することにしよう。
ポーション作りは儲かるしね。
ルイがニコラくんとの錬金に興味を持っているのはわかるんだけど、ほんとはちょっと寂しい。
一緒に攻撃魔法練習して、一緒に強くなろうって言ってたのになあ。
「なあ、ちょっと聞いていいか?」
「何よ、あらたまって」
「いや、お前らさ。スキルって持ってるだろ? あれ、どうやったら自分のスキルがわかるんだ?」
「どうやったらって…私はもともとちょっとだけ火魔法使えたから、やってみたらできたっていうか」
「俺は剣が使えるけど、剣のスキルはねえんだよ」
「そういえば、ルイも剣のスキルは持ってないって言ってたな」
「そうなのか?」
「うん、多分スラッシュと、回復と、身体強化だけって」
「騎士なら剣のスキルあるはずなんだがなあ。持ってるやついるんだよ。こう、なんていうか得意技みてぇの?」
「図書室で調べてみたら?」
「俺は本読むのは苦手なんだよっ」
「じゃあ、その人に聞いてみればいいじゃない」
「聞けるかよっ! 同級生のやつにどうやってスキル見つけるんですか?とか、情けねえじゃねえかよう」
もう。男子って面倒くさい。
私だったら聞くけどなあ。
やっぱりライバル意識とかあるのかな。
ルイなんて、魔導士科の知らない女子生徒にだって質問したりするのに。
「じゃあさ、明日一緒に図書室行こう。私も手伝うから、剣のスキル調べようよ」
「お、おぅ。頼んだぞ」
マルクって、脳筋だし雑だしデリカシーのかけらもないけど、割と素直なんだよね。
時々、子どもみたいなときがある。
剣のスキルかあ。
考えたら、今んところ3人とも騎士なんだし、調べておいたほうがいいかもね。
誰も剣のスキル持ってないっていうのも、ちょっとアレだし。
私にも使えるスキルがあるといいんだけどな。
調べてルイにも教えてあげよう。
で、また一緒に練習しよう。