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3話 謁見中のハプニング

明日も更新します。

書き溜めていた別の小説も投稿しているのでよろしければそちらもどうぞ。

楽しんでいただければ幸いです。



純白のエルトロ大聖堂、その謁見の間で教皇エイジスは驚愕に目を見開いていた。

周囲の司教達など、あんぐりと口を開けている。



彼らの視線の先で半裸の男が一人胸を張っていたからだ。

見慣れない白い下着は布面積が少なく、見えてはいけないものが見えそうだ。

だというのにその男、武闘家のハダマはは恥ずかしがるどころか逆に誇らしげだ。



(何だこれは?一体何なのだ?)



何があっても動じぬ男と言われる教皇エイジスは久々に狼狽えた。

だが彼は聖王教会のトップなのだ。

情けない姿を見せるわけにはいかぬと気持ちを切り替える。


「ようこそ、勇者ルクス一行」


どうにか声を絞り出す教皇。

少し声が震えていたのはきっと気のせいだろうと自分に言い聞かせた。




少しばかり面食らった様子の教皇様だったが、すぐに慈愛に満ちた笑顔を浮かべる。

もしかしたら俺の絹のふんどしに心を奪われていたのかもしれない。

作りはシンプルだが職人によって精巧な刺繍がされた逸品だ。

純白のふんどしには聖王教会のシンボルが刺繍されている。

ここまで注目してもらえるなら教皇様のふんどしも作ってもらうべきだった。

俺は気遣いの至らなかった自分を恥じた。



「勇者ルクス一行よ。あなた方の働きで大陸の東に移住できるようになりました。

これは素晴らしい働きです」


「いえ、勇者としては当然ことをしたまで」



教皇様のお褒めの言葉にルクスが胸を張る。

俺たちの住む大陸の東は、ほんの100年前まで危険な魔物が跋扈する魔境だった。

そこでは魔物の突然変異である魔王種が定期的に生まれ、魔物の大群を引き連れ、人類の生存圏に攻めこんで来ていた。

攻め込まれる度に甚大な被害を出し、人類絶滅へのカウントダウンがゆっくり進んでいたらしい。

それを重く見た当時の勇者は各国の英雄たちを束ねて連合軍を結成し、逆に東へと攻め込んだのだ。

彼らが東征を成功させなければ人類は滅んでいたらしい。



だいぶ東の土地からは危険な魔物は減ったが、まだ奥地にはヤバいのがゴロゴロいる。

俺たち勇者パーティの使命は民間人が安全に移住できるようにすることだ。

今のところうまくいっているが、まだやらなければならないことは山積みだ。

そう考える俺たちに教皇様がさらなるお言葉をかけてくれた。



「私はあなた方に期待しています。そして確信しています。あなた方はいずれ100年前の勇者を越えると」



俺は教皇の言葉に目を見開く。

後ろのルクス達からも驚きの気配が伝わって来た。

冒険者にとって「100年前の勇者を越える」というのは最大の称賛なのだ。



教皇からの最大級の励ましの言葉にハダマは純粋に喜ぶ。

最近はルクスやザン以外の視線がきつくて町でも不審者扱いを受け続けていた。

声援を受けるのはいつも自分以外のパーティメンバーばかり。

称賛の言葉など久しぶりだ。

というか初めてかもしれない。

喜びのあまり、俺の良く鍛えられた大臀筋・中臀筋が隆起する。

それがいけなかったのだろう。



絹のフンドシは激しい筋肉の隆起に耐え切れなかった。

バチリと絹が裂けて、天才芸術家が作ったかのような俺の美しい肉体が晒されてしまう。



だが俺は慌てない。

この肉体に恥ずべきものなど何もないからだ。

むしろ美の最大放出だと褒めるべきだろう。

俺の美しすぎる肉体の魅力に抗おうとしたのか、教皇様は静かに目をつぶった。



「…少し疲れました。勇者たちよ、すまないが私は少しばかり部屋で休ませてもらいます」



(なんと!体調が優れぬのに俺たちに時間をとってくださったのか!?)



感動した俺は最大級の敬礼で教皇様を見送った。

もちろん全裸でだ。

教皇様はまるで逃げるかのようにフラフラと謁見の間を後にしていった。




この小説と同じ世界観の小説を投稿し始めました。

神様ガチャで『地の魔獣王ベヒーモス』の力を手に入れて異世界最強!だけどその戦士は少し残念なようです

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