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暗黒聖女ソーフェミニ物語  作者: 忠柚木烈
君臨する暗黒聖女
72/74

熱く燃える赤い女王

「超護国挺身!ダイヤマトー!」


 魔導戦艦オーワタツミによる!

 世界間航行を実現して!

 神様のいる別世界にまできた!

 わたしを待ちかまえていたのは!


 アーノトーフェ級魔導戦艦の1番艦!

 全長4kmのアーノトーフェが変形した巨大ロボ!

 黄金色の大偉容!

 ダイヤマトーだった!


 何もかもわたしのオーワタツミとダイシスターにソックリ!

 まぁ当たり前だけどね!

 そもそも神様が作ったアーノトーフェを!

 丸パクリしてできたのがオーワタツミだし!


 巨大ロボへの変形機構も!

 神様が元々作ってて!

 わたしが先にお披露目したってだけだし!


 ってゆーワケで!

 姉妹艦にして兄弟機!

 完全に同じスペックの宿命の対決!

 巨大ロボット大決戦!


「パンチだ!ダイシスター!」


 初手全力ダッシュストレート!

 人類が体験したことない!

 前代未聞未踏破領域のパワーで!

 ダイヤマトーの顔面を振り抜く!


「どうしたの!遠慮してるの!お兄ちゃん!」


 お兄ちゃん!

 お兄ちゃん!

 お兄ちゃん!


 わたしの太陽!

 願い!

 祈り!

 救い!

 希望!

 すべて!


「わたしは遠慮なんてしない!」


 ぶっ飛んだダイヤマトーに猛ダッシュ!

 前方宙返りして背中から落ちる!

 そしたら!


「そうだな。遠慮は必要ない」


 超重量サンセットフリップが!

 宙返りの頂点で!

 落ちる前に手を差し込まれて!

 正面から受け止められた!


「全てをぶつけてこい」


 肩と!

 おまたを挟む感じで!

 憧れのお姫様だっこからは!

 ほど遠い感じで!


「全て受け止めてやるから」


 ダイヤマトーの立て膝に!

 背中から叩き付けられる!


 あぁ!

 今わたし!

 お兄ちゃんとプロレスしてる!


「うれしい!」


 ゴロゴロ転がってすぐ起きる!

 走って喧嘩キックしてくるダイヤマトーに!

 カウンターで喧嘩キック!


 すさまじい衝撃で!

 お互いぶっ飛んだ!

 そしてすぐ起き上がる!


「うれしい!うれしい!」


 今度はラリアット!

 今度はフライングニール!

 今度はランニングネックブリーカー!

 今度はスーパーキック!


「わたし!お兄ちゃんと戦ってる!」


 巨大ロボの豪腕が!全身が!

 全力フルパワー強力ファイティング!


「また戦える!うれしい!」


 弱くて!

 役立たずで!

 何もできなかった!

 ただの奴隷だったわたしを!


 助けてくれた!

 救ってくれた!

 大事にしてくれた!

 憧れのお兄ちゃんが!

 大好きなお兄ちゃんが!


 わたしの前にいる!

 前みたいに!

 いっしょにいる!


 お兄ちゃんは!

 ある日いなくなった!

 神話の魔導戦艦を復活させて!

 現れたときと同じように!

 突然いなくなった!


 お兄ちゃんがいなくなって!

 わたしはよくわかった!

 お兄ちゃんはわたしのすべてだって!


 お兄ちゃんのおかげで!

 わたしはなんでもできるよーになった!

 世界で1番強い自信がある!


 そしてそれは!

 何も持ってないのと同じだった!

 だって!

 そうでしょ!


 もしも?

 他人からお金をもらえる機会があったら?

 すぐにもらう?


 どれだけ経ってももらえるかって?

 そーゆー心配はわかるけど?

 もしもいつまでもダイジョーブなら?

 それってだれが持ってるかの違いだけで?

 もうわたしのものなのに代わりないよね?


 もらっても?

 もらわなくても?

 どっちもいっしょ?


 もしも?

 自分を敵視してくるやつがいて?

 でも実害がなくて?

 いつでも殺せるなら?


 それって?

 いつ殺すかの違いで?

 そもそも殺さなくても影響なんてない?


 殺しても?

 殺さなくても?

 どっちも同じ?


 もうわかった?

 わたしの孤独?

 わたしの寂しさ?


 最強の魔法少女?

 なんでもできる?

 できないことはない?


 わたしみたいにホントに?

 そーなってしまったら?

 それはもう虚しいだけ?


 だって?

 何をやっても?

 やらないのといっしょなんだよ?

 こんな虚しいことある?


 いくら周りを変えても?

 取り巻く環境が変わっても?

 わたしへの影響って?

 1番だいじな部分が?

 何にも変わらない?


 つまり?

 何やってもムダ?


 わたしは!

 深く!

 深く絶望した!


 有名な実験にこんなのがある!

 ある日、穴を掘らせる!

 次の日、掘った穴を埋めさせる!

 毎日毎日それを繰り返させる!


 すると被験者は!

 通常より早く衰弱して死んでしまった!

 何故なら人は!

 無意味なことに耐えられないから!


 なんの意味もない作業は!

 実際の作業量よりも!

 大きく人をすり減らす!

 シベリア抑留の捕虜への有名な虐待!


 でも!

 死ねるならまだいい!

 わたしは超常の魔法少女!

 死ねない恐れがある!


 永遠の孤独!

 あまりに耽美で!

 あまりに詩的な!


 この陳腐な言葉が!

 頭によぎったとき!

 わたしは押し潰されそうになった!

 

 死ねないまま!

 心がすり減る!

 それはもう狂う未来しか待ってない!

 緩やかに迎える!

 最悪の結末!


 だけど!

 わたしは!

 考えた!


 元々奴隷身分で!

 知識なんてなかったし!

 無敵の魔法少女となってからは!

 何かを考える必要すらなかった!


 つまり!

 考えるのが苦手だけど!

 どーにかする方法を考えた!


 わたしにはちゃんと!

 救いがあった!


 さっきいったでしょ?

 お兄ちゃんは!

 わたしの太陽!

 願い!

 祈り!

 救い!

 希望!

 すべて!


 わたしの心に!

 全世界中で唯一!

 変化を与える存在!

 それがお兄ちゃん!


 最強のわたしを!

 怖がるやつも!

 憧れるやつも!

 敬うやつもいたけど!


 障害として認識されたのは!

 お兄ちゃんだけだ!

 恐怖でも!

 恭順でも!

 畏敬でも!

 崇拝でもない!


 それはつまりわたしを!

 異質なものとして思ってない!

 対等な存在って思ってる!


 そして!

 わたしの力を!

 利用しようとも思ってない!

 役に立つからわたしを助けたんじゃないから!


 それなら何もできない奴隷だったわたしを!

 助ける意味なんてない!

 純粋にわたしのことを助けてくれたんだ!

 むしろ魔法少女になってからは捨てられたぐらいだし!


 魔法少女だからじゃない!

 わたしがわたしだから!

 あらゆる世界でただ1人!

 ホントにわたしを見てくれて助けてくれる人!


 ロリコン御用達の!

 色白ぷにぷにボデー!

 明るい青の髪!


 でもどんなヘンタイも!

 わたしにさわることもできない!

 つまり何されてもこわくない!

 ぜったいに何もされないんだから!


 でも!

 お兄ちゃんに恋してからは違う!

 わたしの心に恐怖が生まれた!


 もしも何もされなくても?

 肝心のお兄ちゃんに勘違いされたら?

 本心ではまんざらでもないって?


 そう思ったら怖くてたまらなかった!

 恋するだけで!

 何もない世界は色づいた!

 生きるのにメリハリができた!


 恋ってすごい!

 恋こそすべて!

 わたしは最強で無敵だった魔法少女から!

 恋するか弱い魔法少女になって!

 そのぜんぶを燃やしてここまで来たんだ!

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