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初めては筋肉と

 紅国神様がご到着なさいました。

長い渡り廊下の奥にその姿が見えた。かなりの大柄な男だ。扉の前に着くと世話係と入れ替えに男が部屋に入ってきた。

「お初にお目にかかります。私は紅国より参った騎広と申します」いきなり大声でいわれて思わずビクッとなった。近くでみると結構でかいな。2メートル位ありそう…近いなこの人なんかちょっと距離感おかしいかも。

「ど、どうぞ、お疲れでしょうからゆっくりなさってください」その男はこちらをずっと見ながら長椅子にドカっと座った。


なんかとても変な視線だ。獲物にロックオンした猛獣かよ。まぁ筋肉ありすぎて正直全然タイプではないけど、客観的にみてイケメンの部類なんだろうな。主観的にはあんまりかっこいいとは思わないけど。

今までもこれからもきっと私には縁のない、青春を部活に全て注ぎましたーって感じのアクティブ系。


もちろんこちらの世界の衣装は元の世界のとは違うから、筋肉マニアが好みそうなタンクトップに短パンとか着てるわけじゃない。服装は昔の着物のような中華王朝のような民族衣装っぽいやつで、肌はほぼ露出してない。だから筋肉は直接は見える訳でもないんだけど、それでも服の上から分かるくらいの肉厚感。肩に掛かるくらいの長さの髪の毛ががキラキラしててなんか全体に妙に眩しい。ゔぅなんか目がチカチカしてきた。


 約2週間ほど前のこと、気づいたら変な正方形の大理石のような石板の上にいた。私は現在19歳その日は普通に大学に行ってそんで帰ってきて寝た。でそのままこの世界に来たって感じ。最初はただの夢かと思ったんだけど、どうやら転生したらしい。別に死んだり、衝撃とか無くてただ眠りについただけ。


なんか伝説の転生とはだいぶ違う気もするし、もっとこう帰りたい欲求で、精神的に病んじゃったりとかって思ってたけど、実は今のところそれほどでもない。嘆いたりする事もなく流れに身を任せたって感じで。夢ならそのうち醒めるだろう的な感じで冷静だった。まぁ戻り方も分からんらしいし。

自分って案外適応能力高いのかもとか思ったりして。で、転生した直後からこの国のそこそこ偉そうな感じの人が私の教育係になり、こちらのことを色々と教えてくれた。


まずこっちの世界は大陸が5個あって真ん中に4角い大陸がある。そんで四方に三角の大陸が4つあるみたい。それで私がいるのが真ん中の四角い大陸。この大陸には大きな山があってその山頂に大きな惑星が浮かんでいる。色も形も月そっくりだけどとにかくデカい。ただ単に距離が近いのかもだけど。


で私はその月の神官という位置付けで、光月神と呼ばれている。この月にはとても強いエネルギーがあるみたいで、私はどうやらこの世界で唯一この月パワーを宿すことができる人らしい。周りの4つの大陸にも大きな山があってその上にはそれぞれ似たような惑星がうかんでいるらしい。4つの星には紅月、藍月、黄月、緑月という名前がついている。ちなみに私がいる大陸の月は光月という。


4つの大陸にもそれぞれ私のような月パワーを操る神官が存在する。この5つの月のような惑星には、地球でいう太陽の様な役割がありこの世界のエネルギーの源になっている。様はこれが無いとこの世界で生物は生きられないらしい。惑星のエネルギーが不安定になると天候が悪化したり、最悪大災害がおきたりするらしい。なので4大陸にいる4人の神官たちはこの惑星の力を操りエネルギ一定に保つために存在する。


あ、でもこの4人は正確には人ではないらしい。なんか竜とか不死鳥とか伝説の生き物ってあるけど、そんな感じの存在で月から生まれた生物らしい。ってことは一応異星人てことかな。まあ彼らの生態はあまり公になってなくて、どのように生まれたとかその辺は秘匿とされている。見かけは人だけど体格とかはちょっと違うのかもね。


で、今日私のところに来たのがこの神官の1人で紅国という国から来た。約3ヶ月に一度順番で4人の神官が私の元を訪れることになっている。そして今日がその初めての来訪の日というわけ。何の為に来るかというと4人は月パワーを体に蓄えることは出来ても自分で月からもらうことはできない。その為唯一月からパワーを受け取ることが出来る私の元へやってくる。そして月パワーを私から彼等へ分け与えるというシステム。まあ要するに彼らはバッテリーで私は充電器で彼らにチャージをするというのがここでの私の役割というわけよ。


仕組みは理解できたが、その充電をどの様に行うのかという肝心なところだか、色々と尋ねてみたが誰も教えてくれなかったのだ。っていうかどうやらこの国の偉いさんは誰も知らないらしい。特別な力を持ったものどうしが会えば分かると、ただそれだけ。


なのでとりあえずどうやれば充電できるのか直接本人に聞いてみるしかないのだ。

で現在私は彼(紅国の神官で名前は騎広と言ったっけ?)の前に無言で突っ立っている、なんかこちらをジッと見つめる視線が痛い。絶対この人顔を近づけて目をみてハキハキと喋るタイプだ、そうそう体育会系っていうやつだ。今までの自分には全く持って縁のない存在である。正直苦手そうなタイプだ。私の好みは物腰柔らかなひょろっとしたメガネ系なんだけど...だがその割にはこの神官そんなにおしゃべりってわけでもなさそう。さっきから特に雑談とか振ってこないし。人は見かけに寄らないってやつかな。この体型はただこういう人種だってだけなのかもしれない。


実は物静な人なのかもね。

沈黙がしばらく続く。うーんお茶でも出せってことかな。お茶入れるの面倒くさいな。今日ここ初めてきたし使い慣れないキッチンって余計面倒だよね...あーでもさっきの世話係さんがなんか置いてってくれてるのかも。棚でも見てみようかなー。じっとしてるのもなんか気まずい空気。筋肉大男に睨まれるのはちょっと怖いし。ちょっと天気の話でも振ってみようかな。


「きょ、今日は暑いですね」

「あぁ暑いな。でもいいなーこの暑さ。ずっと外におったから汗がすごいわ」男がこちらをすごい凝視してまた大声で答える。


そんな大声をださなくても二メートルも離れてないから聞こえる。あーでもやっぱりアクティブ系な気がするな。1日3時間とか筋トレしてそう。声でわかる。多分...


でまたしばらく沈黙してる。ってかなんかそっちも質問とかないのか。言葉のキャッチボール大切じゃないの初対面って。このコミュ障気味の私でも多少は気を使っているというのに。

あぁなんかもう面倒になってきた、さっさと本題を切り出そう。


「あ、あのお聞きしたいことがあるのですが」と私は小声でたずねる。

「充電というのは(やべ、充電じゃなかった...)、あぁいえ私は月の力をあなたに分け与えなくてはならないと聞いたのですが、どの様にして力を与えれば良いのでしょうか?」

「何も知らないのか?」男がこちらをじっとみながら言った。

「はい。まだこの世界にきて2週間程しか経ってないもので」

「なのでやり方を教えていただければと」

「ふむ。そういうことなのか。確かにそうであるな。ではまずは私は風呂にでも入ってこようかな」

「えっっ、ふ、風呂ですか?」

「そうだ。長旅で汗をかいているからな」

「そ、そうですね、お疲れのようですからね。ご、ごゆっくり」


うーーん...やはりそうか、、人同士の充電の仕方って何をするのか分かった気がする。やっぱりそういうことだよね…この部屋2人だけだし、なんか向こうに温泉とか広いベッドとかあったしな。なにこの超高級旅館?って入ったとき思ったよ。まーまーでも、まだ分からないぞ。私の手からなんか魔法の光がシュワーっと出てきて充電完了とかもあるかも。変な期待はちょっと恥ずかしい。


でも風呂ならあと10分以上はかかるよね、うん。とりあえず一旦近くの鏡の前に立つ。でちょっと身だしなみを確認、襟元から服の中をチェック。今更ながら自分は風呂に入らなくて良いのだろうかと考えたり。下着ってどんなんだったけなどと考えたり。


私自身貞操とかあんまり気にしてないから、これがこの世界に必要な行為ということというならば仕方ないと思う。たった数十分前に会った人とそういうことをするということは、少し抵抗があるかなーとか。まぁいいか。なるようにしかならないな。っとこんな感じでプラスとマイナスな思考がぐるぐる回ってる。


ちなみに私にこの世界のことを教えてくれた教育係によると、私はあと約5年この仕事をしなくてはならない。次の人が召喚できたら私の役目は終わりになる。その後はこちらの世界で自由に暮らして良いらしい。しかもその際に一生暮らしに困ることのない資産を与えてもらえるとのこと。ようは二十代半ばで優雅な隠居生活が約束されているのだ。そう何と素晴らしいことだ。好きなことだけやって生きられる。薔薇色の未来のためこの5年無難に乗り切るのだ。


ととりあえずポジティブな思考でまとまったところに、風呂から出てきたその男が部屋に戻ってきた。

部屋着に身を包み、少し水の滴る髪をタオルで拭いながら。

「ではあちらの部屋に行こうか」

「あ、はい。わかりました」


もう覚悟を決めた。なんか慣れてそうだしこの人。もうあと身はおまかせします。って感じで決意を胸にだだっ広い部屋に入る。真ん中にかなりの大きさのベッドがある。たぶん横幅は5メートルはある。二人が寝ても十分な広さがある。  

ベッドの縁に腰掛けたその男が私を隣に座る様に導く。

「今日が初めてということだったな」

「え、えぇそうです」


ん、あれ初めてってこの仕事がだよね。それともこういう男女の行為がってことかな?男女の行為なら別に初めてじゃないんだけど。あーでもここでそれを言うのもな。そもそもこれからどこまでその行為を行うのかも不明であるのに。あぁそうだ、この仕事が初めてって言えばいいか。よし。

「あ、はい、この仕ご...ぅん….」

いきなり激しい口づけをされ言葉が途切れてしまった。

いきなりで驚いたので一瞬顔を引いてしまったが直ぐ彼の手でグイッと頭を引き寄せられる。クチュクチュという音が部屋に響いた。


な、長いなもう5分以上もこうしているような。なんかクラクラしてきた。あなんか酸欠になりそう。思わず体ごと彼から離そうとしてみるが、やっぱり筋肉男の力はそれなりである。全然びくともしない。でも苦しいので再チャレンジ。「んふぅっっ」よし何とか少し動きそう。あとちょい。よし、一瞬男の口が離れた。がそのままベットに押し倒された。


で、さっきのキスの続きが始まった。少し緊張がとれたのか息苦しさは慣れた。あぁでもやっぱり充電ってこういう行為のことなのね。ん?待てよじゃあ私は他の国の神官3人ともこれやるのかな。こういうのって二股じゃなくて四股じゃないか?って考えてると男が口づけを離し、上半身の服を脱ぎ捨てた。わーすげーやっぱり筋肉じゃん。って思ってる余裕も終わり彼が私の服を脱がしにかかってきた。って言ってもこっちの服は下着とかも曖昧な感じだから、すぐに脱がされちゃった。あっという間に半裸状態だわ。


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