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無詠唱でいこう

「ボム! ボム! ボム! ボム!」

「スラッシュ! スラッシュ! スラッシュ!」


 角ラビ狩りにマルクが同行することになったので、魔法の練習ができる場所を探した。

 王都から少し離れたところにある、大きな池。

 ここならファイアーボムを放っても、池の中央ぐらいで消える。

 火事になる心配ないしね。

 池の真ん中あたりに、大きな岩が飛び出ている場所があるから、そこを狙って練習する。

 

 学園の訓練が終わったら、ここへ来て魔力をちょっとだけ残して使い果たすようになった。

 残った魔力は、帰ってからヒーリングやろうそくの火でカラになるまで使ってから寝る、という毎日だ。


 ファイアーボムという名前が長いので、レアナは短縮して「ボム」だけで発動できるようになった。

 それを真似して、私も「スラッシュ」だけで発動できるようになった。


 でもなあ…

 はっきり言って、この詠唱って要る?と思ってしまう。

 だって、敵にこれから使う魔法がばれるじゃない。

 無詠唱でこっそり使えたら、いざという時の隠し玉にできるんじゃない?


 そもそも詠唱というのは、一緒に戦う人にはっきり聞こえるようにするためのものだと、教科書に書いてあった。

 パーティーで戦うときに、他の人が避けるためだ。


 レアナと角ラビ討伐をするようになってから、私は「身体強化」という新しいスキルを覚えた。

 攻撃力と防御力とすばやさが、約1.5倍になる。

 聖騎士だけではなく、聖女様も使えるようになる、一般的な補助魔法のようだ。

 他人にもかけることができるんだけど、かけられたことがわかるように、はっきり詠唱するように、と教科書にもかかれている。


 けどさあ。

 これも、一度でもかけられたことがある人は、かけられた瞬間にわかるよ。

 いきなり力が湧いてくるような感じだもん。

 いちいち「身体強化!」なんて叫んだら、敵が警戒するに決まってるじゃない。


 ふと思いついて、いつも右手で放っていたエアスラッシュを、左手に変えてみた。

 狙うのが難しいけど、威力はさほど変わらない。

 ということは、右手に剣を持って戦っているときに、相手の懐に飛び込んで左手でスラッシュという合せ技もできそうな気がする。

 近距離なら外さないしね。

 

 やっぱり無詠唱がいいよなあ。

 エアスラッシュはファイヤーボムとは違って目に見えにくいし、当たれば剣のような鋭い傷跡が残る。

 角ラビも私が倒したやつは剣で倒したようにしか見えない。

 レアナがボムを使うと、コゲるけどね。

 エアスラッシュは無詠唱なら、使ってることバレにくいと思う。

 右手に剣、左手でエアスラッシュなら、瞬間二刀流じゃない。


 無詠唱の練習してみるか…と思って、心の中でスラッシュの形を思い浮かべて、手に魔力をためる。

「えいっ!」と思わず声が出てしまったけど、一応スラッシュの形で放つことはできた。

 なんだ、「スラッシュ」じゃなくて「えいっ!」でもいいんじゃない。

 ようは気合の問題かなあ。



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