ニコラくんが名付け親
「ニコラくん、なんかアイデアない?」
皆ですがるように、ニコラくんを見る。
「そうですねえ…ふむ」
腕組みをして、しばし考え込むニコラくん。
「時限というのはどうでしょう」
「時限って、時限爆弾とかの時限か?」
「そう、それです。時が来るまで限界を目指す、ということで」
ちょっと照れくさそうにニコラくんは、理由を話す。
「時が来たら、限界を超えられるかもしれないよね! 私たち!」
「時が来たら、ルイーズさんはお嫁に行くかもしれないですね」
「いいんじゃねえの。それで。ニコラがせっかく考えてくれたんだし」
みんなが賛成したので、私も異論はない。
パーティー名は「時限」に決定した。
「それでは、パーティー名、時限で登録させていただきます。メンバーはルイーズさん、マルクさん、レアナさん、ニコラさんの4名でいいですね?」
「はい、お願いします!」
「騎士が2名、聖騎士が1名、魔導士が1名。とてもバランスがいいですね。ニコラさんとルイーズさんは、今年の主席と次席だと聞いています。期待していますので、頑張ってくださいね」
成績までギルドには伝わっているのか…ていうか、ニコラくんが主席だったの!
これからバンバン錬金教えてもらおう。心強い。
「普通はFランクからスタートですが、皆さんはベアファング討伐の実績を考慮して、Eランクパーティーとして活動できます。ルイーズさん、レアナさん、マルクさんはFランクからEランクに昇格です。ニコラさんはFランクからスタートしてくださいね。でも、すぐに上がると思いますよ」
やった!ランクが上がった。
これで討伐依頼も受けることができるようになったし、よかったな。
無事買い取りしてもらったベアファングは、5万ダルになった。
本当は獲物は全部マルクに渡す約束だったんだけど、マルクがパーティーで倒したんだから4人で分けると言ってきかなったので、分けることになった。
一人当たり、12500ダル。
冒険者の日当としては悪くないよね!
さすがに疲れたので、まっすぐ寮に帰ろうかと思ったんだけど、マルクが実家にベアファングの肉を届けに行くという。
特上の部分だけはギルドに売らずに、残してあったようだ。
さすが肉屋の息子。
ベアファングのステーキが飛び切りうまい、と聞いて、レアナはうらやましそうな顔になった。
そういえば、みんなお腹がすいている。
「お前らも来るか? 食わせてやるぜ?」
「行っていいのっ? 行く!行く! ルイもニコちゃんも行こ!」
もう…レアナってこんなに食いしんぼだったっけ。
商家の娘だからか、レアナって案外ちゃっかりしてるなあ。
学園に入って、まだ3ヶ月やそこらなのに、B級モンスターを討伐してしまって、パーティーも組むことになった。
アデル村を出た頃には、こんなことになるなんて想像もしていなかったけど。
運命って逃れられないのかな。
このまま楽しく4人で冒険者をやっていけるなら、騎士になるよりいいような気もするけど。