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わたし  作者: 和田直樹
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悲劇1

市内のとあるホテル。

俺はそこに向かって歩いていた。


時刻は5時過ぎ。暑い日が続いてる。

高校を卒業して市内で働くようになってたからはや5年。人の多さには慣れてはきたけどどうも雰囲気には圧倒されてしまう。


いろんな人がいていろんな考えを持った人がいろんな場所から集まる場所。

最近では外国人までいる。

この街も俺も、たったの5年で随分変わったと思う。


一流の料理人になろうと高校時代のバイトしていた居酒屋のお客さんの紹介でそこそこ有名店で修行させてもらえることになったけど、5年経ってようやくまともに料理をさせてもらえるようになった。


毎日怒られてばかりだ。

けどいつかきっと自分で店を…。


「モッチー!」


後ろから声が聞こえて振り返ると、そこには久しく会う小学生時代からの友人の中田裕太ことユッチがいた。


「よぉユッチ。久しぶりだな」


「何処がだよ。この前も一緒に飲みに行ったところだろ。てか同窓会とかマジ楽しみだよなー。高校とかの同窓会は何回かあったけど小学校の同窓会とかほとんど誰か分かんねーだろ」


ユッチとは高校は違っていたが今でもよく飲みに行く友人だ。仕事はユッチは普通のサラリーマンだけど学生時代からの友人はそんなの関係なく接することが出来る。



「モッチー彩乃ちゃん今日来んのかなー」


ユッチはよく喋るやつで、特に女の話が多い。



「彩乃ちゃんかー。あの子も可愛かったもんな。でもお嬢様だし中学は私立の女子校に行ったんだろ?」



「そーそー。絶対美人になってるぜ。来てたら絶対連絡先聞くのになー」


「美人な女はよく喋る男が好きって言うしな」


「まじ?」


「嘘に決まってるだろ。そんな話」


「なんだよ!ちょっと本気にしちまったじゃねーか!」



馬鹿みたいな会話をしてるとホテルに着いた。

俺たち二人はエレベーターに乗り緊張のためか無言になってしまい、ソワソワしながらエレベーターが止まるのを待った。


エレベーターが止まり下りると受付の人がいたので軽い手続きを済ませた後会場に入った。

中には既にかなり人数がおり、何人かが俺たちのこと見た。

学年全員で200人近くいたし今日は休日、最悪半分以上の人数は来るだろうと思ってはいたが、こうしてみるとほぼ全員来てるんじゃないかと思えるぐらいいる。


とは言え小学生の時の奴らだ。

相当仲良くしてたやつじゃないとほとんどわからない奴らばかりだ。


「モッチー。俺野球チームの奴らとちょっと話して来るな」


「お、おう」


そう言うとユッチは俺から離れ、元々小学生の時に一緒に所属していた野球チームの奴らの元へ向かって行った。


ユッチ以外にも仲のいい友人はいたが正直中学を卒業してからはほとんど会っていないし連絡も取っていない。


とりあえず突っ立っていても仕方ないので輪の中に入ってみる。

同窓会と言うわりには自由な感じで食事もビッフェ形式で立って飲み食いをする感じだ。


面識がある同士で集まって世間話しをしてる感じがほとんど担任だった先生も何人かいてその周りには女が集まって色々と話してる。


簡単なバーもあるようで、そこでは何人かの男と女のグループがいて、この後どうするか話をしてるいるようだ。

羨ましい。


キョロキョロと周りを見ながら適当にぶらついていたら見覚えのある奴がいるのに気づいた。



「飯田か?」


近づいて話しかけると、俺の顔をじっと見て後モッチー?と聞いてきたので、俺はそうそうと答えた。


「まじで!めっちゃ久しぶりじゃん!てか背伸び過ぎでしょ。中学まではあたしより低かったのに」


「お前が高すぎたんだよ。てかお前もいい歳なんだからもうちょっと化粧したりオシャレしろよ」


「めんどくさいじゃーん。子供いたりしたらそんなことまであんま気がまわんないのよ」


「子供って。お前結婚したのか?」


「したって言うか。してた。浮気ばっかするやつだったしこっちから捨ててやったよ。今じゃあたしも子供二人いるシングルマザーってわけ」


「大変そうだな」


「別にー。子供は可愛いし。あたしこう見えて夜の仕事してんだよ。結構人気あるし給料もいいしさ、実家で住んでるから子供のこと見てくれてるし、結構充実してるよ」


意外だった。

家が元々近所でそこそこ知ってるやつだったけど、中学卒業して飯田が引っ越してからは連絡を取ることもなかったからそれからの事は何も知らないけど色々と、経験しているんだなと感心してしまった。


よく地元の悪い連中とつるんでいたのは知ってたけど飯田は学校にはちゃんと来てたし誰とでも同じように接するやつだった。


「モッチーはどうなんだよ?」


「どうって?」


「結婚とかしてんのか?ってことだよ」


「してねーよ。彼女もいないし。仕事ばっかりしてるよ」


「なんだよー。面白みのないやつだなー。ゲスい話とかないのかよー」


「あっでも。前の彼女には二股されたあげくもう一人の男になんか逆ギレみたいのされて思いっきり殴られたわ先月」


「いいね!いいね!そう言う話あたし大好き!」

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