心配する暗黒聖女
「はっ!」
思わず声をあげる!
「あの頃は?」
ナナちゃんがそれに反応した!
「2人とも?」
ローラちゃんも反応した!
「なにかしら?」
あの2人の反応は?
なぞめいてる?
「フェミちゃんこそどしたの?」
手をワサワサするナナちゃん!
「なんで声をあげた?」
ローラちゃんはふつーにうでぐみしてた!
「いやさー!」
とくに意味のないことばをはさんだら!
「そいやさー?」
すぐにインターセプトするナナちゃん!
「どっこいしょ」
とローラちゃん!
「「「ソーラン!ソーラン!」」」
みんなでソーラン節を踊る!
「「「ハイ!ハイ!」」」
一子乱れぬ不協和音で歌うわたしたち!
ナナちゃんがラップパートを勝手に作って!
ローラちゃんがドラムソロパートを勝手に作って!
わたしがお便りコーナーを勝手に作って!
お互いにつぶしあう!
ちなみにローラちゃんのドラムは胸をドコドコたたく本場のドラミング!
魔力をのせた門外不出の秘技!
ピピピドラミング!
ちなみにわたしの解読がまちがってなかったら!
「カレー」って執拗に打電してたっぽい!
さらにナナちゃんのラップは!
最後に終助詞の「さ」をつけるだけ!
あのさ!
そいやさ!
わたしさ!
かなりさ!
ばっちりさ!
………ナナちゃんはラップというジャンルをなめきってる!
親指と人差し指と中指の3本を立てて!
「チェケラ!」って手の甲を前に突き出す!
このポーズを左手でやってるのはえらいけど!
アレって右手じゃダメらしいし?
左手でやったときにアフリカ大陸の形になるから?
くわしく知らないけど?
ラップの発祥とか?人種差別とか?
その辺的な関係の話っぽい?
まぁ!
ソーラン節はただの悪のり!
わたしのいいたかったことと!
ぜーんぜん関係ない!
いや、いいたいこといいたい放題いったけどさ!
お便りコーナーって形で存在しないお手紙読んだ体で!
投票の時期がきたら毎回いちいち家にくる!
犬を聖獣としてあがめる宗教の人がうっとうしいですとか!
「また先生が博士号をとったんですよ」っていわれても!
「はぁ、またですか」としかいえねぇよ!
いい加減日本ブーメラン党とかいうアホどもは!
外観誘致の現行犯で撲殺していいようになるべきとか!
赤は太陽系から出ていけ!
日本に悪夢をばらまくために日夜暗躍してる悪の秘密結社!
けど今回いいたかったことと関係ないし!
わたしのいいたかったことは!
「メインストーリー進んでないじゃん!クエスト消化ばっかやってて!」
つくえがあったらバンってたたいて立ち上がるいきおい!
「メインストーリー?」
「そう!」
怪訝そうな顔のローラちゃん!
「ネバーエンディングストーリー?」
「ナナちゃんはちがう!」
絶望も傷痕もあるんだよ!
「どうなるんだ、それが進んでないと」
ローラちゃんが聞いてきた!
「んー?」
メインストーリーが進んでないと………そんなにこまんない気もする!
鎧袖一触!
快刀乱麻!
一撃必殺!
あらゆる依頼をスピード解決!
並みいる依頼人をバッタバッタとなぎ倒し(※当時は若く一部の依頼人はホントになぎ倒しました)!
火力過剰!
自意識過剰!
わたしたちこそ強力の申し子!
あらゆるいきものを!
真正面から粉砕できる!
冒涜的属性の神聖属性!
そして圧倒的フィジカル!
ローラちゃん1tパンチ!
多少徒党を組まれても!
わたしたちは負けない!
ココアはバンホーテン!
テストで3点!
えがおは満点!
ぶっちゃけ消化作業!
ただ冒険するより!
ついでにクエスト消化した方が!
効率いいって思って冒険者ギルドに登録したけど!
ぶっちゃけ飽きた!
すごい作業感!
すごいストレス!
すごいつまんない!
昨今のゲームのこういう!
ノルマ感が受け付けなくて!
RPGってやらなくなったし!
広大な世界で冒険しよう?
電子世界でもルーチンワークしようじゃなくて?
強さかしこさかっこよさ!
そして何よりときめきが足りない!
ドキドキワクワクは年中無休!
つまり要約したら!
「ドキドキ!おにゃのこ!必要!」
「なるほど!」
ナナちゃんもわかってくれた!
「おにゃのこを見るとドキドキが止まらなくて百合が必要なんだね!」
「ちげーよバーカ!」
ナナちゃんはわからなかった!
コイツバカ!
「だいじょうぶだよフェミちゃん!」
「なにが!」
「わたしもおにゃのこ見たらムラムラするし!」
「なにひとつだいじょうぶじゃねーし!」
「さぁめくるめく百合世界へ羽ばたこう!」
「そんなとこに羽ばたかねーよ!」
「ピンク色のゾウが飛び交うステキな世界へ!」
「ソレ百合世界じゃねーし!」
マリファナ中毒者がよく見るやつ!
「ほとんど合法みたいなもんだよ!」
「それはまちがいなく違法ってゆーの!」
「まかせてよ!わたしも経験ないけど妄想の中じゃけっこうテクニシャンだし!」
「ただこじらせただけのド素人!」
S級素人に気をつけよう!ブーンチクッ!
パケに写ってる美人?
いやしないのさ!そんな人!
なぜ泣くのです!
「うるへー!シスター服の裾からチラッと見えるキュッとしたふくらはぎ見るたびにムラムラしてたんだよ!さそってんだろ!」
鼻息荒くわたしのおみ足をガン見するナナちゃん!
「うるへー!人の美脚見て勝手に盛んな!そんな口説き文句じゃわたしのハートビートセンサーはときめかねーよ!」
完全にダメなセクハラオヤジみたいだし!
「まだだれにも揉ませたことのないフェミちゃんの白い肌にわたしの指を這わさせろ!」
「それでどうやってときめけと!」
文学的にはなったけど!
官能小説の文章表現じゃねーか!
「先っちょだけ!先っちょだけだから!」
「なんの先っちょをどーする気だっつーの!」
「いわせんな恥ずかしい!」
「恥ずかしいっつーなら恥じらえ!切り落とすぞ!」
「あひぃ!猟奇的!フェミちゃんわたしの先っちょどうする気なの!」
「どうもしねーよ!」
なみだ目でおしっこをガマンするみたいなポーズしてるナナちゃん!
それをバカを見る目で見るわたし!
基本的にわたしはバカに冷たい!
「こうなれば実力行使!フェ~ミ子ちゃ~ん!」
大ジャンプからの平泳ぎみたいなポーズで頭から突撃!
女性をてごめにする由緒正しいダイブ!
だけど!
勢いのある姿勢のわりに!
ナナちゃんの落下は遅い!
ナナちゃんはジャンプのもっさりしてるティッシュキャラだから!
撃ち落とし放題!
「パワーマックス!」
ジャキーン!
両手をクロスして力を溜めて!
神聖エネルギーを這わせた足を!
弧を描くように振り上げる!
「神にそそのかされてムリヤリ行動させられたんだ」
その予備動作を見ただけで敗北を悟ったナナちゃん!
無敵対空使える超反応ボスに飛び込んではいけない!
っつーか責任転嫁すんなし!
「いけないな!神のことを悪く言っては!」
見ているかペンチと戦車とゴーレムと大砲の弾!
さんざん万人の目に見せつけた情けない姿だーっ!
バ火力と!
根性補整と!
マックス補整と!
砂糖と!
スパイスと!
ステキなものぜんぶでできた即死技!
「神聖!ジェノサイッ!シスター!」
刃と化した足でカリスマ溢れるマヌケを切り裂く!
「こどもたちの薦めでー!」
撃退のまぎわでもこどもに責任転嫁してるナナちゃん!
KO!
ウィナーイズわたし!
勝ちポーズをとってたら!
ローラちゃんがインターセプト!
「行け!ズィーベン!おばけの底力を見せてやれ!」
「ウガー!」
また復活するナナちゃん!
墓場ででっかい石臼みたいなの回してきたのかな!
そのあとはテキトーにプロレスごっこして遊んだ!