悪戯な百合
イルミネーションと店の看板が辺りを照らす街並みは思っていたより明るく。
そして私達以外に人気はない。
寒さを誤魔化すように彼女の手を握りしめる。
私の手に気づいた彼女は、服のポケットに私を巻き込んだ。
見つめていると不意に目が合う。
少し遅れて胸が騒ぎ始め、苦しくなった。
見てたの、バレたかな?
恥ずかしさで赤くなる顔を隠したくて、彼女の腕に顔を埋める。
そんな私をからかうように髪を優しく撫でると道を逸れて狭い路地に入った。
あれ? 道が違うよ?
そう言おうとしていたら、彼女は足を止めて。
私を認めると優しく抱きしめた。
私も背中に手を回し、面を上げると彼女は柔らかな唇で私の口元を啄んだ。
成されるがままに彼女の舌を受け入れ、全てを任せる。
気持ちのいい感触に頭は毒され、次第に何も考えれなくなっていた。
少し経ち、彼女が口を離す。
私はまだ欲しくてデロデロになった舌を背伸びしてまで近づけた。
けど、彼女はイタズラにとぼける。
吸い尽くして欲しいのに。
必死に舌を伸ばし、なんとか先っぽで唇を舐める。
彼女の弧を描いた口がようやく動く。
口の動きを追ってみると。
よ、く、で、き、ま、し、た。
彼女は乾いた私の舌に大粒の唾液を垂らした。




