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決闘は続く

 Aクラスの男子たちの決闘が始まった。

 なんとなくだけど、訓練というよりは、嫌いな者同士が決闘を申し込み合ってる感じ。

 仲が悪いと言われている、伯爵家の嫡男同士の戦いがあったりする。

 見物している人から野次が飛んだりして、応援にも熱が入る。


 そろそろ訓練の時間も終わり、という頃に、まだ戦っていなかったひとりが立ち上がった。

 そいつは、レアナの前に来て、剣を抜いた。

 この人、サンドラお嬢様の取り巻きの人だよね。腰巾着というか。

 護衛なのかもしれない。

 サンドラ様が負けたのを根に持って、私の友達のレアナに仕返しでもするつもりだろうか。

 卑怯なやつ。弱いものいじめじゃん。


「我が名は騎士アラン・ディ・ランベール。王国に正義と忠誠を誓い、そなたに決闘を申し込む」

「え?えっ? 私ですかあ?」


 レアナが素っ頓狂な声をあげた。

 もうすっかり帰る支度をしようと思っていたらしい。


「よし、これが最後だ。オルゴット、立て!」


 ワルデック先生に促されて、レアナはしぶしぶ剣を持って立つ。

 素早くレアナに身体強化をかけた。

 チラっと私の方を振り返ったレアナが小さくうなずく。


「我が名はま…ゴホン、騎士レアナ・オルゴット!受けて立ちます!」


 あ、今、魔導戦士って言いかけたな。

 近頃どっちかというと、剣より魔法ばっかり鍛えてるもんね、私たち。


 レアナは私の戦い方を参考にしたのか、飛び込んでいってちょこまかと相手の手足を狙う。

 身体強化をかけたレアナはかなりすばしっこい。

 やっぱり角ラビ討伐効果は出てるよね。

 的が小さいと戦いにくいのか、アランは苦戦していて、攻撃が当たらない。

 一見すると、レアナが押しているようにも見える。


「もらったああ!」


 一瞬の隙をついて、レアナは両手で剣を握りしめて、全力で突きを放った。

 アランは股間を押さえて後ろに倒れ、足をじたばたさせて悶絶している。


「お前! 汚いぞっ!」

「ごめんね、手元がすべっちゃった」


 ペロっと舌を出すレアナ。わざとだよね、うん。

 こっちは腕力がないんだから、急所を狙うのは定石だ。

 よけられなかった方が悪い。

 

「勝者、オルゴット! だが、これは…」


 ワルデック先生がアランを助けおこしながら、気の毒そうな顔をする。


「いいか、お前ら!次からは訓練中に急所を狙うのは禁止する!」


 そう。今までは禁止されてなかったんだから、これはレアナの勝ち。

 ケンカ売ってきた方が悪いよねー。

 レアナ、よくやった!


 戻ってきたレアナが小声で「ありがと」と言う。

 身体強化の効果もあるけど、それでもなんだか、少し自信がついたような気がする。

 一番初心者だった私たちだけど、やればできるじゃん。



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