作戦会議
食事が終わると、ご両親は「ごゆっくり」と言って別室に行ってしまった。
お茶を飲みながら、4人でベアファングの倒し方などを議論する。
「で、これからどうするよ?」
「どうするって?」
「パーティー組んだんだし、なんかやるんじゃねえの?」
私は、便宜上パーティー登録したけれど、特に活動とかは考えてなかった。
マルクは意外と前向きだ。
「うーん。ギルドで討伐依頼受けてもいいよね? せっかくパーティー登録したんだし」
「レアと私はお金稼いで、武器買うのが目標なんだけど…みんなはどう?」
「俺は…そうだな。まあ、金儲けはいくらでもやっておいていいと思うぜ」
「僕はゼミの手伝いがあるし、皆さんの足を引っ張るので討伐は難しいかなあ」
…となると、ニコラくん以外の3人で討伐?
それはなんだかなあ。
「私、まだニコラくんに教えてもらいたいことあるんだよねえ」
「お勉強か?」
「うん…錬金で収納袋とかつくれるようになりたい。売れるかもだし」
「ああ、あれは、便利だな、確かに。買うと高いしな」
「皆さんの分ぐらいは、僕が作っておいてもいいですよ?」
「いや、それは申し訳ないぜ。いくらなんでも」
なんとなくいきなり4人で活動を始めるのは難しいような気がする。
とにかく、ベアファングみたいなのがポルトの森に出るなら、まずは全員の装備を整えるのが先決だよね。
「しばらく、私に時間くれないかな? ニコラくんに魔法の知識を教えてもらいながら、ポーションと収納袋をつくりたい」
「そしたら、私はマルクとふたりで角ラビと薬草採取引き受けるよ」
「二手に分かれるか」
「で、満月の日は4人でポルトの森に行く、っていうことでどうかな?」
「しばらく、それでやってみましょう。僕はOKです」
それから話し合って、活動資金は誰がいくら稼いでも、パーティーとして貯めることにした。
稼げるようになったら、もちろんお小遣いもそこから支給する予定だ。
でないと、楽しみがないもんね。
ベアファングと戦ってみて、もう短剣で戦うのは無理があるとわかった。
防具もそれなりに揃えないと危ない。
まずは4人の武器や防具を買うのを目標にしようということになった。
…あれ? 気がついたら、もう完全に冒険者まっしぐらコースじゃん。これ。
まあいいか。
学園を卒業するときに、騎士になるのか冒険者になるのか、選ぶ余地があるのはいいことだよね。
「しばらくルイとは別々かあ」
レアナが少し寂しそうに言う。
「すみません、僕が足を引っ張ってますね」
「違う違う、ニコちゃんは錬金できるんだもん。資金稼ぎの希望の星だよ! ルイをよろしくお願いします!」
「マルクもレアのことよろしくね」
「ははっ! 角ラビ黒焦げにするようなやつ、心配ねぇよ!」
マルクがついていれば、レアナはきっと大丈夫。
私は、魔力の少ないレアナのために、少しでも魔力回復ポーションを貯めておくようにしよう。