表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

F

作者: みち

「乾杯!」

 音頭を取ると同時、私を取り囲む1.5万人のファン達は口々に叫んだ。私はみんなを煽り立てるように、更に叫ぶ。

「みんな、最後の晩餐は用意したか!」

 我先にと、今年の最後を飾るツマミを私に紹介し、薦めてくるファン達。私は、優越感に浸った。マスクの下の表情筋は緩み切っている。目の前の光景、1.5万人とちょっとの私を慕う人々が眼前に群がっている光景は、私に確かな満足感を与えた。

「私はこれで、今年を締めくくるとするよ!」

 そう言い、私はお気に入りの牛乳プリンを光に照らして見せた。220円。税込み。

 と、その時ふと視界の端に、数人で盛り上がっている男女のグループが映り込んだ。目の前のスマホに示される、11時59分。新年を嬉々として待ち構えている、いわゆる仲良し組ってやつなのだろう。新しい4ケタのカチューシャなんかをもうかぶっちゃって。

 ......羨ましくないさ。羨ましくない。

 なんせ私には、1.5万人のF(ファン)がいるんだから。

「ハッピーニューイヤー!」

 私はそっと、ツイートボタンに添えた指に力を込めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ