ギセイシャト
「いよいよ始まりました世紀の一戦!」
「復活させられたと思えば」
「いきなりクライマックスな場面ですね」
「なんだいこりゃ?」
「実況はボク!世界中のかわいいを足して引いても差し引きかわいいナーナちゃんです!そして解説は3人娘のみなさんをお呼びしております」
「なんかいきなり巻き込まれたぞ」
「なんの実況と解説なんですか」
「あの巨大ロボットバトルのじゃないのかい?」
「ご明察!人類の夢!人型巨大ロボ同士の格闘戦が!今!ボクらの目の前に展開されておりまーす!」
「確かに奇跡のシチュエーションだな」
「もう今後2度と見れないでしょうね」
「あれ?3人って?フュンフのやつは?」
「死ねしかいえないので復活は免除された模様でーす!それにあんな靴下だし!」
「さもありなん。あんな靴下だからな」
「妥当ですね。あんな靴下では」
「仕方ないねぇ。あんな靴下じゃあ」
「さぁ注目の一戦の初手を飾るのは…………これはダイシスターが行ったー!」
「顔面に刺さる全力ストレート」
「これは強力ですね」
「ただのグーパン!されどグーパン!」
「凄まじい勢いでぶっ飛ぶダイヤマトー!」
「巨大ロボのパワーを遺憾なく発揮してるな」
「4km級は伊達ではありません」
「戦艦のパワーと質量すべてで格闘してんだしね。ド迫力だよ」
「ダイシスターが追撃に走…………跳んだー!」
「あれはセントーンの一種、サンセットフリップだな」
「前方宙返りから背面で落ちて、ダウンした相手を攻撃する技だね」
「壮観だね、あの巨体が跳ぶのは」
「しかしダイヤマトーは立ち上がってる!巨体のエネルギーを受け止めたー!」
「そのまま流れるように立てた膝に打ち付けた」
「シュミット式バックブリーカーですね」
「背中を強打する技だね。巨大ロボのスケールだと威力も段違いだ」
「走るダイヤマトー!迎え撃つダイシスター!」
「両者正面からフロントハイキック」
「いわゆるビッグブートですね」
「これはえげつない!」
「両者ぶっ飛ばされた!」
「そして同時に起き上がって腕を構えた!」
「超重量ラリアット!」
「差し詰めダイ・ボンバーってとこかい?」
「ラリアット改めダイ・ボンバーで両者凄まじい勢いでぶっ飛ぶ!」
「やはりラリアットはいいな」
「プロレスの代名詞的打撃ですし」
「何より見てて気分爽快!ゴキゲンな技だね」
「そして両者ふたたび立ち上がって………同時に跳んだ!」
「フライングニールキックか」
「跳び後ろ回し蹴りで相打ちってすごい状況ですね」
「完全に同じ体格とパワーと戦闘スタイルだから起こる奇跡だね」
「打撃ではらちが明かないとなれば!」
「同時に走って飛び付いた」
「うわぁ、ランニングネックブリーカーですね」
「あんなの首が外れちまうよ」
「大轟音とともに両者が沈む」
「盛大に地面が沈んだな」
「巨大ロボ直下型地震ですね」
「この地震による津波の影響はたくさんです」
「さて両者弧を描くよーに距離を置きながら睨み合っております!」
「尽く相打ちに終わってるからな」
「ここは転機が欲しいところですね」
「ズシンズシン歩いてるだけで壮観だねぇ」
「そして蹴散らされる摩天楼のビルたち!」
「秒単位で整地されてくな」
「リングは阿鼻叫喚となってますね」
「逃げ惑う連中が次々死んでくな」
「そしてお互い猛然と走りよって…………炸裂ーっ!」
「スーパーキックか」
「スウィートチンミュージックですね」
「トーラスキックとも呼ばれる、ほぼ背向けから打つカカトの蹴り上げさ」
「巨体が浮かび上がる程の大衝撃ー!」
「浮き方が尋常じゃないぞ!」
「身長の2倍ぐらいは飛びましたよ」
「巨大ロボパワー大暴れだ」
「相打ちにもめげない!諦めない!立ち止まらない!一撃必殺暴風域を全力疾走!これがプロレス!これがレスラーだ!」
「ちなみにやらせだなんだとかいって、勘違いされてるところがあるが」
「本気でやるならプロレスはかなり強いですよ」
「同じ体格かつ素手で向かい合ってて。それで相手を殺すって条件が達成できる。そんな格闘技をいくつ思い付く?」
「いわゆる打撃中心のスタンディングの格闘技じゃ難しそうだね、その条件?」
「同じ体格の相手を、立ちの打撃だけで殺すとなれば並大抵の事ではない」
「つまり素手で殺せるダメージを出せるのがが最強の条件!」
「まぁ条件のひとつには間違いなく入るね」
「人体を破壊できる豊富な間接技」
「固い地面を利用する豊富な投げ技」
「脱出困難かつ見た目より遥かに危険で豊富な絞め技」
「文字通りの殺人技がプロレスには目白押しだよ。レスラーは全て特殊な訓練を受けてるから、絶対に真似しないでくださいっと」
「というわけでロビー活動してる間に………お互いにヘッドロック?これは?」
「相手を運び去る調整の意味合いの強い技だな」
「ロープエスケープをされないようにリング中央へ向かって」
「主にトドメを刺すときの前段階だね。いよいよってとこか?」
「ダイシスターの強烈なファイナルカット!」
「豪腕で相手を地面に縫い付けた」
「ファイナルカットがフィニッシャーですか?」
「いや、アピールしてる!これからだ!」
「アピールから繰り出す………のは?」
「まさかだな。仰向けに倒れた相手の上をゴロゴロ転がってるぞ」
「大質量の巨大ロボなので間違ってるとは言えませんが」
「ここでぶーちゃんローラーかい」
「はい!折り返して完走ー!」
「何事もなかったように試合再開」
「無敵鉱石製のボディにダメージはありませんね」
「まぁ地面は液状化して地盤沈下したけどさ」
「今度はお返しとばかりにファイナルカットしたダイヤマトーがアピール!」
「両手を広げて雄叫びをあげる」
「そして………腹這いで波打つように移動してますね」
「なんてコールしようか………R!O!B!O!」
「ぐるっと回ってきたら立ち上がって!両手を波打たせるよーにしてー!」
「全力でエルボーを叩き込んだ」
「ワーム!」
「ぶーちゃんローラーに対抗したね」
「しかしダイシスターへのダメージは見られません!」
「代わりに準備動作で辺り一帯は壊滅した」がな
「っていうか気になってるんですが?」
「うん。どーやって決着つけるんだい?さっきからダメージ入ってないけど」
「お互い無敵鉱石と可憐合金!ダメージを与えるのは不可能です!」
「不毛過ぎるな」
「ギブアップも取れないでしょうし、KOも無理となれば」
「つまりフォール勝ちを狙うしかないのか」
「そういことです!なんとか隙を突いて!相手の両肩を地面に付けて!3カウントとってください!」
「ダメージを受けない相手からか?」
「ロボットならエネルギー切れはどうでしょう?」
「ガス欠を狙うか。行けるのかねぇ」
「ダイシスターはマギモーター!ダイヤマトーは桃太郎モーター!無限の動力源を積んでるからそれは無理です!」
「マギモーターはともかく、ダイヤマトーの動力はなんなんだそれ」
「日本一の桃太郎のような力がみなぎる動力源ですよ」
「動力源も同格なワケだ。エネルギーが尽きるよりは、世界が破滅する方が早い」
「つまり搦め手は通用しませんよ!」
「いや、そうとは限らん」
「と言いますと?」
「………あ!さっきのぶーちゃんローラーとワームはそういうことかい!」
「どーゆーことでしょーか!」
「精神的な動揺を誘ったんだろう」
「なるほど。驚かせてから不意打ちを狙ったと」
「その隙にピンフォールをゴッツァンしようとしたんだね」
「しかしそうそううまく行かないぞ!」
「このままでは男色ナイトメアが出るかもしれん」
「それは是非ともやめて欲しいですね」
「世紀の巨大ロボットプロレスの決着だからね。できればオリジナルのフェイバリットで決めて欲しいところだよ」
「ダイシスターが反復横跳び!」
「ダイヤマトーは軽く曲げた自分の肘をバンバン叩いてるな」
「お互いアピールしてますね」
「これから飛ばしてくつも………り!?」
「展開が早い!片手でネックハンギングツリーされたダイシスターが一瞬で脱出!」
「電光石火のウラカンラナでダイヤマトーを丸め込もうとして!」
「逆に後方回転エビ固めでダイシスターを丸め込んだら!」
「カンガルーキックでダイヤマトーを蹴っ飛ばした!なんてテクニックとパワーとスピードしてんだい!」
「今度はガチ乱打戦!全力のナックルパートで殴りあう!」
「この殴り合いはどれだけやってもダメージがない!」
「何に派生するかが問題で………ダイシスターが相手の手を掴みました!」
「正面からレインメーカー式ボディブロー!そしてすかさずクロス!これは伝家の宝刀!」
「一瞬で相手を抱えた!」
「来るぞ大技!」
「ダークネスシスター!」
「フルパワーだ!」
「辺り一帯を粉微塵に吹き飛ばしました!」
「聖女の頃から殺人技だったが」
「巨大ロボのパワーで更に必殺ですね」
「ダークネスシスター・フルパワー!本人のスピードとセンスと巨大ロボのパワーと質量が合わさった切り札だよ」
「まだ離さない!倒れたダイヤマトーを持ち上げて」
「地面への叩き付けから足を掴んだまま前方へ回転してブリッジ」
「ジャックナイフ式パワーボムですね。前回私に防がれたとき、途中で手を離してた反省でしょうか」
「そもそもボムの着地前に、ブリッジで受け切ったってのが信じられないけどね………さぁフォールの体制だよ!カウント行こうか」
「ワーン!」
「ツー!」
「スリー!」
「あれ?3カウント入っちまった?」
「17分5秒!ダークネスシスター・フルパワーボムからのジャックナイフ固め!」
「ダイシスターの堂々勝利だ」
「しかし、なんでダメージのないダイヤマトーがフォール負けしたんでしょうか」
「まぁひとつ、予想はあるけどね」