光切り裂く暗黒聖女
「はいこちら魔王城!」
「あれ?魔王城?」
「ぬ」
緑の木々!
大きな噴水!
なんかすげぇそれっぽい庭園!
目の前にそびえ立つのは!
白くて清潔で立派なお城!
「四天王は?」
「全世界無差別神聖シスタードレインで消滅!」
「火のメーヴォ!水のサザバーン!風のビュオー!地のナントカー!」
「惜しむなら覚えてやれ。名前ぐらい」
あわれ地のナントカ!
「船では近付けないんじゃなかったっけ?魔王城のある大陸って?」
「だから出てくる。伝説の鳥グリンティアが」
教会の暗黒クレイジー創世神話!
暗黒悪神が遣わした暗黒鳥!
それが暗黒伝説鳥グリンティア!
暗黒伝説伝承の地で呼び出して!
倒したら空飛ぶ乗り物として使えるってゆー!
まぁオリジナリティあふれる原作イベント!
でも!
「そもそもわたし自前で空飛べるし!あとその鳥はみんなで食ったじゃん!」
「へ?もしかしてこの前食った鶏肉?」
「あれか。やたらボソボソしてた」
「うん!あのクソまずかった鳥だよ」
肉食かつ筋肉を酷使してるから!
固くて臭くてマズイ最悪な肉だった!
「グリンティア、大げさな伝説も今日で終わりだ」
「空気でかまわんがな」
「そいつはよかった、じゃ」
「「「ハラショー」」」
その一言で鳥のことなんか忘れた!
思い入れもなにもないマズ肉のことなんか!
もうだれも気にしてなかった!
「じゃあもう魔王城に突撃して?」
「魔王を倒すだけか」
「所詮は魔王だし!人の言葉も解さんだろー!」
「ここで果ててもらいます。理由はおわかりですね」
「話しても無駄だ。どうせ確信犯なんだろ」
2人の手を引いて!
神聖シスタードブースト!
フオォーンンン!
神聖エネルギー粒子を撒き散らし!
深刻な環境汚染を引き起こしながら!
魔王城に突撃!
べつに魔王ぐらい!
タイマンでも倒せるけど!
それでも2人は連れてく!
わたしが管理してないとこで!
イベントが起こったら困るし!
荘厳なBGM!
奥まったマップ最深部!
そして目の前に立つのは!
「ついにここまで来たか。数々の同胞が犠牲と」
「うるへー!神聖シスターキックだ!ジャブだ!ストレート!」
「ごべっ!」
なんか語り出そうとした白いの!
めんどくせーからメッセージスキップ(物理)!
「忌々しい邪神の犬め!何も知らずに!」
「うるへー!暗黒悪神クレージが暗黒クレイジーなことなんて先刻承知の助だっつーの!神聖ダークノヴァシスター!」
BGM停止!
一瞬でありったけの!
神聖エネルギーを叩き込む!
単体に核属性特大ダメージ+神聖属性追加ダメージ+確率即死だコラ!
「ならば何故世界を歪める邪神などに加担するか!」
「あんな暗黒クレイジーノーフューチャーに加担してるワケねーだろ!」
即死は無効化されたけど!
神聖エネルギーの通りがいいな!
さすがはホントに神聖な存在!
邪悪なニセ神聖属性がよく通る!
「貴様の装いはかの邪神に遣える者の装束だろうが!」
「うるへー!わたしはシスターだからシスターのカッコしてるだけだっつーの!」
「ワケのわからぬことを!」
「メタ的な話じゃー!」
シスターなめんな!
どこの世界にいてもシスターだ!
わたしは神様だけのシスターだ!
「狂人めが!」
「うるへー!ちょっと世界を見守って!命を愛して!歪みを正そうとしてるだけで!偉そうにしてんじゃねー!」
完全無欠だとかいう!
暗黒悪神クレージは!
いうまでもなく不完全!
この暗黒クレイジー箱庭世界に!
唯一の人間を閉じ込めて!
分断!
隔離!
カンペキな世界を模して作られた!
この不完全なニセモノ世界を!
管理!
維持!
世界の外にいるホンモノ神様の!
下位互換モデル!
それが暗黒悪神クレージの正体!
カンペキを名乗るにはほど遠い!
上があるのに完全無欠なワケねーじゃん!
「愛を知らぬ獣めが!」
「わたしほど愛に生きてるシスターはほかにいねーよ!神聖ヤング伝説!神聖狂炎乱舞!神聖天将雷炎陣!」
神聖エネルギー全体攻撃をくらえ!
「くっ!サタニックフレイム!」
白い魔王が!
清浄な炎をぶつけてくる!
「ふんっ!」
ホップ!
ステップ!
ジャーンプ!
カールゴッチ!
わたしの神聖属性が相手の弱点なら!
設定的にわたしの弱点は暗黒属性だし!
全力回避!
「ちょこまかと!」
「こどもは風の子!元気の子!なせばなる!暗黒聖女は女の子!」
バタバタ足を動かして!
勢いよく走ってく!
「なにを!」
「ド・マンジュー!」
フランス語風に気合一発!
まぬけな言葉の響きからして多分フランス語だと思う!
名推理!
「撃ち落としてくれる!」
「とくと味わえ!暗黒聖女さまの妙技を!」
スウェーバック!
ダッキング!
前進しながら攻撃回避!
ゼロ距離!
「神聖ロイヤリティシスターリベラリスツ!」
ロリータリーエンジンフルパワー!
超軽量ミニマムボデーの威力を見ろ!
「わたし暗黒聖女12才!」
超高速ジャブ!
超高速ローキック!
「ちょっとオチャメな女の子!」
超高速コンビネーション!
うめき声ひとつ上げさせてやらねー!
「おしおきホテルにぶちこんでやるぜ!」
超高速で組み付いて!
超高速の勢いでぶっこ抜いて投げる!
「回って!回って!」
超高速で両手の人差し指をクルクルしてから!
超高速で両手を開きながら相手のまわりを走る!
「うりゃー!」
9999グレートグラップルグラムの全体重で!
超高速フラッシングエルボー!
「ラスボス戦で」
「ピープルズエルボー決めたな。ロックボトムから」
「明らかにお遊びだね」
「うむ」
「限界まで飛ばすぜー!神聖シスターレーイブ!」
「今度はロック繋がりで乱舞だしたよ?」
「どこまでも足掻くつもりなのか」
「神聖サクガーン!神聖バラードシスター!神聖スクリューシスター!」
「またロック繋がりだ!」
「しかもマイナーだな」
「神聖シスターブーメラン!神聖メルトシスター!神聖スピンシスター!神聖スペースシスター!」
「あれ?なんかどっかの星の守護神になったけど?なんで?」
「ぬ………スクリューシスターからか」
「なんで………もしかして武器の名前つながり?」
「だろうな」
「遠慮なく攻撃してるねー」
「まぁ必要はないだろう。遠慮なんて」
「出番なしだねー」
「終わってくれればな。このまま何事もなく」
「終わってくれるかな」
「どうなるか次第だ。第2形態戦が」
「あ、いきなり第2形態」
「まぁ順当か。元から聖女はタイマンで倒せるんだから」
「フェミちゃんならなおさら?」
「だな」
「第2形態に負ける可能性は?」
「空から札束が降ってくるのを期待するよりは建設的か」
「つまりありえないワケね」
「そうだな。私達は後詰めだ」
「世界を守る万一の保険」
「そして切り札だ」
「神聖ローキック!神聖トラースキック!神聖ビッグブート!神聖ストンピング!神聖サッカーボールキック!」
「怒濤の蹴りだね」
「強烈だな」
「神聖氷柱割り!神聖ビール瓶切り!」
「あ」
「あ」
「クリティカル出したよ?」
「一撃で首を跳ねたな」
「ってことは」
「エナジードレインだ」
ふん!
適度にからだを動かして!
ウォーミングアップも済んだし!
もう用はないや!
神聖シスタードレインで消滅させる!
バイバイ!
ラスボス!
クソみたいな弱さだったよ!
さて!
「この世界はもう終わった!魔王がいない以上!もう誰もわたしを止めることはできない!」
「あーあ」
「やはり既に自我があったか」
なかよしこよしも!
もうおしまい!
いうこと聞いて!
聖女ごっこしてあげたんだから!
今度はわたしが好きにする!
「さぁローラちゃん!やろーぜ!」
「避けては通れんか」
「からだまでいじってくれちゃってまぁ!」
「もはや語るまい。そこまでわかってるならな」
こんな知らない世界に閉じ込めて!
からだまで他人のにされて!
「返してよ!わたしのぜんぶ!ぜんぶ!ぜんぶ!ぜーんーぶー!」
「何一つ自由にさせるものか。人類に災厄もたらす赤い女王め」
「ははは!その名前で呼ばれるのも久しぶりだよ!」
見せてやる!
ディストピアクイーンの力を!