回復ポーションで稼ごう
ニコラくんが大丈夫だと言ってくれたので、レアナとふたりで回復ポーション作りにいそしんだ。
つい忘れがちだったけど、ふたりでお金を貯めて強い武器を買うのが目的だったんだ。
角ラビ狩りはそんなに頻繁には行けないけど、ポーション作りは毎日でもできる。
ここのところ寮のキッチンは、毎日のように薬草を煮るので、すっかり薬草臭くなってしまった。
ポーションを詰める瓶は、魔導士科の購買で買える。
うまくできたポーションを瓶に詰めて、いよいよギルドへ売りに行ってみることにした。
「買い取りお願いしまーす」
「回復ポーション10本ですね。冒険者カードを出して、少し待っていてください」
奥で鑑定するのか、受付のお姉さんは瓶を抱えて、奥に行ってしまった。
ちょっとドキドキする。
本当に買い取ってもらえるんだろうか。
5分ほどして、受付さんは現金の袋を持って戻ってきた。
中身を私達の前に並べて、確認する。
「確かに初級ポーション10本、3万ダルになります」
おおおっ! レアナとふたりで小さくガッツポーズ。
これは、角ラビより稼げる。
ギルドを出てから、レアナは小躍りして喜んでいた。
やっぱりこういうところは商売人の血を引いてるのかな。
「これで毎日ポーション作ったら、魔力もカラにできるし、お金も儲かって言うことないよねえ!」
「うん、今日は初納品祝いで、カフェで贅沢しちゃう?」
「しちゃうしちゃう! 行こう!」
ギルドを後にしようとしたら、マルクとばったり会った。
何か依頼を出しに行こうとしていたみたい。
「あれ? お前ら今日は何してんの?」
「え? あ、うん、薬草の納品…」
ポーションで儲けたとは説明しにくい。
なんか秘密が多いな、私たち。
「あ、そうだ。私マルクに頼みたいことあったんだった。ちょうどよかった」
話をそらそう。
実は、魔力回復ポーション用の、月見草を探しにポルトの森に入りたいと思っていた。
花が咲いているときに、できるだけ集めたい。
「実は月見草の採取に行きたいんだけど…」
「月見草? 何すんの?」
「売るに決まってるじゃない」
半分嘘だけど。
「月見草って、満月のときに花が咲くっていうやつだよな?」
「え? そうなの?」
「なんだよ、知らずに採取しにいくつもりだったのか?」
マルク、ここで会えてよかった!
重要なこと、見落としてたわ。
次の満月の日に、マルクに護衛でついてきてもらう約束をする。
その代わり、その日に狩った獲物は全部マルクにあげる、という取引だ。
目的地は、ポルトの森の奥にある湖周辺だ。
湖には、デビルフィッシュという魚の魔獣がいて、焼いて食べると美味しいとマルクが言う。
私たちが月見草を探している間に、マルクはデビルフィッシュ釣りをするというので、機嫌よく引き受けてくれた。