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暗黒聖女ソーフェミニ物語  作者: 忠柚木烈
輝き放つ暗黒聖女
42/74

前進する暗黒聖女

 前進!

 前進!

 また前進!

 勇み励みて進めよや!


 前進系ロリータ!

 ソーフェミニ・グノーシスが!

 暗黒クレイジー箱庭世界の!

 歩き方を伝授しちゃうゾ!


「カニカニ!」

「どこカニ?」

 わざとらしくカニを探すナナちゃん!


「いるわけないだろう。こんなところにカニなんて」

 ローラちゃんも呆れ顔!


「うん!カニはいない!」

「えー?食べたかったなー、カニ!」

「ふむ。カニか」

 求めれば遠ざかる。

 カニの幻影に追いすがるナナちゃん。


「女の子はさむくなると食べ物の話しかしない!」

「だって寒くなったら美味しいものいっぱいあるじゃん?」

「そうだな。寒いときの鍋は格別だ」

 ローラちゃんも鍋の魅力にはかなわない!


「いいね!鍋!鍋パしようよ鍋パ!」

「やろーやろー!」

「うむ出番だな。鍋ゴリラと言われた私の」

「ローラちゃんローラちゃん?鍋ゴリラってなんやね?」

 そんな役職聞いたことねー!


「上位の役職だ。鍋奉行の」

 しずかに!

 そしてドヤ顔で!

 なぞの肩書きを自慢するローラちゃん!


「ふーん?でも仕切る必要あんの?」

 鍋ゴリラの存在意義!

 カッコよくいえばレゾンデートルに疑問を呈したとき!


「鍋ゴリラdisってんのか!?あァ?」

「え?今のローラちゃんの台詞?」

 なんか今だかつてない殺気をぶつけられたんだけど?


「ダメだよフェミちゃん?鍋をおいしく食べられるんだから、ローラさんのジャマしちゃ?」

 ないがしろにされたローラちゃんを!

 フォローするナナちゃん!

 できるおばけのナナちゃんです!


「でもローラちゃんが作る鍋って、ドロドロになったバナナしか入ってないよ?」

「使えねーゴリラだな!てめー!」

 鍋ゴリラ!それはバナ鍋専門のスペシャリスト!


「バナナの偉大さがわからんとは。所詮は人間か。いくら他とは違っても」

 物憂げに目を伏せるバナナテロリスト!

 どう見ても「悲しいけどやるしかない」系の悲壮感!


「なに被害者面してんだゴリラてめー!」

「ナナちゃんこそ被害に遭ってないでしょ?」

「フェミちゃん食ったことあんの?」

「食ったってゆーか飲んだし!」


 鍋に入ってて熱いだけで!

 ただのバナナドリンクだし!


「バナナはうまい。鍋はうまい。バナナ鍋はもっとうまい」

「なぞの理論が飛び出したよ!」

「二刀流で2倍!2倍のジャンプ!3倍の回転!」

 両手を天に突き出してバンザーイ!


「相性考えてないからそれだと、ステキなエロ本を鍋にしても、ステキになる系理論」

「全部乗せが常に成功するなら、多機能系家電に失敗はないし!」

 2対1かつ火力支援あり!

 孤立無援ゴリラを容赦ない批判が襲う!


「だ、だが」

 あきらめの悪いローラちゃん!

「ってゆーか?」

「ってゆーか?」

 オウム返しのナナちゃんは置いといて!


「ふつーに料理できるじゃん?ローラちゃん?」

「え、バナナバカキャラのくせに、料理できんの?」

 なんかナナちゃんのローラちゃん評価やたら下がったな?

 わたしも料理オンチ系キャラ大嫌いだけどね?


 指示通りに作らない?

 味見しない?

 それで人の口に入るもの作るって、無責任過ぎない? 

 味覚障害で自覚ない?

 じゃあ料理すんなよ、な?


 とくに許せないのは、カレーをまずく作るキャラ!

 1回でも作ればふつーはわかるけど!

 カレーって、まずく作る方がムズいし!

 パウチのやつなんて、温めてごはんにかけるだけ!


 あと人が作ったもの台無しにする系!

 隠し味とか好物だからって!

 人が目を離した隙にテロを起こす!


 どっちも悪意がなかったらできないって断言できる!

 だからわたしはメシマズキャラは死ぬほど嫌い!

 むしろ殺す!

 ごはん大事にしないやつは許せない!

 だけどローラちゃんは許す!


「いっとくけどナナちゃん?」

「なにさフェミちゃん?」

「ローラちゃんメシウマキャラだよ?」


 そう!なにを隠そうローラちゃん!

 メインヒロイン標準装備技能!

 メシウマスキル持ち!


 ありきたりの食材からおいしい料理を作る!

 食材の錬金術師!クッキングアルケミスト!

 永遠の勝利者!ウィナーズフォーエバー!

 立ち上がれ!平和の祈り込めて!


「今のゴリラキャラになるまで、正統派文武両道キャラ狙ってた感ある!」

「ちょ!待て!」

「あ、ローラさん慌ててる!これマジのやつだ!」


「あ、バラされたくなかった系?メンゴメンゴ?」

 超真剣にあやまる!

 ナナちゃんも鬼の首を取ったみたいに!

 嬉々とした表情で突然変化した理由を聞こうとしてる!


「なんで?ねぇなんで?正統派文武両道キャラがいきなり肉体派ゴリラキャラになったの?ねぇねぇなんで?」

 スキップしながら惑星ゴリラの衛星に変身!

 足ないおばけのくせに超軽やかスキップ!

 

「ローラさん絵描き歌ー!ゴリラ書いてー♪バーナナーをひーとつー♪持ーちまーしたー♪あっという間に………これもうローラさんだよブハハハハハ!マジ受けるー!ブヒュヒュヒュ!」


 カチリ!

 鼓膜は何も捉えてないけど!

 わたしの暗黒聖女センサーは!

 たしかに何かの音を聞いた!


 本能が叫ぶまま!

 9連バックフリップ!

 後ろへ向かって全速前進だ!


「ヘゴリラクレスルー!」

 ブオン!

 直前までわたしがいたところを!

 超音速の初速度で!

 何かがスイングバイ!


「ぎょべえええええええええ!?」

 マッハでブッ飛んでくおばけ!

 ローラちゃんは打撃の横押しも強いけど!

 投げも強いハイブリッド系キャラだから!

 投げ抜け不可の1フレーム投げは常に意識してないと!

 半径985ドットはローラちゃんの手の届く距離!


「ゴリライオットスタンプ!」

 ずどむ!

「ごべぇえええええ!」

 うわぁ………!


 推定体重0.2t!

 ローラちゃんの巨体が!

 空を舞った!

 すげーキレーな三角蹴り!


「ゴリライジングフォース!」

 渾身の1tパーンチ!

 デストローイ!

 さらに吹っ飛んだナナちゃんに!

 キレーな追撃が入った!


 ずべしゃー!

 おしりを突き出した!

 マヌケな姿勢で倒れるナナちゃん!

 おばけは死んだ!


 ………!

 流れる沈黙!

 一瞬の空白!


「たまには、マジにいってみる?」

 気軽に首をかしげて!

 手のひらを向けてみる!


「いいや。やめておこう」

「あーら、残念?」

「勝てるつもりか。そのナリで」

「んー?勝てないと思うの?」


 ニッコリ!

 アルカイック聖女スマイル!


 フィジカルの差はあるけど!

 なぜか!

 なぜか神聖属性を無効化されるけど!


 ふつーに考えて!

 フィジカル負けてて!

 得意の魔法も通らないなら!

 相性サイアクだけど!


「言っただろ。やらないと」

 興味を失ったみたいに!

 うでぐみしながら!

 そっぽ向くローラちゃん!


「あーら、残念?」

 やってみたかったけどなー?

「フェミは人間だ」

「フフフフ!そーだね!」


 クルクル回って!

 両手を掲げて!

 降り注げ!


「神聖シスターオブデスティニー!」

 ばぁーん!

 空を裂いて!

 カミナリが降り注ぐ!


 無尽蔵に!

 無作為に!

 無分別に!


 当たれば黒焦げ危機一髪の!

 特大の雷が!

 絶え間なく降り注ぐ!

 カミナリは神鳴り!

 すごい神様の力だって!


 吹き荒ぶカミナリの中で!

 わたしにカミナリは当たらない!

 なにも制御しなくたって!

 わたしに当たるわけがない!

 ゼッタイに!


「フェミは人間だもん!アハハハハ!」

「………」

 なにも言わないローラちゃんを尻目に!

 わたしはクルクル回る!


 神様!

 愛してる!


 神様はわたしのこと?

 愛してる?


「アバババババババ!」

 わたしには当たらなかったけど!

 おばけには当たったみたい!

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