サブストーリー『トリック・オア・トリート』
今回のサブストーリーは今の本編の少し後のお話になります。
朝、ウェルが起きるとドアがノックされる音がした。
「はーい」
ウェルがドアを開けると、外には頭部にかぼちゃを被って宙に浮いている今までに見たことのない生き物がいた。
「トリック・オア・トリート!」
その生き物はウェルが扉を開くと意味のわからない言葉を言った。
「はい?」
意味がわからず、ウェルは聞き返す。
「トリック・オア・トリート!お菓子くれないとイタズラしちゃうぞ!」
どうやら、この生き物にお菓子をあげないとイタズラされるらしい。それは避けたい。
「イタズラされるのは嫌だなぁ……ちょっと待って」
少し、考えるとウェルは急いで台所に向かい何かを漁り始めた
「はい、あげられるお菓子は今、アメぐらいしかないけど、それでも良いなら」
ウェルは台所から戻ってくるとそう言い、1つの飴を差し出した。そのアメは先日、近所のおばさんにもらったものだ。
「ありがと!」
その生き物は元気よくウェルにお礼を言いながら消えていった。
「なんだったんだ、あれは?」
ウェルは支度を済ませた後、『アラド学院跡』に向かいながら先ほどの出来事を考えていた。
「おはよー、ウェル」
「ああ、グレイか……」
先ほどの出来事を考えていると、グレイに会った。
「どうしたんだ、元気ないぞ」
ウェルの挨拶がいつもより元気がないのを感じ取ったのかグレイが心配そうにウェルに聞く。
「実はな……」
ウェルは少し考えると先ほどの出来事をグレイに話し始めた。
「ああ、そいつなら今日の朝俺の家にも来たぞ。お菓子あげなかったらなんか襲ってきたから倒したけど。そういえばあいつ倒したら消えてったな……」
どうやらグレイもその生き物に会ったらしい。グレイはお菓子をあげなかった為、襲われたらしい。
「学院跡行ったらみんなに聞いて見るか」
「うん、そうしよう」
グレイの案にウェルは同意して頷いた。
「来ましたよ。お菓子あげたら『ありがとう』って言って消えて行きましたけど」
「来たわよ。昨日、作ったお菓子の余りをあげたら消えていってしまったけど」
「来たぞ。その時、食ってたお菓子を分けてあげたら消えてったぞ」
『アラド学院跡』に着くと、エマ、ラミア、ダリウスの順に聞くとそう答えた。どうやらお菓子をあげていないのはグレイだけらしい。
「マジで?あげてないの俺だけ?」
グレイは自身を指差して驚いた表情で言った。
「大変だぁぁぁ!変な怪物の大群が襲って来たぞぉぉぉ!」
ウェル達が話していると、1人の青年が慌てた様子で走りこんで来て、大声でそう言った。
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