表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/192

決闘を申し込まれた!

「今日の訓練は、実戦を兼ねて決闘のやり方を教える」


 ワルデック先生の言葉に、クラスのみんなは「おおお!」と歓声をあげる。

 なんでも、このバスティアン王国では正当な理由があれば、決闘を申し込むことが認められているんだそうだ。

 親の敵とか、婚約者を奪われた、というような理由が多いらしい。

 ただし、剣で戦ってもいいのは、相手も帯剣している場合のみ。

 平民同士は、素手で格闘するみたい。


 帯剣していると、いつどこで決闘を申し込まれるかわからないという。

 知らなかった。

 街に出るときには、短剣、隠して歩かないと。危ない危ない。


「まずは、決闘を申し込む方が名前を名乗る。我は騎士ナントカ、王国に正義と忠誠を誓う者なり!という感じだな。王国に正義と忠誠、という言葉さえ入っていれば、あとはまあ適当に考えていい」


 ワルデック先生は、訓練用の木刀を抜いて正面に掲げながら、名乗り方を説明する。

 この決闘を断る場合は、名乗らなくていいそうだ。

「断る」と言えばいい、ということなんだけど、実際そう簡単に断れるんだろうか。


 受ける場合は、同じように名乗って、「受けて立つ」と言う。

 ただし、すぐに戦いを始めるのではなく、公証人が必要だ。

 貴族や騎士など、何かあったときに責任をとれる人が公証人になる。

 その結果は、王国へ報告義務があるそうだ。

 高位の貴族同士の決闘は、闘技場のような場所で王族が見物しにくることもあるらしい。


「さて、誰からいくかな。我こそは、というやつは名乗り出ろ」


 ワルデック先生が見回すと、みんな目をそらす。

 訓練とは言えど、貴族同士で決闘すると遺恨が残ったりしそう。

 誰も申し出ない様子を見て、侯爵令嬢様が呆れたようにため息をつく。

 そして、すっくと立ち上がった。


「どなたも出ないようですから、わたくしがまず、見本を見せましょう」

「ヴェルニエか。よし、相手を選べ」


 公爵令嬢様がチラリとこっちを見た。

 嫌な予感がする。

 そして、それは的中した。


 つかつかと私の前まで歩いてきて、剣を抜く。


「わたくしは騎士サンドラ・ディ・ヴェルニエ。王国に正義と忠誠を誓う者なり。あなたに決闘を申し込みますわ。ルイーズ」


 もう…なんで私なのよ。

 公爵令嬢様の剣の腕なら、そこらへんの男子よりよっぽど強い。

 生粋の剣士志望で、5歳ぐらいから剣を振り回していたお転婆令嬢だっていうから、私なんかが勝てるわけがないよ。


 もうこれは、適当に戦って、負けるしかない。

 木刀だから、死ぬことはないよね。

 立ち上がりつつ、こっそり身体強化魔法をかける。

 ほら、無詠唱、役にたったよ。練習しといてよかった。


「聖騎士ルイーズ・デイモント!この決闘、受けて立つ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
やりたくなければ「断る」で良かったんじゃないの?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ