一週間経って
ーーあれから一週間が経った。ウェルの魔族領での生活は余り変わりがなく大きな変化といえばウェルが魔王城に引っ越したことと、ウェルが暮らしている魔族領の魔王と他の魔王で会談があり、魔王の警備をするという任務で第三部隊でそれについて行ったことだろうか。今はその帰りだ。
そして、1つわかったことがある。それはウェルの暮らしている魔族領の魔王、フィン以外の魔王にも人族に敵対心を持っていない魔王がいるということだ。会談ではむしろ人族と仲良くしたいと言う魔王もいた。
「ウェル君、今日の会談はどうだった?」
「うーん、色々びっくりすることがあって、まだ整理が追いついてない、とりあえず人族に敵対心を持っていない魔王がいることはわかった」
「うん、そうだね。あと、うちの魔王様も人族に敵対心を持っていないことも忘れないでね」
「はいはい」
ウェルは、ラーダの忠告を軽く流す。
それから少ししてラーダがいきなり足を止めた。
「どうした、ラーダ?」
ウェルがラーダの様子がおかしい事を感じ、ラーダに呼びかける。
「ウェル君、ちょっと急ごう『アランディーク』でやばいことが起こってるかもしれない、『瞬間移動』を使わせてもらうよ、カイト君達、私達は先に行くからここを頼む」
「わかりました」
「行くよ、ウェル君」
「はぁ?ちょ、うわ!」
ラーダはカイト達に警備を頼むと、ウェルに肩を乗せ『瞬間移動』を発動する。
ウェルは『瞬間移動』後に起こる軽い目眩が嫌いで、抵抗しようとするがラーダの手がウェルから離れるより『瞬間移動』が発動するのが一瞬早かった。
「ちょ……ラーダ、いきなり『瞬間移動』使うなよ……っ!なんだよ……これは」
ウェルはラーダがいきなり『瞬間移動』を発動した事に文句を言おうとするが自分の目の前の光景に絶句する。
「恐らく、他の魔王に攻め込まれたんだろう……魔王様が会談に行って『アランディーク』の守備が手薄になっている今日を狙って」
ラーダは悔しそうに顔を歪ませる。ふと、ウェルはリムとアイダを思い出し、無事なのか確認を取ろうと『アランディーク』に入ろうとする。
「ちょっと待って、1人で行っても犬死するだけだよ」
走り出したウェルの腕を掴み、ラーダがウェルに待つように言う。
「離せ」
ウェルは低い声でラーダにそう言うと、ラーダは首を横に振る。
「まずは落ち着いて、君にはやって欲しいことがある、それをやらないといつまで経っても恐らく『アランディーク』に入れないだろう」
「何をすれば良い」
ラーダはウェルにやって欲しいことがあると伝える。
「君には、『帝都アラド』に戻って戦える人間を連れてきて欲しい。人数は多ければ多いほどいい」
ウェルは予想外の頼みを聞き、ラーダの正気を疑うがラーダはいたって真面目な顔をしている。
「はぁ?」
ウェルは何故そのような頼みになるか分からなかった。
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