解決する暗黒聖女
「幼馴染みの彼と結婚したくて…」
「なにを隠そうわたしはシスターです!安心安全暗黒暗殺暗躍のプロにお任せください!」
「まぁ心強………暗殺暗躍?」
今日もお仕事がんばるゾイ!
困りごとがあったら任せてね!
得意の魔法でね!
バンバンバンバンやっつけちゃう(物理的に)!
S級冒険者!
ソーフェミニ・グノーシスここにあり!
ちなみにSは!
シスターとか!
ソーフェミニとか!
Sサイズとか!
サディスティックとか!
セーラー服とか!
スーパースターとか!
スパークとか!
スプラッシュスターとか!
スペシャル!
シグネチャートゥ!
セーブア!
ソウルとか!
侵略されてるゾとか!
まぁ!
なんかそんな感じのS!
まずは要件定義から!
顧客の要望をしっかり把握して!
それを現実的に実現する!
ビジネスソリューションを提案!
クラウドファインディングをコミット!
アウトソーシングなコンセンサス!
クリエイティブなキャッシュフロー!
ダブルバイセップスなポージング!
エッジあるアブドミナルアンドサイ!
まぁ!
なんかそんな感じのお仕事!
「色恋沙汰か」
うで組みしてすわってるローラちゃん!
「初々しいね」
茶化すみたいなナナちゃん!
ふつーに街を歩いてる………というか浮遊してるんだけど!
とくにおどろかれたことない!
イギリスみたいなもんかな?
あそこは幽霊に住民票があるらしいし?
魔法のあるこっちだとさらに受け入れられるのかな?
………いや、その理屈はおかしい!
おかしいと思うけど!
ナナちゃんとわたしが手つないでも!
ナナちゃんがわたしに抱きついても!
ナナちゃんがわたしの髪いじっても!
みーんな気にしない!
もしや!?
純粋なこどもにしか!?
ナナちゃんは見えないのか!?
ときめく心!
もしもなくしたら!
見えないのさ!
空にはなにも!
おとなにはわからない世界がある!
謎の組織「こども銀行」とか!
こども銀行券とかいう謎の紙幣を発行する!
すべてが謎に包まれた暗黒クレイジー超巨大組織!
ちなみに!
おとなにナナちゃんが見えるか実験してみたこともある!
町行くおとなに笑顔であいさつ!
中指立てて元気よくさのばびっち!
結果!
10人中25人が怒り狂って襲いかかってきた!
ナナちゃんは動きがおそい!
格ゲーでいうティッシュ!
逃げ切れないナナちゃんを捕まえた瞬間!
さわったソイツは指先から全身腐って死んだ!
神聖エネルギーの塊をさわったらそりゃ死ぬさ!
とりあえずナナちゃんはふつうに!
見えるし触れることがわかった!
おおっと!
お仕事中だった!
「幼なじみと結婚するのに、なにか障害はございますか?」
冒険者ギルドに依頼してくるんだから!
なんか問題があるはず!
「じつは、わたし以外にも幼なじみがいて………」
「「ほほー!それでそれで!」」
身を乗り出して聞き入るわたしとナナちゃん!
わたしたち育ちがいいから!
泥沼の三角関係とかに首突っ込むの大好き!
「その幼なじみというのが………男で」
………ん?
「おとこ?」
「という名の物語?」
許されるはずもないボーイズラブ?
「それで………男同士でいっしょにいるだけなんで」
「間を引き裂くこともできず?」
「うん、同性カップリングは尊重されるべき。尊い」
なんかナナちゃんの観点はちがう気がする?
というか?
「そのもう1人の男の人は、ホントに彼とやらのこと好きなの?」
仲がいいってだけじゃなくて?
「はい、間違いなく」
「なんか確信できることがあったの?」
「男同士で………指をからませながら手を繋いだり、正面から抱き合ってお互いの髪を撫でたり、見つめあってキスしたり、お互いのブリーフを交換したり……」
「オォーウ!」
突如もたらされるカゲキな情報!
ブリ交(ブリーフ交換)は進んでるな!
「本格的だな」
アンタッチャブルだったローラちゃんも思わず反応!
「それは間違いないね」
ナナちゃんは恋愛リベラル派なんでおどろいてはなかった!
「わたしには………交換できるブリーフもありません………!どうしたらいいのか……もう!」
感極まって顔を伏せて泣き始めた依頼人!
「敵はなかなかの策士らしい、か!」
状況を整理しながら舌を巻くわたし!
等価交換が基本である以上!
ブリーフと交換できるのはブリーフのみ!
ブリーフを持ってない依頼人には介入できない!
こんなカンペキな防御策を講じるなんて!
もはや状況は詰んでるといっていい!
「っていうか!」
勢いよく声を上げたわたし!
「なにか方法がありますか!」
わらにもすがる依頼人が顔をあげた!
じゃあわたしの考えを披露してあげよう!
「ねーよバーカ!」
「え?」
固まる依頼人!
もう状況詰んでんじゃん!
「どう聞いても付け入るスキないし!アンタが横恋慕してるだけじゃん!悪女!」
「だな」
「そうだね」
ホントは思いあってるとかならともかく!
相思相愛を引き裂こうとしてるし!
そしてあろうことか!
「でも!男同士なんてヘンです!」
とんでもないことをのたまいポンチ!
「うるへーバカー!」
暗黒聖女全力ビンタ!
座ってた依頼人………あらため!
セクシャルマイノリティ迫害マンが横1回転!
普通が多数派なら!少数派はヘンなんて!
「正論吐いてんじゃねー!」
左にくるんと回転しつつ!
後ろ回し蹴り気味にサイドキック!
「オボァー!」
悲鳴を響かせながらぶっ飛んで!
地平線へ向かってテイクオフ!
キャーとか力ない悲鳴じゃないのは感心!
「化石になるまで発見されまい!」
ドップラー効果を残し!
悪は消え去った!
なんだか知らんがとにかくよし!
「マイノリティ以前に!性的嗜好をオープンにするのがおかしいとか!当たり前のことをいうなバーカ!」
「まったく!反論の余地のないカンペキな糾弾なんて!人の心がないんじゃないかな!」
「うむ」
プリプリ(怒りを表す擬音)!
「あのよー?」
「あァ!?」
声をかけられたので!
目力込めて笑顔でふりむく!
「ヒィッ!」
たまらずたおれこむオッサン!
わたしのアルカイックスマイルに怯んだか!
物理的衝撃力を伴う視線がチャームポイント!
「なんの用でやがりましょうか?くだらない用件でございましたらぶち殺しますわよ?」
そして丁寧に宣告!
丁寧丁寧丁寧に!
「えっ、えっと」
どもるオッサン!
「その句読点含んで6文字が用件なら!3秒後のお前の運命は八つ裂き死体への強制トランスフォームだ!」
そんな暗黒クレイジーバカに時間をとられて!
アングリーヘアトラストトゥスカイなわたし!
「ちっ、ちがう!やりすぎ!やりすぎだって!」
「あァ!?」
「やりすぎ?」
「なんだと」
信じられないことばを耳にして聞き返すわたしたち!
「だってそうだろ?」
わたしたちが聞き返したのが話を聞く体制になったと思って落ち着いたオッサン!
「ホモがヘンだって言って何が」
ゴトッ!
途中でオッサンの首が落ちた!
まったく!
絶対的上位者を前に落ち着いてる場合か!
いつ殺されてもいいように!
震えて命乞いでもしてればいいのに!
だいたい!
「LGBTは倫理と論理を無視して尊重されるべきに決まってんじゃん!」
「うん、同性カップリングは尊い。正義」
「ふん」
ローラちゃんのうでにスルスルのぼって!
わたしとナナちゃんでロリータサンドイッチにする!
なかよし!
「べ、別に人権団体がこわいわけじゃないんだからね!」
「そ、そうぽよ!」
「う、うむ」
わたしたちは抱き合って震えた!
暗黒聖女道心得その1!
清くあれ!
シスターたるものこの身は神に捧げた!
男なんかにさわられたらからだが腐る!
女同士は可!