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暗黒聖女ソーフェミニ物語  作者: 忠柚木烈
暮れなずむ犠牲者
21/74

破魔調伏する暗黒聖女

 サクリファイスアバター!


 原作での登場のしかたは!

 ………なんか建物の奥に行ったらいきなり出てきた!

 特に主人公と因縁はない!


 そのまま戦闘になって!

 勝ったら断末魔を上げて消える!

 やっつけたあとも「コイツがうわさのお化けだったのかな」って!

 ちょっと話しただけで終わり!


 かんじんな戦闘も!

 動きがすごくおそいし!

 やっかいな攻撃もない!

 状態異常とかの搦め手もない!


 ボスらしくステータスは高めなぐらい!

 おかげで攻略サイトには「コンボの練習にちょうどいい」って書かれてた!

 わたしも聖女高い高いとか!

 聖女スカイハイとかした記憶がある!


 わりと序盤に覚える聖女の打撃スキル!

 ライジングバースト!

 なんか物騒な名前のこの技を使うと!

 聖女は両手を上げながらその場でジャンプする!


 そのやたら楽しそうな挙動から!

 聖女ピョンピョンと人は呼ぶ!

 技の性能の方はというと!

 当たった敵を真上にぶっ飛ばす!


 標準重量の敵だとなす術なく浮かせられる!

 聖女の空中コンボの始動技兼繋ぎ技!

 火力はそれぼどでもないけどひたすら便利!

 やたら発生が早いしやたら敵を巻き込む!


 敵集団の中に突っ込んで発動すればまとめてぶっ飛ばす!

 落ちてきたらまたぶっ飛ばす!

 その繰り返しがやたら楽しそうなことから!

 聖女高い高いと人は呼ぶ!

 ちなみにそのまま敵を倒したら聖女他界他界と呼ぶ!


 そして何より重要なのが!

 この技は連続ヒットさせると!

 当てた数だけ高く吹っ飛ばす!


 しかし1回の発動で同じ敵には1ヒットしかしない!

 そして発生は早いけど硬直は長い!

 ならどうやって何回も当てるのか!


 技のモーション中になぜか!

 メンシェンイェーガーでだけキャンセルできるタイミングがある!

 かなりシビアだけどキャンセルに成功したら!

 メンシェンイェーガー後はニュートラル状態だから!

 空中だろうが全行動が可能!


 聖女ナイアガラ!

 聖女ゴッドブレス!

 聖女スーパーミラクラッチ!

 様々なオリジナル空中コンボが開発されたりした!


 聖女スカイハイもその中のひとつ!

 やることはすごく単純!

 ひたすらライジングバーストキャンセルして!

 ひたすら敵を上空にぶっ飛ばし続けるだけ!


 サクリファイスアバターは!

 このコンボの練習にちょうどいい相手!

 だいたいのプレイヤーはこのボスと戦うころには!

 聖女スカイハイのコンボパーツを覚えてる!


 あとは最初に戦うボスってだけで!

 とくに印象とかない感じのボス!


 せいぜい!

 さんざんお手玉にしてもてあそんでおいて

「現世にのこった哀れな魂を解き放つことができたと思いましょう」

なんてうそぶく聖女様が「ぐう畜」「おまいう」っていわれたぐらい!

 へへ、サーセン!


 そんな低脅威目標サクリファイスアバター!

 暗黒クレイジーおっさんとの連戦になるけど!

 それでもよゆーな相手!

 今、お手玉の世界新記録を樹立してやんよ!


 ちなみにその外見は!

 白いフードローブを目深にかぶって!

 うらめしやポーズした人間大お化けって感じ!


 ………なんか原作より?

 大きさが小さいような?

 印象がやたら弱い理由は?


 やたらでかい図体だから?

 当たり判定まででかいから?

 囲んで袋叩きにしたら?

 反撃受けずに倒せるからなんだけど?


 ちなみに!

 足の部分はないみたい!

 ボロボロローブの裾がたなびくだけ!

 たなびいたいことがあるんだ!


 ちなみにこんな見かけなのに!

 物理攻撃は100%通るし!

 神聖攻撃には勇者並みの耐性がある!


 そう!

 それが初見殺し要素のひとつ!

 ………ってほど悪辣じゃないけど!


 そのお化けっぽい見かけから!

 ちょっとでもゲームになれてたら!

 覚えたての神聖魔法を使いたくなるけど!

 なんと強耐性持ち!


 というか!

 道中のゴーストとかゾンビとかスケルトンとか!

 コイツら神聖攻撃に耐性持ち!

 サクリファイスアバターほどじゃないにしても弱耐性!


 このおかげで廃教会は!

 一部のプレイヤーから難関ダンジョン扱いされることもある!

 弱点ついてもなかなか死なない敵が闊歩する魔境って!

 落ち着いて弱点調べたらそんなことないってわかるのに!


 聖女は神聖攻撃魔法で援護させたら!

 敵にレジストされてダメージをぜんぜん出せない!

 そうなると勇者の物理攻撃だけが頼りになる!

 原作の聖女はCPUに任せるとぶりっこするから!

 ちなみに神聖バックホームなら大丈夫!


 アンデッドのくせに神聖魔法に強いコイツら!

 けっこう考察班には好評な存在だったり!

 舞台が廃教会だったり!

 意味ありげなボスの名前だったり!


 サクリファイスは生け贄!

 あとは供物、捧げ物って意味!

 特に神さまへ捧げる宗教的な意味で!

 そして集められていたうら若き町娘!

 廃教会に響く怨嗟の声たち!


 どう考えてもサクリファイスアバターは!

 暗黒クレイジー教会が!

 暗黒クレイジー宗教活動の末に生み出した!

 暗黒クレイジー犠牲者!


 聖書に人は暗黒悪神クレージの姿を!

 真似て作られたとかあるし!

 人を作るのは神の御業とやら!


 逆にいったら!

 人を作れたら神の所業!

 それは奇跡の類!


 暗黒クレイジー位階を高めるため!

 暗黒クレイジー狂信者たちは!

 禁忌にまで手を出した!

 聖職者のくせに神をも恐れぬ所業!


 どんなことでも!

 極めようとするなら!

 まずは模倣から入るもの!

 お手本を見てまねっこまねまね!


 人を真似るため!

 人を壊して潰して作り直す!

 それは人の尊厳を冒涜する行いそのもの!

 辱しめて!奪いとって!塗り潰す!


 その結果生まれたのが!

 暗黒悪神クレージの暗黒クレイジー尖兵!

 神に祝福されたアンデッドの誕生!

 ………神に祝福されたアンデッドってなんだよ!


 っていいたくなるけど!

 まぁ悪神!邪神!祟り神!

 その辺の類なら多少はね!


 そんなわけで神聖属性の通りが悪いアンデッドが大量発生!

 その中でももっとも力を持ってるのが!

 廃教会のボス!

 サクリファイスアバターだ!


「なるほど」

 ローラちゃんが思案げにうなずいてた!

「ん?わたし口に出してた?」

 やだ!わたしったらはしたない!


「うん、出してたよ」

「そうだ」

 コクコクうなずく2人!


「マジかー!ひとりごと増えたってヤだなー!なんか年とった気がするし!」

 ちょっとショックなわたし!


「まだまだ子供だろう。フェミの年なら」

「そうだよー、いちばんちっちゃいのにさ」

 おかしそうにわらう2人!


「や!だってさ!最近あるんだってば!なんかやろうと思って立ち上がったのにさ!立ったらなにしたかったのか忘れてんの!」

 アレかなりショックなんだけど!


「あ、あるあるー!立ったのになにしたらいいかわかんなくってまた座んの!」

「あ?やっぱある?わたしだけじゃない?」

「だけじゃないよー!わたしもあるー!」


 手をとりあって悩みを分かち合う!

 人はわかりあえる!

 ラブ&ピース!

 そんなわたしたち!


「ないぞ。わたしは」

「ぐわー!」

「バッサリだー!」

 一刀両断!

 切れ味バツグンのローラちゃんのひとこと!


「大丈夫か。お前たち」

「ぎゃー!」

「視線が痛いー!」

 しかも心配そうな目もされた!

 っていうか信じられないって目されてるよ!


「やばい!わたしたちの信頼がピンチ!」

「バカの疑いをかけられてるよ!」

「じーっ」

 うでぐみしながらコッチを見るローラちゃん!


「痛い!痛い!視線が超痛い!」

「あー!わたしなんかに目覚めそー!」

「しっかりするんだ!バカ1号!」

「わたしはもうダメれすバカ2号!」

 わたしの目の前で相棒が今まさに!


「げふっ!もう食べられないれす!」

「まだ8房目でしょ!」

 食べさしのバナナを残そうとしてた!


「む。137房も残すとはな。体調が悪いのか?」

「それはいけないね!バナナなら食べられそう?」

「わーい!バナナなら食べるー!」

 さっきとは心機一転!

 貪るようにバナナを食べる!


「まぁ!この子ったら現金なんだから!」

 ちょっと心配したわたしがバカみたいじゃないの!

「いいじゃないか。この子が元気なら」

 そういって微笑むローラちゃん!


「………ふふ!そうね!元気なのが1番だわ!」

 つられてわたしも笑う!

「なに笑ってるの、パパ、ママ?」

 わたしたちをふしぎそうに見つめるバカ娘!


「元気が1番ねって話してたのよ!」

「わたし元気だよ!」

「ならよかったわ!」

「あぁ」

 3人で笑いあう!


 これからも!

 これまでどおり!

 この3人でいっしょにいられたらな!

 わたしはふとそんなことを思ったのだった!




 ………なんてオチならどう?

 怪談の語り手グループに気づかないうちに?

 1人増えるってパターン?


 なんかサクリファイスアバターさん!

 原作より早く邂逅したから!

 自我がちゃんと残ってたし!

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