量子力学的進化細胞を求めて
第四回なろうラジオ大賞参加作品第十六弾!
みなさんは量子進化という言葉をご存知か。
簡単に言えば生物の進化には量子力学が関わってるという一つの事実が存在し、その中における進化に付けられた名だ。
ちなみに適応進化とも言われるがそれはさておき。
「果たして外来の血を受け異能力を持った人は、本当の意味で進化を遂げた人なのか」
ちなみに外来の外は外国ではない。
現在この地球には、数多くの異星人が極秘に来訪している。
外来の外は異星の事だ。
でもって異星人との混血人もそれなりに地球に存在し、その中の数%が異能力に目覚めている。所謂ミュータント。そして映画などで新人類と呼ばれる彼らを、私は進化を遂げた人類だと認めてない。
進化とはその場の状況に合わせ変化していく事だからだ。
猿から人に変化した事が進化だとしたらまさにそうだろう。
猿は周囲の環境に合わせたりしている内に、人への変化を遂げたのだから。
そして異能力を持つ=進化だとすればいったい彼らはどんな環境で生きてきたんだ。寧ろ、今の世界においては余分な変化ではないか。迫害する者もいるし。
ちなみに私は混血人が嫌いなワケではない。
異能力という余分な変化を嫌っているだけなので誤解せぬよう。
「にも拘わらず、世間では異能力者=新人類な構図が出来上がっている。
この進化という定義に対する重大な誤解を解くためにも私は真に進化した人類を生み出さねばならんのだ!」
「えー。進化にも色々あっていいじゃないですかー」
「黙らっしゃいリリィ!」
助手を一喝する。
しかし助手は軽い調子でさらにこう言ってきた。
「そもそも量子進化ってどんな進化なんですかー?」
君はそんな事も知らずに私の助手になったのかね。
まぁいい。私自身のおさらいの為にも、基本から説明しよう。
「量子力学の量子とは、原子核の周りを飛び飛びの軌道で回っている電子や陽子、中性子の飛び飛びの値を取る単位であり、そして電子、陽子、中性子がそんな飛び飛びの軌道を取る訳が、それらが粒子及び波として振る舞うからだと判明したが、なぜ二つの属性を電子達が併せ持つのか。それは電子達がどちらにもなりうる潜在性を秘めているからで、そして潜在性をどちらかに決定付けるのが周囲の環境……細胞レヴェルで言えば他の細胞。つまり真の進化とは細胞による観測の果てのモノで、私の目標は細胞が持つ潜在性の観測装置としての役割を強化する事で――」
この数年後。
驚く事に私達は量子進化細胞を発明したのだぜ。 by助手
助手「星々が巡る場所シリーズ、早く連載再開しないっすかねぇ」