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シュワちゃん

作者: 没価値男

『 シ ュ ワ ちゃん 』 (没12)

 映画は明らかに一度その面白さにハマルと中々止められない強い『中毒』性を持つものだが、無論アルコール中毒や仕事中毒よりは遥かにマシである。

 今でこそ映画はテレビやレンタルビデオで気軽に鑑賞できるが、私の青春時代は少なくとも映画は映画館で見るものだった。それゆえ、スイッチをつければ安直に映画を楽しめる現代と違って当時は映画を見に行くには、それなりの理由と覚悟が必要だった。

 私の映画好きは因を辿れば大学時代に行き着く。一、二年の教養課程では一日に数教科の授業を受けなければならないが、臨時休講になる事もある。ところが、電車を三本乗り継いで(一時間半もかけて)学校に通う私には当然、家に戻る時間などない。

 そんな時、私は渋谷に出てガード下近くの洋画館に行った。もちろんロードショーを過ぎたものだが、少ない小遣いをやり繰りしなければならない学生には、百円という安価が嬉しく、また一本を繰り返し流して数日で変わる方式も実に都合の良いものだった。

 当初は時間つぶしの妙策が、徐々に中毒にかかると私は自主休講を決め込んでは、せっせと通うようになった。恋愛物、活劇、ミステリー、ドキュメンタリー等、何でも好きだったから、このまま映画クレイジーを続けようと思っていたが、専門課程に入ってキャンパスが変わった事と別に興味を覚えた強力な『ライバル』が現れて、私の映画狂の時代は短くも美しく燃え尽きた。

 それ以降は、たまに話題作を見る程度だったが、この町に来て何よりも驚いたのは一軒も映画館がない事だった。久しぶりに見たいと思う映画があっても、隣町まで行くのは面倒臭いし、さらに「映画は巨大スクリーンで見るもの」という固定観念を捨てない私は、ビデオを借りるのも嫌だった。

 しかし、そんな私に「小さい画面のテレビでも構わない」と決断させたのが、シュワちゃんの登場だった。

 M氏がひ弱な自己の体躯を蔑んだように、『もやしっ子』だった私も強靭な肉体に憧れていた。そして大学生になってボディービルを思い付いたが、強靭な肉体を作り上げるには同じくらい強靭な精神が必要と知って、根性のない私はすぐに諦めた。

 元々ボディービルダーのシュワちゃんは、そんな経緯から架空の世界を愉しむ事にした私にとって、『007』以上のヒーローになり、まさにシュワちゃん映画は活劇物の原点と言える見終わった後の爽快感と共に、たとえどんな状況に陥ろうと決して『生』を諦めない勇気を常に与えてくれる。

 ところで最近のシュワちゃんはデビュー当時と比べて中々の美形になりつつあるし、女形やコメディーもこなすけど、やっぱ私的には、瞬き一つしない強面ぶっ壊し屋のシュワちゃんが『シュワッチ』だなぁ・・・。


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