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学園祭準備

 明日から3日間、いよいよ学園祭だ。

 明日とあさっては道具屋カフェをやる予定。

 最終日は夕方からダンスパーティーが開かれる。

 前回は王宮の庭園だったらしいけど、今回は警備の問題で王宮にある舞踏会用の会場で行われることになった。

 貴族様たちが集まって夜会を開いている、宮廷舞踏会場だ。

 多分、セルディア王女様に配慮したんだろうな。

 

 貴族の子息様たちは慣れているかもしれないけど、平民は一生入れない場所。

 一般の生徒たちにとっては目玉イベントである。

 私とレアナも、今回はドレスで参加しようと決めていた。

 リリトの離宮でもらってきたドレスの中に、高級な夜会用のドレスもあったから。

 こんな時に着ておかないと、一生着るチャンスなさそうだし。


 今日は午後からの訓練は休みになって、どのクラスも学園祭の準備をしている。

 私たちはクランハウスにあった食器と、エヴァ先輩のご自宅からもらった食器を運び込んだ。

 飲み物は、アイスティーとビスカティー。

 ビスカというのは、赤いハーブの一種で、少し酸味のある爽やかな味だ。

 美容にいいとかで、最近貴族様の間で流行ってるんだって。

 これは、エヴァ先輩からの提供だ。

 お茶は朝から大量につくって、大きな瓶に入れて冷やしておく段取りになっている。

 後は、氷をつくるのはニコラくんと王女様の担当。


 道具屋の方は私とレアナが頑張ってマジカル巾着ポーチを作った。

 それほど容量は大きくないものだけど、化粧品ぐらいはたくさん入る。

 値段は大きさや素材によってばらつきがあるけど、だいたい3000ダルぐらい。

 それと、解毒のミサンガブレス。

 これは材料費が紐代だけだから安くついたけど、ニコラくんの錬金技術の賜だしね。

 一本2000ダル。

 王女様提供のセルディアのスカーフとハンカチは値段に困ったんだけど、特別価格でスカーフが10000ダルとハンカチが5000ダルだ。

 貴族令嬢とかなら、そのぐらいのお小遣いは簡単に出せるって、エヴァ先輩が言ってたし。

 全部売れたら結構な額になると思うけど、私たちは2億2千万の貯金があるので、あんまり値段はどうでもいいかも。


 後は、古竜様のところでもらった財宝の中から、装備としてはそれほど価値のないアクセサリーなども売ることにした。

 ニコラくんが鑑定済みで、中には軽く防御力がアップするアクセサリーなんかもある。


 問題のSクラスブロマイドなんだけど、これはサイン入りで1枚1000ダル。

 1人につき2種類つくったので、7人分で14種類ある。

 本当にこんなの売れるんだろうかと思うけど、アリスちゃんが買いに来ると言ってたので、まあ1枚は売れるよね。

 売り場のスペースがあまってるので、カードを端の方に並べておいた。


「ところでルイーズさん。最終日の舞踏会なんですけど、誰かに誘われました?」

「誘われたって、何が?」

「エスコートですよ。ダンスの相手が必要でしょう?」

「え? そういうもんなの?」


 ニコラくんに指摘されて、レアナとふたりで顔を見合わせてしまった。

 何にも考えてなかった。

 だいたい踊る気なかったし。

 一応メルギス先生に簡単なステップぐらいは教えてもらったけど、踊るのは全然得意じゃない。


「じゃあ、ルイーズさんは僕が誘います。レアナさんは多分マルクが誘いますよね?」

「俺、ダンスなんかしねえぞ」

「いいよ、私も別にダンス得意じゃないし。マルクと行くことにする」

「私もいいけど、オーグストは?」

「オーグストは相手に困ることはありませんよ、心配しなくても」


 それもそうか。

 むしろ相手選びに困るぐらいかもねえ。オーグストの場合。

 魔導士科Bの聖女様たちが争奪戦してるかも。


「王女様はどうするんだろ?」

「さあ……でも、僕たちの身分で誘える人じゃないですよ」

「それもそうか。でも、もし王女様の方から誘われたらどうするの?」

「僕はもうパートナー決まりましたから」


 ニコラくんはニンマリと笑っている。

 この顔は、もしかすると断る言い訳探してたのかな。

 最近ニコラくんは、時々エヴァ先輩みたいな嘘くさい笑顔を浮かべることがある。

 何かこっそり企んでる時の笑顔で、私は心の中で『黒ニコラくん』と呼んでいる。

 

 つまり、私がニコラくんの虫除けということか。

 そういうことなら立派な虫除けになりましょう。

 勇者が虫除けって最強だよね。


「よし、だいたいこんな感じでいいか」

「いいんじゃね? 一応カフェっぽいぜ」


 部屋の外に看板を出して。

 4人がけぐらいにまとめた机にテーブルクロスをかけて。

 窓には可愛い布でカーテンをつけた。

 これぞ学園祭って感じ!



 そんなこんなでやってきました、学園祭当日。

 よそのクラスも気になるけど、私たちは7人しかいないので、見に行っている暇がない。

 まあ、様子を見て忙しくなければ、交代で休憩をとろうとは思ってるけど。


 学園祭には家族や友達も招待できる。

 王都に住んでいる人は親兄弟を呼ぶことが多いみたいだ。

 私は一応エヴァ先輩に招待状を渡しておいたけど、仕事があるから来れないかもって言ってた。


 中庭で音楽隊が演奏を始めたので、スタートの合図! 

 

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