〜始まりの始まりの始まり(仮)〜
連載です。マイペースで更新します。内容はある程度考えてあるので、頑張って書かせてもらいます。
~三年の時を超え、物語は再び動きだす~
僕の名前は日向一平。「日向」と書いて「ひむかい」と読む。
僕は昨日、近くの公立高校の受験を終えたばかりの中学三年生だ。僕についても説明を少しいれよう。
身長 百六十九センチ、体重 五十五キロの男子生徒。髪は少し茶色の混ざった黒色で、そこまでロン毛じゃない。
顔は自分で言うのもなんだが中の上と言ったところだ(と思っている)。
内面はどんなところでも本を手放すことのできない文学オタクで、読むジャンルは結構広く深くだ。
文学オタクになったのにはある理由があるのだが、それは今から話すことにも関係があるのでまた後の機会に話そうと思う。
僕には過去に間接的に人の命を奪ってしまったことがある。
当時の自分の恋心と良心が生んだ、悲劇である。
”この時の僕には過去の恋がもう一度訪れるとは思ってもみなかった”
時は今から四年前の六月、すなわち僕が小学六年生の時の話だ。
僕らの担任の先生、立川先生(愛称:立川T)が朝の会の時におもむろにチョークを走らした。そして黒板に「小坂神子」という文字が書きあがった。
そう、僕のいるクラスに一人の女の子が転入してきたのだ。こんな時期に珍しい、何か裏があるのではないか、などど少し早い中二病にかかっていた僕は思っていた。
立川Tは彼の書いた文字をチョークで抑えながら言った。
「港町の第三小学校から転校されてきた、小坂神子さんです。拍手で迎えましょう。」
何の変哲もない、ザ・先生と言った文言を口にして自ら手を叩き出した。それにつられて僕たちも手を叩き始めた。
「カラカラカラ」と教室のドアがゆっくりと開いた。皆の目線がそちらを向く。
ドアが開いた先に立っていたのは、なんということだ。全身に絆創膏が貼ってあるか弱い少女だった。身長は小学六年生にしたら低く、腕や足がホントに骨と皮でできているのではないかと思うほど貧弱で細かった。
顔の頬には目立つ大きな青あざがあり、側頭部にはガーゼがあって怪我をしているであろう部分を隠している。
とても痛々しい怪我が彼女を目立たせているが、それ以上に目立つ箇所があった。
それは、表情だ。
全くの無表情なのだ。
港町の小学校から転校してきた彼女からしたら、ここは初めての場所なのだ。そして初めての場所の中にいるのは全員初対面の人間のはずだ。
なのにもかかわらず、彼女は動揺すら見せなかった。だが、凛々しいという感じの顔つきでもなかった。
僕は、いや僕たちはこの時不穏なものを感じた。
「怖い」
次をお楽しみに。