センドウシャ
さて。
ニュートン力学。
相対性理論。
と順番に来たら。
次はやっぱりあれしかないか。
量子論。
たぶん。
よほどのバカでもないかぎり。
内容に理解が及ぶかは置いておいて。
聞いたことぐらいあるはずだ。
ニュートン力学が身近な世界で。
相対性理論がマクロの世界なら。
量子論はミクロの世界の話だ。
かつてラプラスさんは言いました。
もしもこの世の原子の状態。
すべてを把握する存在がいれば。
その存在は未来のすべてを知ることだろう、と。
因果。
原因から結果が生まれる。
結果には原因がある。
そんな言葉だ。
つまり。
今を。
過去を。
正しく把握すれば。
それは。
未来に。
何が起こるのか。
すべて予想できるということだ、と。
そういう主旨で。
ラプラスの魔は提唱された。
だが。
この思考上の悪魔は。
量子論によって葬り去られた。
量子論が適用される。
ミクロな世界を構成する要素は。
観測者によって観測されるまで。
どんな状態かが不明らしい。
ラプラスの魔が前提とする。
現在のすべてを把握することは。
前提として不可能だ、と。
なんで見るだけで状態が変わるんだと。
普通の感覚では思うかも知れないが。
平均台の上でふらふらしていた量子に。
観測することで光がぶつかり。
右か左へ落っこちたとでも思えばいい。
観測するという。
あまりにささいな接触により。
微細な均衡が崩れてしまう。
それほどまでにミクロの世界は繊細だ。
あとは量子で面白いのは。
光の経路だろうか。
あー。
電子の二重スリットの話はしないよ。
そもそも。
二重スリット実験を他人に説明できるほど。
わたしは大した頭をしてない。
もしもあの実験の意味が。
正しくわかっていて。
しかも粒子について。
論理的に説明できる。
そんな人がいれば。
まず間違いなく。
そいつはバカかペテン師だ。
なにせ。
世界中の科学者が。
誰1人として。
実験結果の示す意味を。
正しく理解できないのだから。
もしも理解できるならそいつは。
ニュートンとアインシュタインに並ぶ。
知識の海の開拓者。
時代の傑物に違いない。
自分こそはそうであるというのなら。
その恥ずかしい勘違いを今すぐ胸にしまい。
もう少し謙虚さを学ぶべきだろう。
ゴホン。
それよりも。
今判明してる話をしよう。
夢見がちな妄想よりは建設的だ。
ある地点からある地点へ。
光が移動するとき。
さまざまなルートが考えられる。
障害物を迂回したり。
水中を通ったり。
いろんなところを通ることが考えられる。
でも。
実際に光が移動すると。
そのルートは1点に絞られる。
最速最短でその地点に到達できる。
そういうルートに。
すべての光は集約される。
光は全く同時に。
通り得るあらゆるルートを網羅して。
その中から最短のルートを導きだし。
最初からそのルートをたどって。
移動したという結果だけを残す。
ひひ!
ひひひひひ!
もう遅い!
わたしはぜんぶ積み上げた!
最後のひとつは重力だ!
質量を持つ物は!
重力を放つ!
そして!
重力は!
あらゆるものを歪める!
光ですら!
空間ですら!
次元ですら!
つまり!
それは!
すべてがわたしの意のまま!
ひひひひひ!
ひひひひひひひひひひ!