勇者パーティーのおかあさんパート2【勇者パーティー修行編】
続編だーい‼︎
勇者パーティーと呼び声の高い、新進気鋭の冒険者パーティー『【祝】魔王討つべし【討伐!】』の回復役。聖女 音音が仲間たちに見守られる中。調理台の上に置かれたボールに向かって、一心不乱に祈りを捧げていた。
「女神よ、ご加護をっ!ヤァーッ!——アーッ⁉︎」
音音はくわっ!と目を見開き。バッと立ち上がると、両手で包むように持っていた〝卵〟を、何処ぞの筋肉くんのように勢いよく調理台のカドへと叩きつけ——卵がグチャッとなった。
「あ、ありえませんっ…‼︎」
音音はゼツボウした。
何やってんだよぉ〜と、音音を責め立てる仲間たち。
その中から、勇者パーティーの後衛の黒間 法子が『どれ、我が手本を見せてやろう』と、音音を押し退け。意気揚々と調理台の前に立った。
「その中身をブチ撒けろ、ヤァーッ!——はわっ⁉︎」
卵がグチャッとなった。
「こここ、この、わわわっ、我がしししっぱ…⁉︎」
法子はゼツボウした。
お前もかよ!と、法子を責め立てる仲間たち。
その中から、勇者パーティーの前衛の伊勢貝 勇菜が『まったく、不甲斐ないやつらだぜぇ〜』と、法子を押し退け。肩で風を切って調理台の前に立った。
「刮目せよっ!これが真の勇者のいちげ——アァーッ⁉︎」
勇菜が勢いよく振り上げた手から卵がすっぽ抜けた。
広臣のオデコに直撃——グチャッとなった。
「オレの〝エッグカリバー〟がーっ‼︎」
勇菜はゼツボウした。
何が勇者だっ‼︎と、勇菜を責め立てる仲間たち。
『おまえらだって人の事言えねぇだろっ‼︎』『今の我はまだ第一形態っ‼︎これから本気だすからっ‼︎』『今日は少し調子が悪かったんですっ‼︎明日、いいえ、3日後なら私だって‼︎』と、醜く争いあう三人を余所に、勇者パーティーの荷物持ちのオッサン、岡浅 広臣が調理台の前に立った。
「お前らなぁ…」
そして、おもむろに卵を掴むと、調理台のカドにコンコンと、かるく二度ほど打つけてヒビを入れ。ヒビに指をかけて——パカっ!
「「「なぁっ⁉︎」」」
広臣は片手で卵を割った、実に簡単に。
勇菜、音音、法子は、そんなバカなっ‼︎と驚愕した。
「卵が割れなきゃ料理出来ねぇだろ‼︎」
「「「じゃあ、おかあさんが作ってよっ‼︎」」」
勇菜、音音、法子はゼツボウして、何もかも諦めた。