質より量
いきなり顔が近づいてきたので、びっくりして身を引いた。
男の片手が私の腰に回り、体が全部引き寄せられた。
唇を塞がれ身体が密着しているので、自分の心臓の音が良く聴こえる。なんかすごく恥ずかしい。
く、くる苦しい…まただ...うまく呼吸ができない。
自分の経験のなさを呪う。誰か呼吸法を教えてほしい。
も、もうだめ一旦離して欲しいと思い、彼の肩に手を当てた。そして力を込めて押した。
ギ、ギブ… パタパタと手で男の肩を叩く。
しかし全くの無視。キスはもっと激しくなる。喉の奥まで舌が入ってきそう。
違う、違うんんだ...もっとしてのボディタッチじゃない!早く離してくれー
何度か力入れての体を動かそうと試みる。
が全然反応なし…もう諦めた。
男の肩に置いていた手を、ダラリと横に垂らした。
その瞬間男が唇を離してくれた。
あーもしかして押してもダメなら的なあれか…一つ教訓だ。押すと激しくなる...
だ、だめだ….酸欠で意識がボーとする。とりあえず深呼吸。はぁーっと。
その時、いきなり男が私を持ち上げた。視界が急に変わったので、私の思考が追いつけなかった。
そのまま東屋のベンチに仰向けで寝かされた。
…この流れは…このまま外でってことか…
ちょっと外で裸を晒すのは抵抗あるな。まわりには誰もいないみたいだけど…
いやいや、でもどっかに警備の人とかいたらやばいよね。せめて服は着たままでヨロです。
男の方みると、肩が上下に揺れていた。息が荒い。体が高潮していた。
先程までの笑みは消えて、唇をぎゅっと横に結んでいた。すごく苦しそうな表情をしている。
散歩で疲れたのかな…30分以上も歩いたし。
一旦水飲んできたらどうかな?冷たくて気持ちいいよ。
「苦しいのですか」
「み、水を飲まれてはいかがです?」
「……」
返事はなく、荒い息づかいだけが聞こえた。
いや本当に大丈夫かな…1000メートル競争終わった直後並みの息切れ度だと思うけど。
風邪でも引いてるのかな。感染したら面倒だな。
「本当に大丈夫ですか」
「苦しいのでしたら、寝室に戻ってお休みになったほうが」
そう言って私は椅子から立ち上がろうとする。
男がとっさに覆いかぶさり、私を椅子に押さえつける。
痛っ…ちょっとここベッドじゃなくて下は硬い木だよ…
いきなり押しつけたら痛いっつうのー。
しか男の体重がかかってるから、更に痛い。あとで腰痛きそう...
もう一度説明するが、ここはベットではなくベンチだ。
これぞ本当のまな板の上の魚….ってやつかよー。
まだ男の息はずっと荒いままで、呼吸の揺れが私にも伝わる。
ハァハァと男の荒い息が響く。
しばらくそのままだったが、ようやく少し体を離した。
私は少し体が軽くなった。いやでも、まだ重いから...下半身はまだ私の体に乗っているから。
そのまま男の手が伸びて、そして私の服を掴んだ。
いやいやいや…..まてまてまて…..
ここで脱ぐのか...
しかし程なく肌が空気に触れた。
ああ...やっぱり空が青い...曇一つないいい天気だなー
もういいや、覗きたければ覗くがよい。
巨乳とは程遠いが、貧乳とまでは言えまい。
相変わらず昼間なのに月がよく見えるなー。月が無ければ前の世界と同じかなー。
おっとしまった…現実逃避していた。
男の指が乳首の先端をなぞり、指から伝わる生暖かい熱がくすぐったい。
先の方だけを繰り返し擦る。
おっとと、これは焦らされてるのか。しばらく同じ部分だけを責めてきてるぞ。
次にそのまま手のひらで乳房を掴んだ。乳は男の手からはみ出るほどの.....と言いたいが、そんな乳はない。
多分男の巨大な手では物足りない大きさであろう。おそらくは....
あーなんかまた眠くなってきたなー。
天気も良いし。空は青いし。昼寝には最高の環境だな。
うあーあ。と思わずあくびをしてしまった....おっと...
さすがこれはちょっと相手に失礼だよね。ことの最中にあくびとか。
多分セーフかな、見られてはいない....と思う。
...............や、やばい見られてたかも.......
あくびの後、男の動きが止まったのだ.....そして男が椅子からおりた。
そしてこちらを見下ろし、椅子の横に立っている。........な、なんだろこの圧は...
ご、誤魔化そう....なんとか....
「あ、あーあのー」とわざと大きな口で。さっきのはあくびじゃない。あと発音する準備だし。って振りで...
口を大きく開けたまま、男の顔を見た。ん?なんだこの表情は...全く読めないな...
その表情はまさに無。感情が無い...つまり無表情ってやつだ。
ま、まぁいいか。なんか少しだけ恐いけど。
ん...あれやっぱ笑ってる....?うん確かに笑ってるな。よかった大丈夫みたい。
すごいにこにこしてる。いい笑顔だな...チャラ男はダメだが、無愛想過ぎる男は良くない。
よしよし...それかそうか、そうだよね。あくびなんかで普通怒らないよね...いい大人なら。
うーん....でもなーんか違和感感じるな...気のせいかな。
男から目を逸らし、頭を横に向け、庭の花を眺めた...(必殺現実逃避である)
あの花の色いいね。パステルカラーのやつ。控えめな感じが原色系より好きかも。
あ、奥の細かいのもいいな。小さいけれど、いっぱいあると可愛い。
その時....ふーぅふーぅっという小さい呼吸音が聞こえた。
頭は横を向いたままに視線だけ男へ向けた。
あ、よかったまだ笑顔。こっちをじっと見てるけど。
もうこのまま終わりってことかな?
あっそうか、冷静に考えてやっぱり外はまずいと気づいたのか。一旦室内に戻ろうってことかも。
そうそう、そのとおり!流石に木製ベンチは体が痛いっすよ。せめて続きは寝室でお願いしますっと。
よっこらしょっと。私は上半身を持ち上げた。イテテテ...あーやっぱ腰痛いわ。
おしっと手をつきながら、椅子からおりた。服の乱れを直して男の隣に立った。
私の頭上から男が首を傾けて私を見下ろしてきた。男を見つめて、下唇を少し噛んで、子首をかしげる。
よし決まった。どうだ!これがあの....どうしましょうアピールという技だ。
「................」
.....っておおーい!無視かよ。慣れないことしたこっちの努力を無駄にするな。
「そ、そろそろ、部屋に戻りましょうか」
「................」
「あ、あのっ部屋に戻って.....っっ.......」
「あ、ぁぁ.....、な、何をする......あっ」
いきなり男が私の服を全て剥ぎ取った。一瞬だったので手で抑えることは出来ず。
バサッという服が地面に落ちる音がした。
そしていきなり日中の外で全裸の状態になった...........